微表情

フラッシュのように一瞬で表れては消え去る微妙な表情、微表情。このブログでは、微表情、表情、顔を始めとした非言語コミュニケーションの研究や実例から「空気を読む」を科学します、「空気」に色をつけていきます。

新時代のウソ検知の科学⑧―二人の関係は本物?②

 

前回の続きです。

本物のカップルと偽装カップルの行動上の違いは何なのでしょうか?

 

本研究から見出されたことは、

 

①質問者によって話が中断された時、本物のカップルは話をスムーズに続けることができるが、偽装カップルは、パートナーの前言を繰り返してから話を続ける傾向にあった。

➡偽装カップルの方が認知的な負担が重くなるゆえに起こる現象だと考えられています。

 

②本物のカップルに比べ、偽装カップルは話をし始めるまでに間が空く傾向にあった。

➡これも認知的な負担の増加が原因です。偽装カップルはもっともらいしい話を考え出さなくてはいけないため時間を稼ぐ必要があるのです。

 

③カップルに自由に話してもらう質問法では、話の詳細度合いが高い方が本物のカップルであるという傾向が見出されたが、交互に話してもらう質問法では、本物及び偽物のカップルの話の詳細度に違いは生じなかった。

➡ちなみに単独のウソつきの場合、自由に話してもらう質問法を使うと、正直者に比べ、話の詳細度が低くなる傾向があります。

 

ということです。

 

本研究をまとめますと、集団でなされる証言に対しては、交互に質問をするアプローチを取り、①~③に注意することで、80%近くの精度で証言のホントとウソを区別することができる、ということです。

 

ちなみに、私の知人に国際結婚している夫婦が何人もおり、諸機関で本物の婚姻関係かどうかを質問されるそうですが、少なくとも私が聞く限りでは日本の機関では今回紹介した質問方法は採用されていないようです。

 

 

清水建二

参考文献

Vernham, Zarah, Vrij, Aldert, Mann, Samantha, Leal, Sharon and Hillman, Jackie (2014) Collective interviewing:eliciting cues to deceit using a turn-taking approach. Psychology, Public Policy, and Law, 20 (3). pp. 309-324.