「ニュースで学ぶ微表情のリアル」では、ニュース報道でみられるリアルな微表情を分析・考察し、日常・ビジネスコミュニケーションに役立つTipsを発信します。
今回は、2024年8月30日(金)、兵庫県議会調査委員会(百条委員会)における証人尋問で見解を述べた斎藤元彦知事の微表情についてです。
どんな微表情が見られるでしょうか?
まずはこちらの映像をご覧ください。
リンク下の括弧内の数字が微表情が生じたときです。
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「反省してます」「襟を正していきたい」という言葉や質問者からの「しっかり守って頂きたい」という発言に対する頷きから、自身の至らない面を是正し、改善していこうというメッセージを伝えようとしているのがわかります。
しかし、微表情に注目して下さい。どんな微表情が生じているでしょうか?
鼻にしわが生じています。嫌悪の微表情です。この嫌悪の意味は何でしょうか。分析・考察のレベルを上げることで、この嫌悪の意味をより明確にすることは可能ですが、ここではこれ以上深入りしません。なぜなら、日常・ビジネスコミュニケーションにおいてこうした微表情を活用するには、大雑把な構えが必要だからです。
部下のミスに対するアプローチ
それでは、ニュースの微表情に関連付け、活用例を考えてみましょう。例えば、部下がミスをしたとします。上司のあなたは、指導中です。「反省しています」「これからは気をつけたいと思います」と言いながら、部下の顔に嫌悪の微表情が生じるとしましょう。
上司のあなたは、部下に何と言いますか?何と言えば、部下の向上につながるでしょうか?
「具体的に何がミスの原因か、考え得るものを挙げてみて下さい」。
「改善点を話し合いましょう」。
こうした方向性のアプローチがよいでしょう。
なぜか?
それは、この嫌悪の意味を大雑把にとると、「ミスをしてしまったことに対する自己嫌悪」、あるいは、「反省していないのに『反省しています』という虚偽を言うことへの嫌悪」の可能性が考えられるからです。この場面で虚偽かどうか追求するより、いずれの解釈でも先のアプローチをすれば、部下の向上につながるでしょう。
「嫌悪の微表情があってもなくても、同じアプローチをする」という方もいらっしゃるかも知れません。微表情は抑制された強い感情の漏洩です。当人がとても重要だと思う場面・話題で生じるのです。つまり、微表情が生じる場面・話題では、殊更、当人の感情に気遣い、その話題について慎重に、慎重に話し合うことが大切になります。
本事例で言えば、部下は全然反省する気がないのかも知れません。そうであれば、反発する理由を丁寧に聞かなければ、同じミスをまたするでしょう。あるいは、自身のミスに思うところが色々あり、気持ちを吐き出したいのかも知れません。そうであれば、部下の気持ちを丁寧に聞くことで、潜在的な問題や思いもよらない改善策が出て来るかも知れないのです。
おまけ1
斎藤知事の嫌悪微表情含め、知事の心理分析に関心のある方は、東洋経済オンラインに寄稿しましたので、ご覧ください。
おまけ2
今回紹介したような時事ニュースの中に見られる微表情に触れたい、考えたい、解説を聞きたい、という方は、10月12日(土)開講の「表情・しぐさ分析総合コース」にご参加ください。一般公開できない話も色々します(機密情報に触れるわけではございません。念のため)。
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清水建二