微表情

フラッシュのように一瞬で表れては消え去る微妙な表情、微表情。このブログでは、微表情、表情、顔を始めとした非言語コミュニケーションの研究や実例から「空気を読む」を科学します、「空気」に色をつけていきます。

2023年10月28日(土)開講清水ゼミアップデート情報

10月4日(水)時点での清水ゼミ情報をお知らせします。

 

最初に、お申込み状況です。

 

リモート受講(Zoom)は、まだお席に余裕がございますが、対面教室受講は、残り1席です。対面で学ばれたい方は、お早めにお申し込み下さい。

 

次に、予習についてです。

 

今期の清水ゼミでは、各ゼミLesson開始前に、課題論文を読み、課題論文に関連する問題に回答して頂くことをお願いしております(目下、お申込み済みの方へ、順次、課題論文に関する問題をメールにてお配りしております)。

 

ここ数年のゼミでは、ゼミ時間内で問題に回答して頂いておりましたが、今期は、ディスカッションの時間を多くとれればと考え、予習して頂く形としました。

 

コロナ禍で難しかったディスカッションを活発化させたいと思っております。学術論文で得た知見を具体的な事例や、ご自身の関心事と組み合わせ、知見と思考の幅を広げて参りましょう。

 

なお、「学術論文が難しくてわからない」と思われる場合、頑張れるところまで頑張って下さい。現在、翻訳ツールはどんどん進歩しており、翻訳された日本語は、変なところもありますが、大まかな理解を妨げるほどではないと思います。また、ChatGPTもどんどん駆使して下さい。

 

それでも、「出来ない」「わからない」。

 

ゆめゆめ落ち込まないで下さい。清水がゼミ内で必要十分に解説します。隅から隅まで理解し尽くそう、なんて気負いせずに、おおらかに。完璧主義が学びを妨げます。歩みを止めたらダメなのです。少しでも歩みを進めるうちに、前は理解出来なかったことがおぼろげながら理解できるようになってくる、よくあることです。歩みを止めると、歩み再会するのにパワーが必要です。少しでも歩み続けましょう。

 

そして、ゼミ参加を検討されている方へ一言です。

 

FACS認定コーダーになったら、是非ゼミで研磨を重ねて下さい。ゼミでは、FACSを用いた研究や感情に関わる学術論文を読み、FACSの使い方や知識を深め、動画課題でコーディングの練習をします。一人ではなかなか出来ないことだと思います(FACSコーディングの相関は、工夫すれば一人でも出来ないことはありませんが、面倒です。また、信頼性は担保出来ても、妥当性は怪しいかも知れません)。

 

FACSは運転免許と似ています。定期的にコーディングしていないと、コードを忘れてしまったり、スキルが落ちてしまったりします。ご自身のコーディングの精度を確かめ、スキルを維持・向上させるために是非ゼミをご利用下さい。

 

ゼミには一人の学びでは決して得られないものがあります。
その時参加されているゼミ生にしか公開されない情報や貴重な資料が共有されることもあります。
2023年10月28日(土)13:00より、清水ゼミ開講です。
詳細・お申込みは、次のURLよりお願いします。

https://peatix.com/event/3692934/view

 


清水

 

2023年10月28日(土)清水ゼミ開講のお知らせ

2023年10月28日(土)に清水ゼミを開講します。
表情分析の知識とスキルを向上させたい方は是非お申込み下さい。

 

良質な学術論文の読解、動画を用いた表情分析エクササイズ、
異なるバックグラウンド同じ志を持つ仲間との交流・ディスカッションと
知的興奮を感じることの出来るゼミだと思います。

 

清水ゼミでは、毎回学術論文を読み、その論文に関連するエクササイズを行います。
学術論文から得られる知見は、正確な心理分析や実践知の土台となります。
学術論文の知見を基にすることで、経験則が陥りがちなバイアスを排除してくれます。

 

しかし、「○○大学の教授によると□□である」「△△の実験によると▼▼である」

という文言で語られる知見は、どこまでリアリティーを持って受け入れ、

実践知と出来るのでしょうか。

 

心理学の知見は、集団Aと集団Bの平均的な差を観ているわけであり、
自身の目の前にいる個人が、その集団A、あるいはBの平均的な行動を

取るとは限らないのです。
その個人が各集団の平均的な傾向を取ることもあれば、

全く異なる装いを持つこともあるのです。

 

では、どうしたらよいのでしょうか。

 

そう、だからこそ、

学術論文で扱われている知見に関する動画を自身の目で見て、
論文の知見と体験(論文の実験を再現した・類似した動画を分析)が

どのくらい近いか、どうすれば実践知に落とし込めるのか、思考し、

ディスカッションすることを清水ゼミでは大切にしているのです。

 

例えば、今期清水ゼミLesson5で扱う
Matsumotoら (2020)の実験知見より、

 

「これから犯罪を行おうと意図している者がウソをつくとき、
その者から、恐怖及び嫌悪表情、シュラッグ、マニピュレーター、
前後左右の身体の揺れ、硬直した姿勢が多く観察され、
これらの指標から70%前後の精度で真偽判定できる」

 

ということがわかっています。

 

「なるほど。真偽判定するには、こうした指標を手がかりにすればよいのね」
と思われると思います。

 

しかし、これら指標は、正直な者の集団に比べ、
ウソをついた者の集団が平均的に取る行動です。

 

また、この実験では、状況設定が模擬犯罪ですが、

模擬犯罪でなくても同じ知見が得られるのか。

 

なにより、頭で理解したことをどれだけ実践に落とし込むことが出来るかが、
現実世界を生きる我々には重要なことです。


どれくらい自信を持って判定できるでしょうか。

 

こちらの動画を観て下さい。
実験参加者のモチベーションを操作し、適切な環境のもと作成した動画です。

直近の未来の行動、すなわち意図についてウソをついているのは、

女性と男性のどちらでしょうか。

youtu.be

 

答えは、わかりましたか。

どのくらい自信を持って判定しましたか。

 

ということで、学術知見と動画エクササイズ、

仲間とのディスカッションで実践知を磨きたい方は、

清水ゼミに是非お越しください。

 

動画の答えは、清水ゼミLesson5で発表します。

 

詳細・お申し込みはこちらからお願いします。

https://peatix.com/event/3692934/view

 

 

清水建二

立教大学で講義してきました


竹田葉留美先生にゲストスピーカーとして招かれ、2023年6月16日(金)に

立教大学池袋キャンパスにて一コマ講義を担当させて頂きました。

 

去年、今年と千葉大学教育学部の非常勤講師を務めさせて頂いておりますが、
あらためて大学のキャンパスは、よいですね。活力に溢れています。
特に当日は、晴天で、太陽がさんさんと降り注ぎ、オンラインからオフラインになり、
キャンパス内は沢山の大学生らでにぎわっており、特にそう感じました。

 

 

大学で学問していた時代が懐かしいです。
今でも学問はしていますが、何でもしてよい、何もしなくてもよい時代は、
人生でそうそうありませんので、場も人も、とても輝いて感じられました。

 

講義は、対人関係の心理Lesson10にて
「コミュニケーションと微表情」というテーマで行いました。
具体的には、

 

1. 感情をどのように察するか?
・表情には何が書いてあるのか?
・微表情とは何か?

2. コミュニケーションの間合いを知る
・表情読みとりのキホンのキホンー5 ミリに込められた相手の気持ちー
・<ケース>相手の「わかる」「わからない」を見える化する
・<トレーニング>相手の「わからない」表情を読みとれるようになろう

3. いつでも、どこでも、誰にでも現れる万国共通の7表情
・幸福・軽蔑・嫌悪・怒り・悲しみ・恐怖・驚き感情と表情の特徴
・<ケース>その味、本当に好み?
・<ケース>そのアドバイス、相手の心に刺さってる?
・<ケース>それは単なる反発か?有益なアイディアか?
・<ケース>日常の中に潜むヘルプサイン
・<ケース>微表情からウソを推測する

4. 質疑応答

 

という構成で行いました。

 

 

 

大学の講義ではありますが、実践を意識した
「表情・微表情の変化を動画で観て、アプローチ法を考える」という
清水のスタイルは踏襲しつつ、科学知見をちりばめ、
興味関心があれば、参考文献・論文から詳しい知見を得てもらうように心がけました。

 

 

説明知と生活知の交錯を体感。

 

大部分の学生諸君が顔を上げ、私の問いかけに応答し、
大教室では稀有な?質問まであり、熱意の感じられる場でした。

 

課題は、小レポート。
提出は後日ですので、まだ見ていませんが、
学生の皆さんからどんなフィードバックがもらえるか楽しみです。

 

今回の機会をオファー下さった
竹田葉留美先生に大感謝です。

 

また機会があれば、講義しに行きたいです。
全国の大学の教職員の方々、お声がけお待ちしております。

 


清水建二

「表情分析プラクティショナー養成オンデマンド」資格取得コースの紹介

私、清水建二が特別顧問を務めております日本交渉協会にて、

清水監修及び講義担当の「表情分析プラクティショナー養成オンデマンドコース」

が開講されております。

 

本コースを受講し、試験に合格することで、

NPO法人日本交渉協会認定の

「交渉アナリスト表情分析プラクティショナー」資格を取得することが出来ます。

 

他者の微細な表情変化から

潜在的な問題が生じていることに気づき、

コミュニケーションの流れを円滑化させることで、

問題を解決するアプローチ法を学ぶことを目的としています。

 

オリエンテーション、理論編、実践編から構成され、

表情について理論的に学べるだけでなく、

日常・ビジネスコミュニケーションで

どう活かすことが出来るか実践的にも学ぶことが出来ます。

 

会話の相手はあなたの話を、どの程度理解しているだろうか?

商談相手の予算はどのくらいだろうか?

部下は仕事をどんな気持ちで、受けてくれただろうか?

部下に伝えたアドバイスが、どの程度受け入れられているだろうか?

接客中、笑顔以外にどんな表情が大切なのだろうか?

どんな表情で返答するのが、相手に共感を示せるだろうか?

採用面接で抱く違和感をクリアにするには、どうしたらよいのだろうか?

等々。

 

こうした疑問を表情観察・分析の理論から解明します。

豊富な画像・動画を用いて実践演習をし、理論を血肉化します。

 

表情分析に関する日本の資格で、

2023年6月時点で清水が認めるものは他にございません。

清水の知識と経験を厳選して盛り込んだ講義&資格です。

表情観察・分析について今一歩深めたい方は、

是非、本資格取得を目指して下さい。

 

詳細・お申し込みはこちらのURLより、よろしくお願いいたします。

nego-analyst.jp

 

 

清水建二

2023年6月10日(土)13:00-17:00開催「清水ゼミリユニオン」【対面・オンラインライブ・録画開催】

こんにちは、空気研の清水建二です。

本日は、特別なセミナーの宣伝です。

 

6月10日(土)に清水ゼミリユニオンを開催します。

 

清水ゼミは、

認定FACSコーダーの資格を持っている方を対象に、

表情分析の知見と分析・解釈技術を高めるために、

半年ごとに開催しているコースです。

毎月、学術論文を読み、議論し、課題動画をFACS分析・解釈し、

ゼミ生一丸となって、プロフェショナルを目指し続けています。

 

そんな清水ゼミですが、開講時期が毎年10月-3月のため、

「4月-9月にも何か論文やFACS分析を深める機会が欲しい」

「同じ興味・関心を抱く仲間と集いたい」という声や、

「しばらく清水ゼミに参加しておらず、復帰のタイミングを探っている」

「半年間は厳しいが、単発で学びを深める機会が欲しい」

という声を頂いております。

 

そこで、「清水ゼミリユニオン」を開催させて頂くことにしました。

 

今回のセミナーでは、

得るもの失うものが大きい状況において、

真実の話をする者に比べ、ウソの話をする者は、

どのような表情・微表情が生じるのか?

真実を話すときとウソを話すときでは、

表情・微表情にどのような違いが生じるのか?

という疑問について、学術論文を読み、知見を得、

実験動画をFACS分析し、実践力を高めます。

 

ここで今回、本セミナーで使う動画を少しお見せしたいと思います。

4分弱の短い動画です。

 

問題:次の実験参加者は、実家の間取り、趣味、職業経験について話しています。

しかし、どれか一つだけウソをついています。

 

実験の設定:

各話の様子を観察者が見ており、

実験参加者の話が信用されれば、

実験参加者は賞金(平均1万円)を獲得することが出来ます。

話が信用されなければ、罰(賞金の没収、

完成までに1時間かかるアンケートに答える)が科されます。

 

ウソの話はどれでしょう?挑戦してみて下さい。

 

www.youtube.com

 

いかがでしたでしょうか?

簡単でしたか?難しかったでしょうか?

 

ウソの話にはある微表情が生じています。

しかし、真実の話にも同じ種類の微表情が生じています。

微表情はウソのサインになりますが、ウソの話にも真実の話にも

微表情が出て来てしまっています。困りました。

 

この理由は、色々ありますが、例えば、

真実を話していて、冤罪を被せられてしまうことに対する感情のブレ、

ウソを話していて、ウソがばれてしまうことに対する感情のブレ

が、一見、似ていることに起因します。

 

どうしたらよいでしょうか?

個人内比較というものをすることで、この問題を解決できます。

気になる解答・解説は、清水ゼミリユニオンで行います。

 

この問題の他にも、個人間比較を用いた動画分析も行います。

 

科学知見も実践力も磨くことの出来る清水ゼミリユニオン、

現清水ゼミメンバー、これまでのメンバー、資格保持者などなど

皆さまの参加をお待ちしております。

 

開催日時:2023年6月10日(土)13:00-17:00

開催場所:恵比寿会場(リアル)・オンライン(ライブ・録画)

詳細・お申し込みは、次のURLよりよろしくお願いします。

https://peatix.com/event/3570622/view

 

それでは、会場、あるいはオンラインでお会いしましょう。

 

 

清水建二

2023年5月20日(土)13:00-15:00開催「危険人物を探知せよ!未然に危険を防ぐ表情観察法セミナー」

 

2023年5月20日(土)13:00-15:00に「危険人物を探知せよ!未然に危険を防ぐ表情観察法セミナー」と題したオンラインセミナーを開催します。

 

セミナーは、暴力行為を計画している人物の表情を検知し、危険を回避するスキルを養成することを目的としています。

 

カリキュラムは、次の通りです。

 

Part 1. 実践編

・危険表情検知プレテスト

・二つの危険表情-攻撃を目論んでいる顔と理性を失った顔

・危険表情と間違いやすい表情

・<トレーニング>危険表情検知トレーニン

・危険表情検知ポストテスト

 

Part 2. 理論編

・危険表情の科学的根拠

・ANCODI仮説-集団暴力を誘発する感情と表情

 

科学的に実証され、米国の警備・警察機関で採用されているツールでトレーニングします。自分及び自分の大切な人の安全度を引き上げたい方は、参加を是非ご検討下さい。

 

詳細・お申込みは、次のURLをご覧ください。

https://peatix.com/event/3567373/view

 

 

清水建二

微表情研究家の観察日記1-オカマバーと占い

 

オカマバーに行って来たときの話。

 

ある飲み屋街の一角にオカマバーがあった。

 

男性同性愛者バーと書いた方が、ポリコレ的には正しいのだろうけど、その店の看板にオカマバーと目立つように書かれてあったため、オカマと呼ぶ方が敬意を示していることになると思料。

 

バーに入ると、カウンターに店主。ピンクと白のドレスに身を包んだおじさん。小柄で化粧はバッチリだけど、10メートルくらい離れていればわからないかも知れないけど、この距離だと、おじさん。

 

「はじめて?」

 

「はい」。

 

「こちらにどうぞ」。

 

料金説明をしてもらい、飲み放題に入っている赤ワインをオーダー。

 

店には、店主の彼女と私のみ。

 

この店は、コロナが日本に蔓延するちょっと前に開店したんだとか。

 

「タイミング最悪ね」。

 

「営業出来ていたんですか?」

 

「まぁ、常連さんが来てくれたから」。

 

「常連さんというと、前のお店からの?」

 

彼女は、関西某所のオカマバーで一従業員としてずっと働いていたようで、ついに独立。

 

お互いの身の上話をしていたところ、お客さんが一人入店。

 

「今、他のお客さんがいるから、あまり接客できないけど」。

 

彼女は、女性のお客さんにあまり関心がない様子。その女性のお客さんのオーダーを取り、オーダーの飲み物をそのお客さんの前に置くと、私の前に戻ってきた。

 

彼女と私が、他愛もない話をしているのを、二つ空けた席から声もなく微妙に頷く女性のお客さん。

 

居心地が悪くなって来た。そんなに話も盛り上がらない。帰りたくなってきたけど、帰るには悪いくらい早い。

 

「ちょっと、あなた、40にもなって『一杯いかが?』とか言えないの?」

 

言える。言えますよ。普段は。言い過ぎるくらい言ってますよ。

っていうか、ジェンダーという常識は破っても、年齢という常識は破らないのね、

 

と思う。

 

「じゃあ、一杯どうぞ」。

 

「ありがと」。

 

この店の看板に占いが出来ると書いてあったのを思い出す。

 

「占い出来るんですか?」

 

「タロット、手相、姓名判断、色々できるわよ。小学生の頃からやっているの」。

 

「そうねぇ、あなたは、頑固なところがある…。でも、ときに驚くほど柔軟な発想も出来る。どう?思い当たるでしょ?」。

 

コールドリーディングかよ!

 

と心の中で盛大に叫ぶ。

 

でも、お願いする。お願いしないと間が持たない。

 

「じゃあ、お願いします」。

 

「はい、3,000円」。

 

「え?今、払うんですか?後でまとめて」。

 

「サービスだから」。

 

色々モヤモヤするものの、お願いする。

 

全く印象に残らないほど、内容は覚えていないが、唯一覚えていることがある。

 

「あなた、26歳か27歳のときに人生を左右する出来事があったでしょ?」

 

「はぁ…」。

 

「あったはず」。

 

じっと、私の目を見る店主。

 

虚ろな目で見返す私。

 

平均的に社会人になって5~6年の男性なら、仕事に慣れ、部下が出来、信頼も集まって来る。

大きなプロジェクトを任されたり、自分の可能性を再考し、転職を決意したり。

ビジネスパートナーが見つかって独立、なんて考えるのもこの時期かも知れない。

プライベートでは、将来の伴侶も見つかる時期というのもあるかも知れない。

 

一方、そのときの私は、大学院生真っ只中。

そのときの出会いや出来事を一つ一つ取り上げて、

今に通じる価値を事細かに洗い出し見出そうと思えば、見つかるかも知れない。

しかし、そうした多大な努力をしなければ、その可能性すら判断できないレベルである。

 

もう帰ろう。

 

「じゃ、お会計お願いします」。

 

「はい、ちょっと待ってね…え~と、シャンパン頂いたから、2万1千円ね」。

 

シャンパン飲んでたのかよ。

 

と心の中で呟く。

 

「カード使えますか?」

 

「うちカード使えないの。現金でお願いね」。

 

「現金あったかな?」

 

「40なら10万くらい財布に入れておくものでしょ」。

 

やはり、彼女にとって、年齢という常識は、鉄壁のようだ。

 

「はい、じゃあ、これで」。

 

どっと疲れた。

 

店外まで見送りに来てくれた彼女。

 

「今日は、ありがとう。そうそう、今週末でこの店閉めるの。また縁があったらどこかで会いましょう」。

 

コロナ禍直前に店を開き、収束し始めたタイミングで店をたたむ。

 

占いは!!

 

 

清水建二