微表情

フラッシュのように一瞬で表れては消え去る微妙な表情、微表情。このブログでは、微表情、表情、顔を始めとした非言語コミュニケーションの研究や実例から「空気を読む」を科学します、「空気」に色をつけていきます。

DVD購入者特典④―模範解答

 

本日は前回の解答です。以下が模範解答になります。分析対象動画はvol5-q13です。

 

 

問題1:00:11秒のときの表情筋の動きを全て記述して下さい。またこの表情はどんな感情を示していますか?

 

 vol5-q13の00:11秒時のとき画像を参照しながら、分析結果を記述する。なお以下の記述はすべて分析対象者の中立表情と比べたものであることを留意されたい。

 

 「眉が引き上げられる」+「上まぶたが引き上げられる」+「下まぶたに力が入れられる」+「口角が水平に引かれる」という動きが観察されることから、対象人物は驚きと恐怖を同時に抱いていると考えられる。ただし、恐怖に関連する表情筋の数と強度により、驚きより恐怖の方を強く抱いていると考えられる※1。

 「眉が引き上げられる」という単独の動きは、驚きあるいは恐怖の意味を持つ。どちらの意味かはこの単独の動きのみからは決めることが出来ない。より抽象的な意味次元で解釈すると情報検索と言える。「上まぶたが引き上げられる」単独の動きは、怒りや驚き、そして恐怖といった複合的な意味を持つが、「下まぶたに力が入れられる」動きが伴っていることから、恐怖と解釈できる。「口角が水平に引かれる」単独の動きは、恐怖を意味する。

 

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※本画像の権利は、株式会社空気を読むを科学する研究所に帰属します。無断転載を禁じます。

 

※1 複合的な意味を持つ表情筋の動きの中で一番強い強度を持つ表情筋の動きを代表して、特定の感情に解釈する方法は科学論文で観られる手法である。

 

問題2:この表情はアメリカ人と比べると日本人の正答率は低い傾向にあります。その考えられる理由とともに日本人にとってこの表情は他のどの表情と混同されてしまうのか答えて下さい。

 

 日本人はアメリカ人と比べて、恐怖表情を驚き表情と取り違える傾向にある。その理由は、日本がアメリカよりも犯罪が少なく安全な国であることから、恐怖を抱く状況が少なく、また他者の恐怖表情をシグナルに行動することから得られる利点も少ないことから、恐怖表情の認識精度が低下したのではないかと考えられる。

 

 

 以上が模範解答となります。問題2の日本人の誤読に関しては定説があるわけではないため、他にも理由は考えられると思います。なお微表情検知DVD動画版では、本動画の正解は恐怖に代表して設定しています。表情認識率の違いについて関心がある方は、専門書ですが、木村あやの『研究用日本人表情刺激の作成とその臨床的適用』風間書房(2013)が参考になります。

 おまけ話ですが、この書籍には私的な思い入れがあります。私が月収10万円で塾講師をしていたとき、なけなしのお金で購入した書籍でした。よく行く書店のよく行く心理学コーナーで本書を見つけたとき、もの凄く興奮したことを覚えています。食費もままならないのに即買いした書籍でした。

 

 

清水建二

参考図書

研究用日本人表情刺激の作成とその臨床的適用

研究用日本人表情刺激の作成とその臨床的適用