本日は、表情分析の活用法ついて紹介したいと思います。表情分析を用いて出来ることの一つに「意図を推し量る」が挙げられます。両者の関係について検討した学術論文もありますが、本日は、実例から紹介したいと思います。まずは、次の記事をご覧ください。私が2022年9月に本ブログにアップしたものです。
プーチン大統領の表情分析部分のみを要約しますと、 ウクライナ進行直後の時点(2022年2月27日)に比べ、ロシアにとって戦況が厳しくなってきた時点(2022年9月21日)のプーチン大統領は、両時点において言葉では「西洋諸国やNATOがロシアに敵対的であること」「核兵器使用の可能性があること」という同じことを述べているにも関わらず、感情は、変化に富み、その起伏も激しく、不安定になっている、ということです。
ブログ記事では心理分析まで踏み込んでいませんが、私の講義や研修を受講された方の中には、この感情の不安定さに加え、核に言及している他の場面におけるプーチン大統領の表情から、2022年9月末時点において、「ウクライナでの核兵器使用の可能性が高まっている」という私の発言を覚えている方もいらっしゃるでしょう。
この予測の妥当性をどう評価したらよいでしょうか。
目下、幸いなことに、ウクライナで核兵器は使用されていません。しかし、次の記事を見て下さい。2024年3月11日配信の記事です。
2022年10月頃、ロシア軍の中で核兵器使用に関するやりとりが増え、「ウクライナ軍がクリミアを奪還する試みをすれば50%以上の確率で核兵器を使用する」という分析をアメリカの情報機関がしていた、という記事です。
この分析は、秘匿情報を通信傍受するという直接的かつ高度な技術により細かな予測をしています。一方、私の表情分析は、オープンソースの情報を用い、科学的にとても単純な方法を用いています。その分、大雑把な予測です。「表情分析だけで全てがわかる」「相手の心を見通せる」とは全く言えませんが、表情分析を様々な手法と組み合わせることで、情報の探り方、方向性や推測の精度を上げることが出来ると言えるでしょう。
清水建二