微表情

フラッシュのように一瞬で表れては消え去る微妙な表情、微表情。このブログでは、微表情、表情、顔を始めとした非言語コミュニケーションの研究や実例から「空気を読む」を科学します、「空気」に色をつけていきます。

Lie to me から学べる表情学8追記―やじろべえの精神

 

前回のブログでは、科学の大切さを書かせて頂きました。

本日は経験の大切さのお話です。

 

説明知と生活知という言葉があります。

 

多数の表情筋の名称や位置、機能を理解し、表情筋のコミュニケーション上の意味を説明できる。ビデオ録画を用いて、コンマ毎に区切りながら、表情筋の動きを精密に分析できる。このような表情のメカニズムについて説明できる能力を持つ人を、表情・感情に関して説明知を持つと呼びます。

 

表情筋のメカニズムは説明できないが、リアルタイムで人の表情の動きから、人の感情を推し量り、それをコミュニケーションに活かすことが出来る。このような能力を持つ人を、表情・感情に関して生活知を持つと呼びます。

 

いうまでもなく、研究者は、説明知に長け、経験豊富な人は、生活知に長けているわけです。

 

微表情を用いたコミュニケーションということで話を続けますと、研究者は微表情について説明できても、それをリアルタイムで検知出来ない可能性があり(エクマン先生やマツモト先生は例外ですが)、また検知出来たとしても、様々な経験を通じて生の人々とコミュニケーションを取っていなければ、微表情という情報を上手く使いこなし、コミュニケーションにおいて役立てることは難しいでしょう。

 

一方で、経験豊富で直感的に微表情を感じ、上手なコミュニケーションをしている人は、無意識的にその行動をしているので、そのプロセスは説明出来ません。しようとしても、不正確で間違った説明をしてしまう可能性もあります。

 

私が科学と並び経験を重んじる理由がここにあります。

 

説明知は生活知が伴ってはじめて効果的に活かすことができる。

科学は経験が伴ってはじめて効果的に活かすことができる。

 

100の知っているだけの知識より、30の知って使える知識を求め続けたい。

 

ということなのです。

 

セミナーや研修、交流会でのコミュニケーション、面接、交渉、投資、営業、接客、調査、取り調べ…リアルなビジネス交流を日々、感情心理学や微表情の窓から観察させて頂くことで、説明知が生活知と融合する瞬間を体感させて頂いています。

 

ビジネス現場に出てはじめて、研究室の中にいては決して体験することのできないリアルな日常を観ることができるのです。

 

科学と経験の世界をやじろべいのように進んでいく、それが私が追求し続ける世界観であり、一生作り続けていきたい人物像なのです。

 

 

清水建二