微表情

フラッシュのように一瞬で表れては消え去る微妙な表情、微表情。このブログでは、微表情、表情、顔を始めとした非言語コミュニケーションの研究や実例から「空気を読む」を科学します、「空気」に色をつけていきます。

表情分析に関わる資格には何があるか?―目的別に見る学び方の選択肢


 表情分析や微表情検知を学びたい方から、「表情分析の資格はありますか?」「どの資格を取ればよいですか?」と質問を受けることがあります。表情分析に関わる資格やトレーニングはいくつかありますが、それぞれ目的や内容が異なります。ここでは、表情や微表情の検知・分析に関心のある方に向けて、代表的な学習ルートを紹介します。

 

顔面筋の動きを精緻に分析したい

 

 まず、表情を最も客観的・専門的に分析したい方には、FACS(ファクス)の学習が有力な選択肢です。FACSとは、Facial Action Coding Systemの略で、日本語では顔面動作符号化システムなどと訳されます。表情を「怒り」「悲しみ」「喜び」といった感情名で見るのではなく、眉、まぶた、鼻、口などの筋肉の動きを、アクションユニット(略:AU)として記録する方法です。研究、映像分析、感情認識AIの評価、演技やアニメーションの表情設計など、顔の動きを精密に分析したい方に向いています。FACS認定は、表情を筋肉運動として客観的に観察・符号化する技能を示すものと考えるとよいでしょう。試験に合格すると、認定FACSコーダを名乗れるようになります(たとえば、学術論文等に分析者として記載されるとき、記名がA Trained FACS CoderーFACSを学んだ者ーなのか、A Certified FACS CoderーFACSを学び認定試験に受かった者ーなのかは、分析の信頼度や妥当性において大きく異なる評価を受けます)。

 

FACSを学びたい方は、是非、弊社のコースをご検討ください(6月13日開講、アーカイブあり)。

https://peatix.com/event/5008052/view

 

微表情をリアルタイムで検知するスキルを獲得したい

 

 次に、微表情や感情表出の読み取りを学びたい方には、ポール・エクマン博士に関連するトレーニングがあります。エクマン博士は、基本感情や微表情研究で知られる心理学者です。エクマン系のトレーニングでは、短時間で現れる表情変化を見分ける力や、感情と表情の関係を学ぶことができます。微表情検知を中心に学びたい方、表情から感情の手がかりを読み取る訓練をしたい方に適しています。トレーニング後のポストテストで一定のレベル(トレーニングの種類によります)をクリアすると、認定証が発行されます。

 

エクマンの微表情検知トレーニングについては、こちらを参照ください。

www.paulekman.com

 

 Humintellのトレーニングも、表情分析や微表情検知を学ぶ選択肢の一つです。Humintellは、感情表出、微表情、表情認識に関する教材やオンライン・トレーニングを提供しています。各種講義や実際の表情映像を用いた練習などもあり、微細な表情変化を識別する力を高められる点が特徴です(なお、Humitellの教材は、エクマン博士の弟子にあたるDavid Mastumoto博士が中心となり開発された最新のトレーニングです)。エクマンのトレーニング同様、英語教材に抵抗がなく、海外のトレーニングで表情・微表情検知を学びたい方に向いています。こちらもトレーニング後のポストテストで一定のレベル(トレーニングの種類によります)をクリアすると、認定証が発行されます。

 

Humintellの微表情検知トレーニングについては、こちらを参照ください。

www.humintell.com

 

弊社では、一部日本語で出来るHumintell社製のトレーニングを扱っています(現在、受注販売のみの提供)。

microexpressions.jp

 

文脈の中にある微表情を読み、アプローチ法まで考えたい

 

 日本語で、表情分析や微表情検知を実務に活かしたい方には、私、監修の交渉協会提供、表情分析プラクティショナー資格も選択肢になります。表情や微表情を観察し、相手の感情変化を読み取るための実践的なトレーニングとして位置づけられます。FACSのように顔面動作を細かく符号化するというより、表情変化を検知し、営業・商談、接客、採用、組織マネジメント等の対人場面で活用することを目的とする方に向いています。講義受講後、認定テストを受験し、100点満点中80点で資格が発行されます(なお、弊社主催4月or9月開講の「表情・しぐさ分析総合コース」とPPA Academy提供「清水建二の微表情学」も同様の学習目的で開催・開講しておりますが、資格は発行しておりません)。

 

交渉協会提供の「表情分析プラクティショナー養成オンデマンドコース」については、こちらを参照ください。

nego-analyst.jp

 

講師の専門性を見定め、安易なスキル・目的獲得を煽る資格・講座に注意する

 

 まとめますと、精緻に顔面筋の動きを分析し、心理分析等の土台にしたいなら「FACS」、微表情を素早く検知するスキルを獲得したいなら「エクマン or Humitell社の微表情検知トレーニング」、表情・微表情変化を実務場面で活用する力を養いたいなら「表情分析プラクティショナー養成オンデマンドコース」ということになります。

 

 もちろん、ここで紹介したもの以外にも、表情分析や微表情検知に関する資格・講座はあります。結論を言えば、表情分析の世界には、国家資格のように法律で定められた資格は存在しません。一方、FACSが代表的ですが、専門的な訓練を受けたことを示す民間資格や修了証、国際的に知られた認定制度は存在します。大切なのは、「資格があるかないか」だけで判断するのではなく、その資格が何を測り、どの程度の技能を保証しているのかを見極めることです。資格は勲章ではないのです。

 

 表情分析の資格やトレーニングは、相手の心を決めつけるためのものではなく、表情という手がかりをより正確に観察するための学びです。目的に合った学習ルートを選ぶことで、表情・微表情を読み取る力は、より確かな技能として身についていきます。

 

 最後に注意点を挙げるならば、「表情だけですべての本音がわかる」「嘘を確実に見抜ける」「売り上げが急増する」「悩みが即解決する」といった過度な宣伝には注意が必要です。資格名の印象だけで判断せず、何を学べるのか、実際の表情映像を使った訓練があるのか、講師の専門性は十分か、科学的知見に基づいているか、実務経験は伴っているか等を確認することが大切です。

 

弊社コース・研修に関するご相談は、下記メールアドレスまで遠慮なくお問い合わせ下さい。
弊社メールアドレス:info▲microexpressions.jp(▲を@に変えて下さい)

 

清水

「何かを言いかけるような目」は、どう演じるのかーFACSから考える表情表現のリアルとデフォルメ

 

本日は、表情の演技、つくり方、表現法について書きたいと思います。

 

ドラマやアニメなどで表情を表現するとき、人間の感情が可能な限り忠実に表れたリアルな表情がよいのでしょうか。それとも、視聴者に伝わりやすいよう、少し大きく、わかりやすく表現したデフォルメされた表情がよいのでしょうか。

 

答えを先取りすれば、その中間のどこか、ということになります。

 

表情表現は、ただ「悲しそうにする」「怒って見せる」だけでは十分ではありません。

キャラクターが何を感じているのか。その感情をどこまで見せ、どこから隠しているのか。さらに、視聴者にどのような印象や感情を喚起したいのか。こうした点を考えることで、表情はよりリアルに、かつ伝わりやすくなります。

 

忠実にリアルな表情演技が求められることもあれば、わかりやすく大きな演技が求められる場合もあります。大切なのは、リアルとデフォルメのスペクトラムの中で、その場面に最もふさわしい塩梅を読み、演出に反映させることです。

 

私が虚偽検出監修をつとめた『最後の鑑定人』(2025年7月から9月までフジテレビ系列にて放送)の第三話を題材に考えてみましょう。

 

「何かを言いかけるような目」とは、どんな表情か

 

第三話の台本に、「何かを言いかけるような目」という描写がありました。

 

これは、どのような表情にすべきでしょうか。

次のようなシーンです。

 

高倉(演:白石麻衣)が高校生だった頃の回想シーン。

「何かを言いかけるような目」を高倉に向ける絵梨子(演:高嶋菜七)。

しかし、絵梨子は何も言いません。

そしてこの後、絵梨子は自ら命を絶つことになります。

 

このとき、絵梨子はどのような表情をしているのがよいのでしょうか。

 

私は、まず次のように考えました。

 

このシーンにおける「何かを言いかけるような目」とは、単に「話しかけようとしている目」ではありません。むしろ、「助けてほしい」という苦悩・苦痛・悲しみを抱えていながら、それを声に出したくても出せない状態だと考えられます。

 

つまり、絵梨子の内面には強い感情がある。

しかし、その感情はそのまま外に出ているわけではない。

出そうとして、出せない。

そのような心理状態が、表情としてにじみ出る場面だと考えられます。

 

FACSで考えると、どのような表情になるか

 

ここで、顔面筋の動きを客観的にコード化する技術であるFACS(Facial Action Coding System:顔面動作符号化システム)を用いて考えてみます。

 

苦悩・苦痛・悲しみをFACSで表す場合、代表的な候補として、次のようなアクションユニットが考えられます。

 

AU1:眉の内側が引き上げられる

AU15:口角が引き下げられる

AU17:下唇が引き上げられる

 

これらの動きが組み合わさると、悲しみ、苦悩、苦痛といった感情が表情として表れやすくなります。

 

ただし、今回の場面では、絵梨子は感情をはっきり表に出しているわけではありません。

「助けて」と言いたい。けれど、言えない。そのため、表情も大きくは出ないはずです。

 

強い悲しみの表情が顔全体に現れるのではなく、その一部だけが弱く、あるいは一瞬だけ生じる。このような表情を、強度が弱く出る場合は「微細表情」、時間が短く一瞬だけ出る場合は「微表情」と捉えることができます。

 

そして、このシーンで特に重要なのは「目」です。台本にも「何かを言いかけるような目」とあります。したがって、顔全体で悲しみを表現するよりも、目の周辺、とくに眉の内側の動きであるAU1を中心に残す表現がよいと考えました。また、AU1は、悲しみや苦痛を想起させやすく、見る側に共感や保護反応を起こしやすい表情要素と考えられます。その意味でも、この場面ではAU1が重要なポイントになります。

 

もう一つ考えられるのは、悲しみを幸福表情で隠す表情です。

私たちは、悲しみや苦しさをそのまま出さず、笑顔で隠そうとすることがあります。

その場合、顔の上半分には悲しみが残り、顔の下半分には笑顔が現れることがあります。

 

ここまでをまとめると、「何かを言いかけるような目」の表情候補は、次のようになります。

 

①「眉の内側だけが引き上げられた悲しみ表情」が弱く生じる微細表情

すなわち、AU1B

②「眉の内側だけが引き上げられた悲しみ表情」が一瞬だけ生じる微表情

すなわち、AU1Cを0.5秒以下

③「眉の内側だけが引き上げられた悲しみ表情」+「口角が引き上げられた幸福表情」

すなわち、AU1B+12C

 

ここで出てくるBやCは、表情の強度を示します。FACSでは、AからEまでの段階で顔面筋の動きの強さを示します。Aが最も弱く、Eが最も強い動きです。

 

シグナルか、サインかが、目線を決める

 

次に考えるべきは、目線です。

 

表情は顔面筋の動きだけで決まるわけではありません。

同じ表情でも、相手をまっすぐ見ているのか、目線を外しているのかによって、意味が大きく変わります。

 

目線は、興味や関心が向けられている対象を示します。

では、「何かを言いかけるような目」の目線は、どこに向けられるべきでしょうか。

 

ここで考えたいのが、

「何かを言いかけるような目」は、シグナルなのか、サインなのか

という点です。

 

シグナルとは、相手に何かを伝えるために出される表情や動作です。

一方、サインとは、本人の意図とは関係なく、内面状態がにじみ出た表情や動作です。

 

「何かを言いかけるような目」のうち、「言いかける」という部分はシグナルに近いと言えます。相手に何かを伝えようとしているからです。一方、「苦悩・苦痛・悲しみを声に出したくても出せない」という部分は、サインに近いと言えます。本人が明確に伝えようとしているというより、内面の苦しさがにじみ出ているからです。

 

つまり、この場面の表情は、シグナルとサインの中間にあります。ただし、明確に「助けて」と声に出せない状況であることを考えると、ややサイン寄りの表情と考えるのが自然でしょう。

 

もしシグナルとして表現するなら、目線は高倉に向けられるはずです。「気づいてほしい」「助けてほしい」という意図が強くなるからです。一方、サインとして表現するなら、目線は高倉から外れるはずです。本人は助けを求めたいが、求めきれない。見てほしいが、見られたくもない。その葛藤が目線に表れるからです。

 

したがって、この場面では、

高倉に少しだけ目線を送る。

しかし、高倉に気づかれそうになると、目線を外す。

また少し見る。

でも、言葉にはできない。

 

このような目線の揺れが、「何かを言いかけるような目」としてリアルではないかと考えました。

 

リアルとデフォルメのスペクトラム

 

以上で、「何かを言いかけるような目」の表情表現が見えてきます。

表情としては、次のような候補があります。

 

①AU1B

眉の内側だけが弱く引き上げられる、微細な悲しみ表情。

②AU1Cを0.5秒以下

眉の内側だけが一瞬引き上げられる、微表情としての悲しみ表情。

③AU1B+12C

目元には悲しみがありながら、口元では笑顔をつくろうとする、悲しみを隠す表情。

 

これらの表情に、相手を見る・外すという目線の動きを組み合わせることで、「何かを言いかけるような目」に近づけることができます。

 

もちろん、実際の演技では、これをそのまま機械的に再現すればよいわけではありません。映像作品では、カメラの距離、照明、編集、俳優さんの顔立ち、演出意図、視聴者にどこまで伝えたいかによって、適切な表現は変わります。

 

たとえば、リアルさを優先するなら、AU1は弱く、一瞬だけ出る程度がよいかもしれません。しかし、視聴者に「この子は何かを抱えている」と確実に伝えたいなら、少し強めに、あるいは少し長めに表現する必要があります。ここが、リアルとデフォルメの調整です。

 

現実の表情に忠実すぎると、視聴者に伝わらないことがあります。一方、わかりやすくしすぎると、今度は不自然になります。その中間のどこに置くか。そこに、表情表現の面白さと難しさがあります。

 

表情監修では、どのように伝えるのか

 

上記のような説明を、私は必要に応じて簡略化し、台本に書き込み、ドラマ演出部へ共有します。その際、言葉だけで説明を伝えても、現場では使いにくいことがあります。ですので、専門的な説明に加えて、実際の表情の静止画や動画を添えることもあります。また、私自身の表情を用いて、撮影現場で俳優さんに演技指導をさせていただくこともあります。

 

大切なのは、科学的に正しい表情を押しつけることではありません。表現したいキャラクターの心理を土台にしながら、科学的知見を使って表情の候補を整理することです。

 

そのうえで、視聴者が見てわかるか。

視聴者にどんな気持ちを喚起したいか。

カメラワークはどうか。

何秒のシーンか。

俳優さんが自然に演じられるか。

作品全体のトーンに合っているか。

 

こうした点を総合的に考え、最終的な表情表現が決まっていきます。

 

本番ではどのような表情になったでしょうか。

ぜひ『最後の鑑定人』第三話をご覧ください。

 

表情は「読む」だけでなく「つくる」こともできる

 

以上のような感じで、私は表情表現を考えています。FACSというと、表情を分析するための方法だと思われることが多いかもしれません。もちろん、それは重要な使い方です。しかし、FACSは表情を「読む」ためだけのものではありません。表情を「つくる」ためにも使うことができます。

 

演技、アニメーション、プレゼン、スピーチ、接客、研修など、表情を意識的に設計する場面は多くあります。そのときに大切なのは、単に「笑顔にする」「悲しそうにする」と考えることではありません。どの感情を、どの程度、どの部位に、どのくらいの時間、どのような目線や姿勢と組み合わせて表現するか。ここまで考えることで、表情表現はより具体的になります。

 

表情をつくる際の参考にしてみてください。

 

追伸

今回の記事で紹介したように、FACSは「表情を読む」だけでなく、「表情を設計する」ためにも活用できます。

 

2026年6月13日(土)開講「感情推測・表情生成のためのFacial Action Coding System12時間速習コース」のお申込みを開始しました。

 

独学で50時間から100時間以上かけて学ぶFACSコーディングの方法を、頻出AU・実例・演習に絞って12時間で集中的に学びます。少人数制のため、質問や個別の関心に応じた解説も行います。FACSを認定試験、感情認識AI、表情分析、演技、アニメーション、スピーチなどに応用したい方にとって、今後の学習と実践の土台となる内容です。

 

詳細は次の画像をクリックし、ご覧ください。

 

清水

ディープフェイク時代における表情分析インテリジェンス―「フェイシャルプロファイリング」の未来を考える

 

 もし、首脳会談の前に公開された相手国リーダーの映像が、本物ではなかったらどうなるでしょうか。あるいは、本物の映像であっても、都合のよい部分だけが切り取られ、相手の心理状態を誤って読ませるために編集されたものだったらどうでしょうか。2026年5月10日付の日本経済新聞(Web版)に、「首脳会談を左右する表情分析、米はCIAが総力 所作は言葉より雄弁」と題する記事が掲載されました。この記事では、米国の諜報機関が首脳会談などに備え、相手国の首脳の表情や身体動作を感情認識AIも用いて分析し、性格や心理傾向を把握しようとしている事例が紹介されています。

 

 こうした分析は、「フェイシャルプロファイリング」と呼ばれるものです。ここでいうフェイシャルプロファイリングとは、ニュース映像や会見映像などから得られる表情、視線、姿勢、身振り、声の調子、発話内容、過去の行動パターンなどを総合し、対象人物の感情反応、対人スタイル、意思決定傾向、交渉上の関心や弱点を仮説的に推定する分析手法です。単に「顔を見れば性格がわかる」という話ではありません。複数の情報を照合しながら、対象人物が何に反応し、何を重視し、どのような場面で不快感や警戒心、優越感、困惑などを示しやすいのかを推定していく作業です。首脳会談の前に、相手国のリーダーの行動傾向や心理的特徴を把握しておくことは、交渉を有利に進めるための重要な材料になります。

 

 日本でも、2010年代に入ってから外務省が中心となり、こうしたフェイシャルプロファイリングに本格的に着手し始めたと報道されています。私自身も、外務省以外の省庁からの依頼ですが、某国首脳の表情・動作・心理分析を複数回行った経験があります。また、防衛省情報本部の外部研修講師として、表情分析技術を7年以上に渡り教授してきました。

 

 しかし、こうした公開映像に基づく分析は、いま大きな転換点に差しかかっているように思います。

 

ディープフェイクはOSINT表情分析の利便性を低下させるか

 

 首脳や政治家、著名人の映像は、公開情報から大量に入手できます。記者会見、国際会議、演説、インタビュー、SNS動画など、分析材料は豊富です。このように、公開情報を収集・分析する手法は「OSINT(オシント)」と呼ばれます。OSINTとは、Open Source Intelligenceの略で、公開情報に基づくインテリジェンス活動を意味します。表情分析にとって、OSINTは非常に便利です。対象人物に直接会わなくても、過去の映像を何度も見返し、表情やしぐさ、発話の特徴を観察できます。複数の場面を比較し、その人物がどのような話題で表情を変えるのか、どのような相手に対して緊張・警戒・親和・軽視の反応を示すのかを検討できます。

 

しかし、近年の技術進歩により、このOSINTの利便性が揺らぎ始めています。

 

その一つが、ディープフェイクです。

 

 ディープフェイクとは、AI技術などを用いて、人物の顔、表情、音声、発話内容を改変し、その人物が実際には話していないことを話しているように見せる技術です。政治家や首脳の映像が本物のように作られれば、それを見た人々は、発言内容だけでなく、表情や声の調子までも「本人のもの」として受け取ってしまう可能性があります。

 

 政治家の本物のスピーチとディープフェイクを、人間がどの程度正確に識別できるかを検証した研究では、条件によって識別率に幅ー57~82%ーがあることが示されています(Grohら、2024)。映像、音声、文字情報など、どの情報を与えられるかによって成績は変わりますが、人間の識別が完全ではないことは明らかです。この数字を高いと見るか、低いと見るかは立場によって異なるでしょう。しかし、技術の発展を考えれば、近い将来、人間の肉眼だけでディープフェイクか否かを見分けることは、ますます困難になると考えられます。

 

 もちろん、「AIで作られたものなら、AIで見抜けばよいのではないか」と考えることもできます。実際、ディープフェイクを検知するAIの開発は進められています。しかし、これは一種のいたちごっこです。検知技術が進めば、生成技術も進む。生成技術が進めば、検知技術もまた更新を迫られる。そうした競争のなかで、映像を一見して「これは本物だ」と安心して扱うことは難しくなっていきます。ディープフェイクは、OSINTを無価値にするわけではありません。しかし、映像をそのまま観察対象として扱えばよい時代から、映像の真正性、出所、編集の有無、複数映像との一致、撮影状況の文脈を確認したうえで分析する時代へ移行しているのです。

 

AIだけで表情分析インテリジェンスは完結しない

 

 冒頭で述べたように、フェイシャルプロファイリングでは、感情認識AIなどの技術が用いられることがあります。では、AIが表情を分析し、AIがディープフェイクを検知するなら、人間の観察は不要になるのでしょうか。

 

私は、そうは考えていません。

 

 現在の感情認識AIは、有用な補助ツールになり得ます。大量の映像から特定の表情変化を検出したり、顔の動きのパターンを数値化したりする点では、人間より効率的な場面もあるでしょう。しかし、感情認識AIは、文脈、文化、対人関係、発話意図、演技、戦略的な振る舞いまで含めて、自動的に解釈できる段階にはありません。たとえば、口角が上がっているからといって、単純に「喜び」とは言えません。相手をなだめるための笑顔かも知れません。軽蔑を隠す笑いかも知れません。緊張を和らげるための作り笑いかも知れません。外交場面であれば、相手国への儀礼的配慮として笑顔を見せている可能性もあります。

 表情は、顔面筋の動きだけで意味が決まるものではありません。誰が、誰に対して、どの場面で、どの言葉の直後に、どの程度の強度で、どのくらいの時間、その表情を見せたのか。さらに、その前後で姿勢、視線、声、発話内容、沈黙、間の取り方がどう変化したのか。こうした文脈を含めて初めて、表情の意味を慎重に検討できます。

 

つまり、今後必要なのは、「AIか人間か」の二択ではありません。

 

 AIによる検出・分類、人間による文脈理解、質問法による反応確認、複数情報源による裏取りを組み合わせることです。表情分析インテリジェンスは、AIにすべてを任せるものでも、人間の勘だけに頼るものでもありません。AIと人間の観察力を組み合わせ、仮説を立て、検証し、修正していく営みなのです。

 

単一映像の危うさと、複数情報源の重要性

 

 ディープフェイク時代において、特に注意すべきなのは、単一の映像に依存することです。たとえば、ある政府が自国の首脳の映像を一方的に公表したとします。その映像が、記者団による複数角度の撮影ではなく、政府側が管理したカメラによって撮影・編集されたものだけだった場合、そこには慎重さが必要です。もちろん、その映像が直ちに偽物であるという意味ではありません。しかし、単一の映像だけをもとに人物を判断することは危険です。

 

 様々な利害を持つ報道機関が複数の角度から撮影した映像、現地記者の証言、同席者の反応、過去の映像との比較、発言内容、会談前後の行動、外交上の動きなどを照合する必要があります。顔を見るだけでは不十分です。顔が置かれている状況を見なければなりません。

 

HUMINTへの回帰

 

 では、ディープフェイク時代において、表情分析はどのように実施されるべきなのでしょうか。一つの方向は、最も古く、しかし現在でも重要な方法への回帰です。

 

それが、「HUMINT(ヒューミント)」です。

 

 HUMINTとは、Human Intelligenceの略で、人間同士の接触を通じて得られる情報を意味します。ここでいうHUMINTとは、違法な工作や秘密活動を意味しているのではありません。対面での会話、面談、交渉、聞き取り、現場観察など、人間同士の相互作用を通じて得られる情報を、倫理的・合法的な範囲で分析する営みを指します。

 OSINTは、距離のある分析です。公開映像や公開情報をもとに、対象人物を遠くから観察します。一方、HUMINTは、接触のある分析です。対象人物やその周辺人物と同じ場に身を置き、会話し、質問し、反応を観察します。ディープフェイクが進化するほど、遠くから得られる映像情報の信頼性は揺らぎます。その一方で、生身の人間が、その場で相手の反応を観察し、問いかけ、やり取りの流れの中で仮説を確かめる力は、むしろ重要性を増すと考えられます。

 

刺激と微表情の関係を観察する

 

 表情分析では、様々な表情が分析対象になります。そのなかでも、微表情は重要な手がかりの一つです。微表情とは、抑制しきれなかった感情反応の痕跡として、非常に短時間だけ顔に現れる表情のことです。表出時間はおおむね0.5秒以下とされます。ただし、微表情を見たからといって、ただちに「本音がわかった」と断定することはできません。微表情は、あくまで感情反応の手がかりです。その意味を理解するには、文脈、発話内容、相手との関係、状況、過去の行動傾向を合わせて検討する必要があります。重要なのは、どの刺激に対して、どのような微細な反応が生じたのかです。

 

ある言葉に反応したのか。

ある人物の名前に反応したのか。

ある質問に反応したのか。

ある条件提示に反応したのか。

ある国名、組織名、政策、過去の失敗、家族、健康、権力、名誉、安全保障上の脅威に反応したのか等々。

 

 こうした刺激と反応の関係を観察することで、対象人物が何に注意を向け、何を重視し、何に脅威や不快感を抱き、何に誇りや優越感を感じるのかを推測する手がかりになります。たとえば、ある首脳が特定の経済制裁の話題になると、一瞬だけ怒りや軽蔑の表情を示す。別の場面では、軍事的圧力の話題には平静を装うが、国内支持率の話題には不安の反応を示す。こうした観察は、それ単体で結論を出すものではありません。しかし、交渉上どの話題が相手にとって敏感なのかを考える材料になります。

 

暗黙知を科学的トレーニングへ

 

 微表情観察や対面での人物分析は、従来、「何となくの違和感を察知する力」「長年の経験に裏打ちされた直観」として語られることが多かったかも知れません。実際、熟練した情報担当者や交渉担当者は、相手のわずかな反応から、言葉にしにくい違和感を察知することがあります。しかし、その力を単なる名人芸のままにしておくと、再現性がありません。ある人にはできるが、別の人にはできない。なぜその判断に至ったのか説明できない。誤った直観と、妥当な直観を区別できない。そうした問題が生じます。

 

だからこそ、科学的な知見と体系的なトレーニングが必要になります。

 

顔面筋の動きの基礎を学ぶ。

表情と感情の関係を過度に単純化しない。

微表情を単独で断定材料にしない。

質問法によって反応を引き出す。

複数の情報源と照合する。

観察結果と解釈を分けて記録する。

仮説を立て、後続情報で検証する。

そして、分析の限界を明示する。

 

 こうした手順を踏むことで、表情分析は「勘」ではなく、訓練可能な観察技術になります。もちろん、完全な読心術にはなりません。表情分析で人の内面をすべて見抜けるわけではありません。しかし、適切に訓練された観察者は、未訓練の人が見逃す微細な反応に気づき、それを仮説形成の材料として扱うことができます。この点に、ディープフェイク時代の表情分析教育の意義があります。

 

これから求められる人材

 

 これから求められるのは、映像を見て「怒っている」「不安そうだ」と印象を述べるだけの人材ではありません。必要なのは、映像の真正性を疑い、複数情報源を照合し、表情・しぐさ・声・発話・状況を分けて観察し、質問によって仮説を検証できる人材です。また、AIの出力をそのまま信じるのではなく、AIが何を検出し、何を見落とし、どこから先は人間の文脈理解が必要なのかを判断できる人材です。

 

 ディープフェイク時代の表情分析インテリジェンスとは、観察、質問、検証、倫理を統合した実践知です。科学技術が進歩するほど、人間の観察力、質問力、文脈理解力、そして倫理的判断力が問われるようになる。現在の表情分析インテリジェンスは、その交差点に位置していると私は考えます。

 

 

参考文献・Web

Groh, M., Sankaranarayanan, A., Singh, N., Kim, D. Y., Lippman, A., & Picard, R. W.(2024). Human detection of political speech deepfakes across transcripts, audio, and video. Nature Communications, 15, 8803. https://doi.org/10.1038/s41467-024-51998-z

田中孝幸(2026)「首脳会談を左右する表情分析、米はCIAが総力 所作は言葉より雄弁」『日本経済新聞』2026年5月10日。https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD292FT0Z20C26A4000000/ (2026年5月10日閲覧)

嘘のサインから嘘を見抜くということについて思うこと

 

嘘を見抜くということについて、私の考えを記しておきたいと思います。

「嘘のサインから嘘を見抜く」という言葉をよく見聞きします。

わかりやすい表現ゆえ、私も便宜上、使わないことはないのですが、

 

嘘のサインという言葉は、廃止した方がよいかも知れないと考えています。

 

なぜなら、

嘘のサインを根拠に嘘を見抜こうとすると間違える可能性が高まるからです。

嘘のサインとは、科学実験において、

嘘をつく多数の人と正直な話をする多数の人の言動を比べたとき、

正直な話をする人に比べ、嘘をつく人に、平均的に、

多く、あるいは少なく見られる言動のことを言います。

 

正直な人もする嘘のサイン

 

つまり、

ピノキオの鼻のような絶対的な手がかりではなく、

正直集団と嘘集団の平均差です。

 

裏を返せば、嘘のサインと呼ばれる言動を、

嘘をつく人に比べれば少数であるものの、正直な話をする人もとる、ということです。

 

具体的な嘘のサインから考えてみましょう。

例えば、髪、額、顔、アゴ、その他身体の一部を触る

マニピュレーター(セルフアダプター)と呼ばれるボディーランゲージがあります。

多くの研究から感情の波をなだめようとする動作であることがわかっています。

 

Liら(2024)の実験によれば、

嘘をついた人にマニピュレーターが生じることが報告されています。

 

もう少し正確に説明すると、

実験用に用意された模擬犯罪以外の課題を行い、

嘘をついているのではないかと疑われつつ、

正直に話をした実験参加者らに比べ、

実験用に用意された模擬犯罪を行い、

嘘をついているのではないかと疑われつつ、

嘘をついた実験参加者らにマニピュレーターが多く生じたことがわかっています。

 

この実験からマニピュレーター=嘘のサインという知見が得られます。

嘘のサインに関する科学知見です。エビデンス・ベイストな知見です。

 

嘘のサインから嘘を見抜くことに失敗する理由

 

それでは、目の前に嘘をついているか正直な話をしているか、

供述の真偽を確かめたい人物が一人いるとき、

マニピュレーターの有無から真偽を判定することは出来るでしょうか?

 

マニピュレーターを根拠に、何十人、何百人の人物に対し、「嘘をついている」と判定すれば、

正直に話す人々に比べ、嘘をつく人々を「嘘つき」だと平均的に正しく区別することになるでしょう。

 

しかし、この方法では、

正直に話す多くの人々も、「嘘つき」だと誤って判定されてしまいます。

目の前にいる一人の供述者を対象にしているならなおさらです。

平均的な現象から一人を判定してよいでしょうか?

 

こうしたことに対し、

嘘のサインに気づいたら、その話題について質問し、追及する、という方法が提唱されています。

マニピュレーターで言えば、マニピュレーターは嘘以外の理由で生じることもあるので、

誤判定しないように、マニピュレーターを見つけたら、その話題について追及する、ということです。

 

この方法にも疑問符が付きます。

 

嘘のサインという言葉自体が、バイアスを生むからです。

ある言動を嘘のサインと認定することで、「嘘をついている可能性が大きい」と考えてしまい、

追及中に生じる中立的な言動も嘘を示すモノとして判定しかねないからです。

嘘のサインという考えは、「嘘バイアス」を増殖させてしまう要因となると考えます。

 

嘘のサインから非言語の機能へ

 

それでは、どうしたらよいのか?

 

「機能で考える」ということを私は提唱します。

 

嘘のサインかどうかは、考えない。

嘘のサインの知識さへ不要。

 

必要なのは、例えば、マニピュレーターをみたとき、

「なぜ感情の波をなだめようとしているのだろうか?」と考えること。

そして、この疑問について、質問等を重ね解明していくのです。

 

嘘のサインという言葉を捨て、

非言語の機能から目の前の人物を見つめる。

 

この考えは、私が12年以上様々な場所で

虚偽検出実験をし、質問法×非言語サインを用いた真偽推測法を教授する中で

導かれた結論です。

 

一旦、「嘘のサイン」という言葉と非言語サインを結び付けたとき、

私たちがいかにバイアスにとらわれ、現象を中立的な目で観察できなくなってしまうのか。

ラベル付けの恐ろしさを多く目撃して来ました。

 

非言語の機能面に着目する人物の方が、嘘バイアスにとらわれにくい。

こうしたことを体験しました。

 

嘘のサインにとらわれない、

非言語の機能から嘘を推測する方法に関心のある方は、

2026年4月25日(土)開講

「【2026年度版】表情・しぐさ分析総合コース

ー生成AIに代替されない非言語コミュニケーション力を身につけるー」

で一緒に学びましょう(嘘と非言語については、Lesson5&6で扱います)。

 

詳細・お申込みは次のURLをクリックして下さい。

https://peatix.com/event/4887358/view

 

 

参考文献

Li H, Song H, Li M and Li H (2024) Nonverbal cues to deception: insights from a mock crime scenario in a Chinese sample. Front. Psychol. 15:1331653. doi: 10.3389/fpsyg.2024.1331653 

素敵な笑顔とエイプリルフールとラジオと

 

私は表情分析の専門家ですので、
一瞬一瞬に表れる表情の変化に敏感です。
ですが、私が敏感なのは表情そのものだけではありません。
相手の表情が、自分の身体感覚にどのような影響を与えているのか、
ということにも自然と意識が向きます。

 

幸福、軽蔑、嫌悪、怒り、悲しみ、驚き、恐怖……。
人の顔にはさまざまな感情が表れますが、やはり笑顔は心地よい。
誰かの笑顔を見ると、その温かさがこちらにも伝わってきて、

私まで嬉しい気持ちになります。

 

雨の横浜で出会った、温かな笑顔

 

昨日のことです。横浜のホテルに滞在していました。
夜は中華街に行こうか、それともBarに行こうかと考えていたのですが、
自室で作業を終えた後、雨がまま激しく降っていることに気づき、外出は断念。
ホテルに隣接している飲食店に入ることにしました。

 

一人でカウンター席に座り、ワインのお供にタパスや生ハムなどを注文。
料理はどれも美味しく、お店の雰囲気もとても素敵でした。
ですが、それ以上に私の感覚を心地よく刺激したのは、ある店員さんの笑顔でした。

 

ワインや料理を運んできてくれるたびに、
その方はインディアンえくぼの浮かぶ素敵な笑顔も一緒に届けてくれたのです

(本当に、食事を運んで来てくれる度に満面の笑みでした😊)。
雨で横浜の街を散策することはできませんでしたが、まさに災い転じて福となす、でした。
おかげで、とても心地よい時間を過ごすことができました。
横浜を訪れる機会に、ぜひまた伺いたいと思います。

 

「嘘」のエイプリルフールに語る「ホント」の表情

 

素敵な笑顔といえば、FMヨコハマ「Lovely Day♡」パーソナリティーの近藤さや香さん。
2026年4月1日(水)、エイプリルフールにちなんだ「表情・微表情から嘘を見抜く!?」
というテーマで、FMヨコハマ「Lovely Day♡」にゲスト出演させていただきました。

 

出演時間は15分ほどでしたが、好奇心いっぱいの近藤さんの心地よいリズムに導かれ、
とても楽しく、そして密度の濃い時間を過ごすことができました。
興味、関心、驚き、そして笑顔――そうした表情が自然に移り変わる近藤さんとお話ししていると、
こちらまで気持ちが弾み、会話そのものが生き生きとしていくのを感じました。

 

コミュニケーションの巧みさというと、
どうしても「どんな言葉を使うか」といった言語的な側面に目が向きがちです。
もちろん、近藤さんの言葉の選び方や運び方もとても素晴らしかったです。
けれども、実際にお話ししていて強く感じたのは、それだけではないということです。

とりわけ印象的だったのは、近藤さんの非言語的な表現力、なかでも表情の豊かさです。
話の内容に応じて表情に自然なメリハリがあり、その変化が会話の流れをやわらかく整え、
「話しやすい」と感じさせる空気をつくっていました。言葉がうまいだけでは生まれない、
心地よいコミュニケーションの土台が、そこにはありました。

 

近藤さん、そして準備&本番をサポートして下さった番組スタッフの皆さまに、心より感謝です。

 

以下のリンク先の「radicoで聴く」(前段右にある水色の枠)の01:34:20あたりから、私が出演したコーナーをお聴きいただけます。
ぜひお聴きください。

www.fmyokohama.co.jp

 


清水建二

トランプ大統領の「真珠湾攻撃」発言に高市首相はどう反応した?


米ワシントンで19日(日本時間20日)に行われた日米首脳会談において、
トランプ大統領の「真珠湾攻撃」発言に対する高市首相の反応が様々に報道されています。

私の所感を書きたいと思います。

 

まずは件の動画をご覧ください。

youtu.be

 

トランプ大統領の発言と高市首相の反応を整理します。

 

記者:なぜ日本や欧州などの同盟国に

イランを攻撃することを事前に知らせなかったのですか?

トランプ大統領:誰にも言わなかったのはサプライズにしたかったからだ。

 

高市首相は、大統領の方を向き微笑を浮かべています。
常識的に考えて礼儀としての微笑でしょう。

 

トランプ大統領:サプライズということを知っているのは、

日本以上の国はないでしょう。

 

このとき高市首相は、日本側の方を向き、

微笑を保ったままわずかに上唇を引き上げます。

嫌悪微表情です。

 

大統領の発言は続きます。
トランプ大統領:なぜ事前に知らせてくれなかったんだ…

 

この発言の直前から高市首相の顔から微笑が消え、
眉が引き上げられ、目が見開かれます。姿勢は後退します。興味・関心・驚きです。
「どんな発言がなされるのだろうか」と情報を求めている段階だと考えられます。
先の嫌悪と合わせて、微笑が消えたことから嫌な予感がしたのかも知れません。
視線は下方、日本側に向かいます。

 

そして、問題のワードが発言されます。

トランプ大統領:…パールハーバー(真珠湾攻撃)のことを?

 

このとき、高市首相の眉と瞼の引き上がりは最高潮を迎えます。
視線は正面の方に戻り、口をわずかに開けますが、すぐに閉じます。
何か発言しようとした可能性があります。

 

トランプ大統領の方を少し向き、また日本側に向き直します。
微笑を戻しつつも眉が引き上げられ、目が見開かれます。
そして、わずかに上唇が引き上げられます。2度目の嫌悪微表情です。

 

これらの嫌悪微表情は何に対して向けられているのでしょうか。
原則、視線の向けられる先が感情が向けられる先です。
上記の通り、高市首相の視線の向きは定まりません。

 

トランプ大統領から不遜な発言を引き出した記者に対する嫌悪でしょうか。
高市首相自身が適切に返せなかったことに対する自己嫌悪でしょうか。
トランプ大統領の発言そのものに対する嫌悪でしょうか。
はたまた、どこに嫌悪を向けたらよいのか迷っていたのかも知れません。

 

これらの可能性が考えられます。
どれか一つかも知れないし、全てかも知れません。

 

いずれにせよ微表情ですので、
この場で自身の感情を発露することは相応しくないと思われたものと考えます。

 

ところで、私たちがトランプ大統領の立場だとします。会議の場などで発言し、

先方に高市首相のような表情をさせてしまったら、どうしたらよいでしょうか?

 

対応の仕方は色々ありますが、まずは微表情に気づくこと。

微表情に気づくことが出来れば、相手を尊重したコミュニケーションを

生み出すきっかけを得ることが出来ます。

 


参考Web:
トランプ大統領 日米首脳会談で「真珠湾攻撃の冗談を飛ばした」 米紙報道(2026年3月20日)

 

清水建二

スターバックス訪問記#1


仕事やプライベート問わず、私はスターバックスに訪れます。
無論、地域や国によってある程度の違いはありますが、

概ねサービスや建物内は規格化されており、

自分のベースラインを整えるお手軽な方法に感じます。

 

本日、訪問するスターバックスはこちら。

 

 

滞在先のホテルで資料を読み込み、集中力が欠けて来た頃。
コーヒーでも飲みながら今一度集中して資料を読もうと近くを散策。
川に面するスターバックスを発見。

 

発見、発見というのは、嘘です。
前にも何度か訪れたことのある店舗です。
川の流れを眺めながら過ごせる雰囲気のよさを知っています。
以前と異なるのは、こんな特別な座席があること。

 

 

そう、川床があるのです。
毎年、期間限定で設置されていることを知っていたのですが、
なかなかタイミングが合わず、今回はじめて訪問のチャンスに恵まれました。

 

 

資料から少し目を上げれば、水流が種々の形を成している様に癒されます。
資料から目を上げなくても、水流が種々の音を出し、耳を楽しませてくれます。
何度か目の前に雀が訪れます。何もあげられるものはないのだけれど。

 

初めての川床。
風景と風と音を直に身体で感受できる一方、
直射日光がまぶしく、暑すぎて30分もいられません。
憧れというのは遠くで眺めるものなのかも知れません。

 

店内に移動します。

 



常設のカウンター席でも十分楽しめます。

 

お手洗いに行くために下の階に下ります。
ここにも空間が広がります。明るく開放的な上の階に比べて、
日がほぼ差さないゆえか隠れ家的雰囲気を醸し出しています。
川の流れもぐっと身近に迫ります。今度はこちらにも座ってみよう。

 

追伸:川床の席は、夕方~夜の涼しくなってくる時間帯がベストかも知れません。

建物のライトアップも綺麗です。

 

訪問日:2025年6月26日(木)
訪問店舗:京都三条大橋店

store.starbucks.co.jp

 


清水建二