微表情

フラッシュのように一瞬で表れては消え去る微妙な表情、微表情。このブログでは、微表情、表情、顔を始めとした非言語コミュニケーションの研究や実例から「空気を読む」を科学します、「空気」に色をつけていきます。

第2回『裏切り者は顔に出る-上司、顧客、家族のホンネは「表情」から読み解ける』制作裏話

 

 2022年2月9日中央公論新社より発売されます清水建二の新刊、『裏切り者は顔に出る-上司、顧客、家族のホンネは「表情」から読み解ける』の制作ストーリー第2回目です。本日は、第一章について紹介したいと思います。

 

 第一章は、「微表情」とはどんな現象で、どんな活用がなされ、どんな場面で起きているのかについて説明しています。具体的には次の通りです。

 

・自殺願望を見抜け

・米軍やFBI、CIA等で駆使されている微表情検知スキル

金正恩がトランプに見せた軽蔑のサイン

・アイドルの笑顔が突然消える

・<コラム>微表情は使えない?

 

 微表情とは抑制された感情の漏洩であり、瞬間的あるいは部分的な表情として私たちの顔に生じる現象。抑制された感情、畢竟、ストレートに感情が生じていないということ。ウソをついている場面が典型的だと思います。自殺願望を隠そうとした入院患者、自ら犯した罪を隠す犯罪被疑者、大国を出し抜くことを試みた国家元首。ところで、微表情はダークな場面にだけ生じる現象ではありません。ポジティブなやる気や相手への気遣いにも関わります。ある微表情から内に秘めた負けん気が垣間見れたアイドル。沢山のファンに平等に「笑顔」を向ける人気アイドル。第一章は、こうした彼(女)らが登場し、微表情の世界に誘います。

 

 第一章の中で思い入れが強いトピック。全てというのが正直なところですが、強いて言えば、<コラム>微表情は使えない?です。微表情がウソ検知や心理推測に有効か否か。喧々諤々な議論が繰り広げられています。日本では、有名大学の某心理学者-とは言え、非言語コミュニケーションが専門の方ではありませんが-や某メンタリストらが、微表情(表情分析含む)は使えない、という議論をいくつかの論文を根拠に主張されています。その主張に対し、「微表情を実践で使っていない人たちの意見なので、スルーしても良いか」と思っていたのですが、きちんと科学的知見からも反論しておく必要があるかと思い書きました。

 

 微表情って使えるの?と疑問に思う方は、まずはこのコラムを読んで本書購入を検討して頂くのもよいかと思います。また、コラムの中で展開されるロジックを追って頂ければ、いつ、何時、微表情検知が効果を発し、逆に、どんな場合に使えない技術となるか理解を深めて頂くことが出来ると思います。第一章コラム精読必読です。

 

 第二章については、また次回。

 

 さて、ここで編集・校正のプロたちの技紹介です。本日とり挙げる箇所は、第一章のトピック「アイドルの笑顔が突然消える」のある箇所です。

 

清水が書いた元原稿

「テレビに出ているアイドルや芸能人の方は、作り笑顔、つまり、愛想笑いを本当の笑顔のように見せることに慣れていると考えられます。意図的に動かすことの難しい目の周りの筋肉でも、練習しているうちに次第に動かせるようになるのです。ですので、目尻のしわの有無だけで判断するのは無難ではありません。」

 

この文が…

 

編集Tさんの提案反映原稿

「テレビに出ているアイドルや芸能人の方は、作り笑顔、つまり、愛想笑いを本当の笑顔のように見せることに長けていると考えられます。一般的には意図的に動かすことの難しい目の周りの筋肉でも、練習しているうちに動かせるようになるのです。ですので、目尻のしわの有無だけで本当の笑顔かどうかを判断するのは無難ではありません。」

 

こうなり、さらに2回の校正が入り…

 

校正が反映された最終原稿

「テレビに出ているアイドルや芸能人の方は、作り笑顔、つまり、愛想笑いを本当の笑顔のように見せることに長けていると考えられます。一般的には意図的に動かすことの難しい目の周りの筋肉でも、練習しているうちに動かせるようになるのです。ですので、目尻のしわの有無だけで本当の笑顔かどうかを判断するのは積極的には勧められません。」

 

 プロの手が入ることで、日本語の読みにくさや不適切な言い回しが修正されていく様子がわかります。著者の中には、オリジナルの文章に手を加えられることを極端に嫌う方が時々いらっしゃいますが(色々な理由があるのだと思います)、私の場合、私の伝えたいメッセージの核はそのままに、日本語の言い回しだけを変えるという曲芸のような修正を提案して頂いたため、嫌うどころか、むしろ、とてもありがたいことだと思っています。また、なぜ修正を提案しているのかの理由も伝えて下さり、筆者を立てて下さっていることが伝わって来るのです。

 

 ちなみに本書の場合、9月に大部分を書き終え、編集のTさんからのフィードバックを基に全体を修正し、トピックの組み換え、追加原稿を加え、書籍として内容がほぼ形になったのが、10月後半。ここから校正によるチェックが2回入り、さらなる修正提案がなされます。そして、年を越し、2月に発売。修正の期間が凄いですよね。徹底的なプロの仕事。よい書籍にしようという想いが伝わって来ます。

 

 そんな色々な方々の工夫が詰まった書籍。清水建二著『裏切り者は顔に出る-上司、顧客、家族のホンネは「表情」から読み解ける』中央公論新社(2022年)2月9日発売です。ご予約はこちらから。 

www.amazon.co.jp

 

 

では、また次回。

 

 

清水建二