10月28日(日)に千葉大学の養護教諭志望の学生さんを対象に表情観察・表情分析講座アドバンス編を終日にわたり集中的に行わせて頂きました。本講座は、7月15日(日)及び8月5日(日)の1Day集中講座に引き続き実施されたアドバンス編です。
テーマは、
大規模自然災害発生時の対応に備えた養護教諭志望学生対象教育プログラム
表情観察アドバンス講座
ーどのように感情を察し、どのように接するかー
です。
講義の一コマ。40名強の学生さんが受講してくれました。
トピックスは次の通りです。
1.復習&アドバンストレーニング
・エクササイズ:熟考と感情のブレからサポートにつなげる
・エクササイズ:まずは微表情を察知する
・エクササイズ:察知からアプローチへ
➡7月8月に行った講義内容の復習及びアドバンストレーニングを午前中いっぱいかけて行いました。アドバンスの内容としては「複合的な意味を持つ表情筋の意味を把握する」というものに焦点を置きました。
講義スライドの一部。動画を観ながら顔面筋の動きを精緻に分析し、意味を推定するトレーニング。「口角が引き下げられる」「下唇が引き上げられる」動きはあるときは感情を抑制されるために使われる顔面筋として機能し、あるときは悲しみ感情を表出するための顔面筋として機能します。どのように推定するか講義しました。
2.準万国共通の感情と表情ー羞恥・恥・罪悪感ー
・エクササイズ:羞恥・恥・罪悪感編
➡野生環境に適応するために必要な万国共通の7感情に対し、社会に適応するために必要な準万国共通の感情を講義しました。悪いことをした子どもの口から謝罪の言葉が出てこなくても、羞恥・恥・罪悪感の感情(表情)があれば、自分がルール違反をしているという自覚があり、社会に適応したい想いがあることを解説しました。また実例を用いてある場面の子どもの感情推定とその対処法を考えるエクササイズを実施しました。表情分析・感情心理学の知見から導き出される対応法と長年の養護教諭実務経験のある先生の対応法とを比べながら、両者の共通点に注目しました。
3.子どものウソと向き合う
・ウソをつく子とつかない子、その違いは何?
・ウソと年齢の共進化
・子どものウソにどう向き合うか?
➡子どものウソにはどんな特徴があり、ウソをつく背景には何があるのかについて講義させて頂きました。実験動画を用いて子どものウソをどれほど見抜くことが出来るか、どうすればその精度を上げることが出来るかを学生さんに体感して頂きました。結論としては、①見抜こうとするのではなく子どもの動向をよく観察すること、②良い子になる方法を教えてあげること、③子どものウソに上手に騙されることも必要、ということをお話しさせて頂きました。
講義スライドの一部。対面テスト中、子どもの目の前にある問題カードを試験官が選び出題します。子どもが回答後、試験官はカードの裏をめくり答えを言います。テストの途中で試験官が少しの間、退出します。裏に答えの書かれた問題カードを目の前に、何人の子どもが答えを見る?その中の何人がウソをつく?このような子どものウソにまつわる実験をいくつか紹介しました。
夏の講義同様、本講義も共同研究の一貫として行われました。この研究の一部成果を12月の学会で発表いたします。養護教諭のトレーニングにどのようなインパクトをもたらし、貢献出来るか楽しみです。
講義開設にご人力を尽くして下さった工藤先生、講義サポートをしてくれた大学院生Iさん、講義に参加してくださった現役の養護教諭の先生方、千葉大祭や実習の準備で忙しい中参加してくれた学生さん、皆様の積極的なご協力のもと講義させて頂きました。どうもありがとうございます。頂いたアンケートをもとに次回の講義に活かしたいと思います。
清水建二