微表情

フラッシュのように一瞬で表れては消え去る微妙な表情、微表情。このブログでは、微表情、表情、顔を始めとした非言語コミュニケーションの研究や実例から「空気を読む」を科学します、「空気」に色をつけていきます。

2016-01-01から1年間の記事一覧

子どもは信じてもらえない?

私たち大人も、子どももウソをつきます。 果たしてどちらのウソの方が見抜きやすいでしょうか? 正解は、お察しの通り、子どものウソです。 こんな実験がなされました(Edelsteinら, 2006)。 実験参加者の大人、もしくは子どもに単独で、実験室に入ってもらい…

伝染する恐怖

目の前にいる人の目線がみなさんの背後に向けられ、その人の顔には「恐怖」の表情が浮かんでいるとします。みなさんなら、どうしますか? Aパッと、後ろを振り向く B一目散に逃げる 表情にある様々な機能の中に「他者に重要なシグナルを与える」という機能が…

儀礼としてのボディーランゲージ②

前回は犯罪者の表情を題材に特殊な事例を書かせて頂きましたが、今回は、身近な例で考えてみたいと思います。 様々なボディーランゲージを扱う書籍に「『腕組み』は自己防衛や批判のサイン」とか「『両肘を曲げ腰に両手を置く』のは自信のサイン」だとか書い…

儀礼としてのボディーランゲージ①

某テレビ局の依頼である人物の表情分析をさせて頂きました。 理由あってその分析の様子は放映されず、お蔵入りしてしまいました。 その表情分析なのですが、非常に興味深いものでした。 分析したのは警察車両に載せられている人物の表情なのですが、その表情…

赤ちゃんのドゥシェンヌ・スマイル

本日は久々に赤ちゃんネタです。 ドゥシェンヌ・スマイルとは、口角の引き上げと、目の周りの筋肉の収縮が共に起きる場合の笑顔のことを言います。目尻にしわが出来るのが特徴です。さて、赤ちゃんももちろんドゥシェンヌ・スマイルをします。ただちょっと私…

ベッキーは許せても、舛添知事を許せないのはなぜ?

本日は時事ネタを通して、感情のメカニズムについて学びましょう。 テーマは、 ベッキーは許せても、舛添知事を許せないのはなぜ? です。 「そりゃ、色恋沙汰と政治資金問題は、次元が違うでしょ!そんなこといちいち考えなくてもわかるでしょ。」と言って…

2016年5月14日(土)キャリタス就活フォーラムDISCOイベント振り返り

本日は、本日開催されましたキャリタス就活フォーラムby DISCO様のイベントを振り返らせて頂こうと思います。 本日は、面接対策を通じて、相手の意図を感じ、自分の想いを正しく伝え、コミュニケーションの場を適切に治めるためのTipsをお話しさせて頂きまし…

モナリザの微笑のなぞー表情解釈編

本日は、モナリザの微笑のなぞー表情解釈編です。 前回、モナリザの表情には、幸福と嫌悪が読みとれる、という分析をしました。 なぜでしょうか? モナリザのモデルをめぐる議論の中で、モナリザはダヴィンチ自身ではないか、という説があります。この説を…

新時代のウソ検知の科学⑪―文化間のウソ③

先週は、ウソのサインが生じ得るかどうかということに関して文化がどう影響するかをご紹介しました。ウソをつく側の問題についてでした。本日は、ウソを見抜く側の問題についてご紹介いたします。 異なる文化圏に属する人の話の真偽を判定し、その精度を測る…

モナリザの微笑のなぞー表情分析編

皆さんは、モナリザの表情から「彼女」のどんな感情を読みとりますか? FACSが搭載されたコンピュータの分析により、モナリザの表情の中には、83%の幸福、9%の嫌悪、6%の恐怖、2%の怒りが込められているという結果が見出されました。 モナリザの表情を加工し…

新時代のウソ検知の科学⑩―文化間のウソ②

本日のテーマは、各文化に属する人の「ウソの捉え方」に関してです。 ウソという言葉には定義があるので、ある人物の行為をウソかどうか客観的に判定することはできます。しかし、ウソをついている当人が自分の行為を非道徳であると考えていなければ、ウソの…

FACSを学ぶ

弊社のHPにてFACS(ファクス)及びその重要性を書いていますが、簡略にその内容をまとめるならば、 FACSとは、解剖学的知見に基づいた顔面筋の包括的な記述の方法論のことをいい、いわば「顔の動きに関するマニュアル」である。その厳密性から、心理学者や…

新時代のウソ検知の科学⑨―文化間のウソ①

これまでのウソ検知研究の中でそんなにスポットが当てられなかった領域があります。それは、文化間に関わるウソです。 ある文化に属する人が、他の文化に属する人のウソを検知しようとするときに、何を気を付けるべきで、どんな問題が想定され、ウソ検知の精…

恥・羞恥・憐れみ・軽蔑は、まだ準レギュラー?

百聞は一見にしかず。 本日はいきなり写真から。 以下の表情写真、それぞれどんな表情をしていると思いますか? 図1 ※本画像の権利は、株式会社空気を読むを科学する研究所に帰属します。無断転載を禁じます。 なかなか難しいと思いませんか? 何となくネガ…

新時代のウソ検知の科学⑧―二人の関係は本物?②

前回の続きです。 本物のカップルと偽装カップルの行動上の違いは何なのでしょうか? 本研究から見出されたことは、 ①質問者によって話が中断された時、本物のカップルは話をスムーズに続けることができるが、偽装カップルは、パートナーの前言を繰り返して…

2016年4月9日(土)キャリタス就活フォーラムDISCOイベント振り返り

本日は、先週の土曜日に開催されましたキャリタス就活フォーラムby DISCO様のイベントを振り返らせて頂こうと思います。 面接対策を通じて、相手の意図を感じ、自分の想いを正しく伝え、コミュニケーションの場を適切に治めるためのヒントをお話しさせて頂き…

新時代のウソ検知の科学⑦―二人の関係は本物?

これまでのウソ検知の科学は、個人がつくウソを対象に行われ、個人がウソをついたときに生じる反応に焦点がおかれて来ました。しかしウソは一人だけでつかれるものとは限りません。組織犯罪、テロリズム、集団窃盗、集団詐欺、違法入国、偽装結婚ナドなどは…

似て非なる感情群―思い上がり、誇り、恥、罪悪感

前にも似て非なる感情群として、恥と罪悪感とを比べたと思います。本日のブログは、少し異なる観点から、かつ、種類を増やして、似て非なる感情の違いをご紹介させて頂こうと思います。 思い上がりと誇り、恥と罪悪感、何が違うと思いますか? みなさんが関…

新時代のウソ検知の科学⑥―観光地でテロリストを発見する②

前回の続きです。 オリンピック宣伝用の写真を撮って来るように頼まれた写真家と爆弾を仕掛ける場所を撮って来るように頼まれたテロリスト、見た目上はカメラを首にぶら下げ、撮影しているだけです。両者をどう区別するのでしょうか? 二つのステップから正…

ジェスチャーのある風景①―Noのジェスチャー

先日、ほぼ満席状態のスタバで席を探しているとき、一席だけ空いている様子に気づきました。そこに近づいてみると、丸いテーブルに2つのイスがあるのですが、1つの席に女性が座っており、隣のテーブル席の人と話しているのに気づきました。そんなシーンで…

新時代のウソ検知の科学⑤―観光地でテロリストを発見する

今回のブログは、東京オリンピックの警備にも関わるお話です。 観光地や有名な都市には様々な人が訪れ、多くの人々がその思い出を写真に収めています。その多くは、普通の観光客や写真愛好家なのですが、その中にテロリストや犯罪者(正確に言えば将来の犯罪…

表情分析官への道⑤

表情分析官の道④から随分経ってしまいました。 今一度これまでの内容をまとめますと、表情分析の専門家を目指す最初のステップは、次の3つです。 ①TOEIC900点程度の英語力を有すること ②認定FACSコーダーになること ③FACSに関する基礎文献を読むこと です…

新時代のウソ検知の科学④―認知的負担を高める質問法②

先週の土曜日の続きです。 もっとウソ検知率の高い質問方法は? ということで、今回は単体でもウソ検知率が高い質問方法を簡単にご紹介します。 反予測質問法 反予測質問法とは、回答者が回答を求められることを予測していない質問をする方法です。ウソつき…

2016年3月12日(土)キャリタス就活フォーラムDISCOイベント振り返り

本日は、先週の土曜日に開催されましたキャリタス就活フォーラムby DISCO様のイベントを振り返らせて頂こうと思います。 面接対策を通じて、相手の意図を感じ、自分の想いを正しく伝え、コミュニケーションの場を適切に治めるためのヒントをお話しさせて頂き…

新時代のウソ検知の科学③―認知的負担を高める質問法①

先週の土曜日の続きです。 ウソをついている者は正直な者に比べて、認知的負担が高い状態にいます。そこでインタビューのときに認知的負担を高める質問をすることで、ウソつきにとっては答えるのが難しく、正直な者にとっては答えることが容易な質問法が様…

覚えやすい顔・覚えにくい顔

一ヶ月ほど前、新橋にあるお寿司屋さんで二言三言会話を交わした板前さんがいました。 一昨日、池袋にあるお寿司屋さんに入った瞬間、「あ!この前、新橋にいましたよね?」と目の前の板前さんに無意識に言葉を発していました。 その板前さん曰く、池袋のそ…

新世代のウソ検知の科学②―ウソをつくのは大変?

ウソをつくときって頭を凄く使いますよね。これを、認知的負担が高い、と言います。 ウソを上手くつくために、自分が話したウソの内容を覚えていなくてはいけないし、辻褄が合うようにストーリーを構築しなくてはいけないし、相手に与える印象も正直者に見え…

表情分析を学ぶことと現代文を学ぶことは似ている

私が様々な場所で表情分析の話をしていると両極端な反応が返ってきます。 好意的な反応としては、 「これは凄い!表情をこんなに論理的に説明出来るなんて!!色々なことに使える!!!」 というものです。 否定的な反応としては、 「表情なんて勉強しなく…

新世代のウソ検知の科学①―新世代のウソ検知の科学とは?

本日より、いよいよウソ検知の科学シーズンⅡのスタートです! ウソ検知の科学シーズンⅠでは、これまでのウソ研究で明らかになったウソ検知法、ウソのサインの集大成を非言語情報に焦点を当てご紹介してきました。 実験室や実際の取調べの様子、会見映像で証…

私の微表情活用生活その①―その「軽蔑」、どこに向けられているのか?どこまで情報を共有すべきか?

本シリーズでは、私がビジネスや日常生活の場面でどのように微表情を活用しているのかをご紹介したいと思います。 本日は、「軽蔑」微表情です。 私がある人と交渉している場面を想定して下さい。 私が交渉相手の顔から「軽蔑」微表情を読みとるところからス…