微表情

フラッシュのように一瞬で表れては消え去る微妙な表情、微表情。このブログでは、微表情、表情、顔を始めとした非言語コミュニケーションの研究や実例から「空気を読む」を科学します、「空気」に色をつけていきます。

様々な表情の中に隠れている微表情

 

仕事で失敗をしてしまった部下。悲しい顔をして反省の意を述べています。「あ~凄く反省しているんだな。きっと次からは同じ轍を踏まず、ちゃんとやってくれるだろう。」「悲しい顔をしている部下を問い詰めるのはかわいそうだ。」そう思うかも知れません。

 

数ヶ月後、その部下がまた同じ失敗をしました。

 

…。

 

そんな経験ありませんか?

 

こんな経験はどうでしょうか?

 

商談の席で、あなたは一生懸命に潜在的な顧客に商品の説明をしています。顧客はあなたの話に関心を示し、時折笑顔も見せ、話を聞いてくれています。しかし途中から何だか空気が悪くなり、最終的には契約に至らなかった。

 

…。

 

そんな経験ありませんか?

 

そんなとき、ひょっとしたら、その相手の悲しみ表情や笑顔に紛れている微表情を見落としてしまっているかも知れないのです。

 

私たちが相手の表情を見ているとき、相手の今、ここでなされている表情に影響を受けてしまい、その表情の中に混入した本当の表情やもう一つ別の表情を見落としたり、誤認したりしてしまうことがあることが知られています。

 

Zhangらの実験によれば(2014)、微表情(怒り、嫌悪、恐怖、幸福、驚き)が、中立表情の最中に表れる場合に比べ、幸福表情、悲しみ表情の最中に表れる場合の方が、微表情の認識率が低下することがわかっています。

 

ただでさえ微表情の読み取りは難しいのに、笑顔や悲しみの最中に微表情が混入してしまうと、見ている側がそれらの表情に影響を受けてしまい、さらにその認識は困難になるのですね。

 

これを冒頭の例で考えると、部下の悲しみ表情に何らかの微表情が紛れていても、顧客の笑顔に何らかの微表情が紛れていても、正確に認識できていない可能性がある、ということです。

 

部下は悲しみ表情で反省の意を表面上は示していますが、失敗したという状況や上司の言葉に対して、ホンネとしては、嫌悪や怒りを感じているかも知れません。本当は反省などしていなくて、心の中では笑っているのかも知れません(この場合、産業スパイの可能性も考えられます)。

 

顧客が笑顔を見せていても、商品の値段を聞いて、嫌悪を感じているかも知れませんし、商品説明が長くイライラしているのかも知れません。

 

様々な表情の中に紛れ込んでいる微表情を適確にとらえることができれば、危険を未然に防ぎ、より多くの利益を生み出してくれる一助となるでしょう。

 

 

おまけ

彼女の「笑顔」の中にどんな微表情が見えますか?

 ※本動画の権利は、株式会社空気を読むを科学する研究所に帰属します。無断転載を禁じます。

 

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清水建二

参考文献

Zhang M, Fu Q, Chen Y-H, Fu X (2014) Emotional Context Influences Micro-Expression Recognition. PLoS ONE 9(4): e95018. Doi:10.1371/journal.pone. 0095018