人狼ゲームが流行っていますね。
映画・テレビなどで取り上げられたり、婚活に活用されたり、知人の講師職をされている方々も研修に積極的に取り入れております。またウソ研究の一つとして大学で研究対象としても注目されています。
正直、私は人狼ゲームの中で、微表情やボディーランゲージなどの非言語サインを使って、ウソを見抜く、ということに懐疑的です。
なぜなら、微表情などの抑制された非言語サインは、抑制される感情や認知的な負担が高くないと発現しないからです。つまり、「このウソばれたら、凄くマズい!!」という心境でないと顔に微表情は表れないのです。
人狼ゲームは、楽しみながらウソを見抜き、コミュニケーション力の向上を図ることを旨としたゲームですので、ゲーム中に微表情が生じるほどの感情状態になるとは考えられません。(ただ、ゲームに負けたら罰金100万円が課せられたり、ゲームに絶対に負けたくないと言った強い信念があれば別です。)
上記の推論の妥当性を確かめるべく、人狼ゲームとウソ検知に関する研究を調べてみました。
丹野・児玉(著)『人狼ゲームで学ぶコミュニケーションの心理学―嘘と説得、コミュニケーショントレーニング』新曜社(2015)p.97~p.101の中で、人狼ゲームとゲーム参加者たちのウソの見抜き方との関連を調査した研究が紹介されています。
調査の結果、
①人狼ゲームを経験しても、ウソを見抜く自信の向上にはつながらない。
➡ゲームをする前は、ウソを見抜けるという漠然とした自信があっても、実際にゲームをする中でウソを見抜く難しさを経験するため、自信の向上にはつながらないようです。
②人狼ゲームの熟練度が高くなるにつれて、他者のウソのサインに関する信念(ウソが生じるときに表れると信じているサインのこと)は、非言語サインより言語サインへと注目が移る
➡先に書いたようにやはりゲームという特性上、感情的な抑制はあまり起こらないため非言語サインはあまりあてにならないようです。一方で、人狼ゲームは言葉で相手を騙したり、説得したりする必要があるため、「発言の一貫性のなさ」や「言い間違え」などの言語サインに基づいて判断した方が、ゲームに勝つ上で有効になり得るようです。
結論として、人狼ゲームでは、表情やボディーランゲージからよりも発言内容そのものに基づいて他者のウソを推定した方が、ゲームを有利に進められる可能性が高い、ということです。
人狼ゲームを使用した研修などでは、こんな感じの文句になりますかね、
人狼ゲームで言語サインに注目し、ウソ検知力&コミュニケーション能力を高めよう!
ではまた。
清水建二
参考文献
丹野宏昭・児玉健(著)『人狼ゲームで学ぶコミュニケーションの心理学―嘘と説得、コミュニケーショントレーニング』新曜社(2015)
人狼ゲームで学ぶコミュニケーションの心理学?嘘と説得、コミュニケーショントレーニング
- 作者: 丹野宏昭,児玉健
- 出版社/メーカー: 新曜社
- 発売日: 2015/07/31
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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