微表情

フラッシュのように一瞬で表れては消え去る微妙な表情、微表情。このブログでは、微表情、表情、顔を始めとした非言語コミュニケーションの研究や実例から「空気を読む」を科学します、「空気」に色をつけていきます。

ベッキーは許せても、舛添知事を許せないのはなぜ?

 

本日は時事ネタを通して、感情のメカニズムについて学びましょう。

テーマは、

 

ベッキーは許せても、舛添知事を許せないのはなぜ?

 

です。

 

「そりゃ、色恋沙汰と政治資金問題は、次元が違うでしょ!そんなこといちいち考えなくてもわかるでしょ。」と言ってしまえば、それまでなのですが、このブログは「なんとなく」思考を「見える化」思考に、暗黙知を説明知に、を目指しておりますので、しばしお付き合いを。

 

釈明に対して、私たちがどの程度、許せるかに関して様々な研究がなされています。その中でも説明力に優れた理論としてワイナーの帰属理論(1995; 2006)というものがあります。物事の成功・失敗がどこに帰属しているかを説明する理論です。釈明の文脈で言うと、釈明が成功=みんなに許してもらえる、釈明が失敗=みんなに許してもらえない、ということになります。

 

ワイナーは、成功・失敗の原因を、所在、統制可能性、安定性の3つの次元に分けて分析しています。所在とは、出来事の原因が問題を起こした本人にどの程度あるか、ということです。統制可能性とは、問題を起こした本人がその原因をどの程度コントロールできたか、ということです。安定性とは、問題の原因が一定の時間が過ぎてもどの程度続いているか、ということです。

 

所在の程度が高く(つまり自分に原因がある)、統制可能性も高く(自分で問題の原因をコントロールできる)、安定性も高い(問題の原因が一定期間続く)とみなされた場合、私たちは問題を起こした人物のことを許せないと感じる傾向にあります。逆またしかりです。

 

この考え方をベッキーさんと舛添知事の問題に当てはめてみましょう。

 

ベッキーさん

所在:中程度➡相手の男性にも原因があるため

統制可能性:中程度➡人を好きになる気持ちをコントロールすることは難しいから

安定性:中程度➡恋仲は不安定だから

 

舛添知事

所在:中程度➡会計処理の方法や会計係の判断という要素も絡むため

統制可能性:高程度➡政治資金名目で支出するか否かはご自分の判断であり、また会計係などに指示できる立場であったため

安定性:高程度➡調査されなければ気付かれないようなメカニズムだから

 

両者の次元を比較すると舛添知事の方が高程度の次元が多いですよね。そんなこんなで舛添知事に対して許せない声が大きいことが理論的に説明できます。

 

皆さんも、誰かが皆さんに対して怒り、なかなか許してくれなかったら、この3つの次元から問題をとらえなおしてみると釈明のヒントが得られるかも知れませんよ。

 

そういえば本日のブログ、カテゴリーは表情分析なのに表情分析は全然していませんね。

なぜならば!それば別の場所ですでにしているからなのです。

ベッキーさんと舛添知事の表情分析は、日刊SPA!様にてさせて頂いております。

ご興味ある方は、以下のURLからお読み下さい。

http://nikkan-spa.jp/1110695

 

  

清水建二

参考文献

Weiner, B. (1995). Judgments of responsibility. New York: Guilford.

Weiner, B. (2006). Social motivation, justice, and the moral emotions: Attributional approach. Mahwah: Lawrence Earlbaum Associates.