本日は、Lie to meのとあるセリフを通じて、科学のお話をさせて頂きたいと思います。
Lie to meエピソードⅠの第2話「小隊の秘密」の最後のシーンで次のようなセリフがあります。
「素人には全体像が見えない。それで人が傷つくこともある。」
元々の英語では、
“You know, when you don’t know the science…you don’t see the whole picture.”
となっています。
直訳すれば、
「科学を知らなければ、全体像を把握することは出来ない。」
ということになります。
このセリフは、経験的に嘘を見抜く能力―他人の嘘を直感的に検知できる能力―を培った部下に対して、上司のライトマン博士が言った言葉です。この場面以外でも、何度か同じようなセリフをライトマン博士は、この部下に対して言います。
このセリフの言わんとしていることは、
いくら直感力が優れていても、それを絶対視してはいけない。自分の判断が、全体の中のどこに位置しているか、つまり、他の判断と比べて、弱みはどこか?強みはどこか?それを教えてくれるのが科学なのだ。客観的視点を科学は与えてくれるのだ。
ということだと思います。
直感は経験を通してつくられます。
経験則に照らされた言葉には、臨場感があり、熱がこもります。ある物事を体験した人から語られるその言葉には、人を魅了する力があります。経験から学んだことほど、人を成長させるものはないとさへ言えるかも知れません。
そして、もちろん私たち一人一人が経験を通して学んできたこと、学ぶことは、大切にするべきです。しかし、経験を絶対視すること、自分のまわりで起きた経験を全体に当てはめてしまうことは危険です。
例えば、長年の営業経験がある方が、お仕事を引退後、セミナー講師に転身し、ご自身の営業経験を売れる営業「法則」としてお伝えしている方がたくさんおられます。
もちろんご自身の経験をたくさんの方々に共有することは、凄く意味のあることです。その方が長年蓄積してきた、その方の身体に染みついたノウハウを聞ける機会なので、価値のあることに変わりはありません。経験者の「暗黙知」が公開される瞬間に立ち会えるのです。
しかし、その経験から紡ぎ出された「法則」は、法則とは限りません。法則とは、同じ方法をすれば、誰もが同じ結果を生み出せる方法論と言えます。経験から紡ぎ出された「法則」は、その方が、その方の出来る限りの行動範囲の中で体験したことであり、それが誰にでも再現可能な売れる営業「法則」とは限らないのです。
例えば、
売れる法則その3!営業の話に入る前に、相手の趣味を聞け!
というようなものがあります。
しかし、いきなり営業トークに入られるのが嫌いな方もいれば、単刀直入に営業トークに入って欲しい方もいます。
経験のみに基づいた方法論は、爆発的な正の効果を生み出すこともあります。しかし、それは同時に偶然に過ぎなかったり、ときに大失敗を引き起こすこともあるのです。
しかし、科学は違います。科学から生み出された法則は、厳密な手続き、実験によって生み出された法則であり、その法則に則って行動すれば、誰もが同じ結果にたどり着く可能性が高いのです。
誰がやっても、水は0℃で凍ってくれます。
科学を知れば、全体像がわかります。科学を知らなければ、井の中の蛙、になってしまうかも知れません。科学を知れば、自分の依って立つ方法論が、全体の中のどこにあり、どんな長所や短所があるのかを客観的な視点から把握することができるのです。
そんな想いを伝えたくて、本日は冒頭のセリフを取り上げさせて頂きました。
ひょっとしたら、私が科学に偏重しているように思われた方もいるかも知れません。でも、そんなことはありません。私が大学の研究室ではない、ビジネスの世界、すなわち、生きた体験を学べる世界に身を置いていることは経験を重んじているからこそなのです。
次回は、経験の大切さを、科学とからめて書かせて頂きたいと思います。
清水建二
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