2018年10月21日(日)の終日にわたって、たんぽぽ薬局株式会社主催のインターンシップセミナーに登壇させて頂きました。テーマは恒例となりました「空気を読む」をスキル化するー理と情のバランス力構築プログラムーです。
対象はたんぽぽ薬局さんへ就職に興味のある薬学部の学生さんです。30分の会社説明の後、バトンタッチして頂き、次の流れでセミナーをさせて頂きました。
1. 感情をどのように察するか?ー患者様の気持ちを察するためにー
2. 感情を知的にマネジメントする【基礎編】
2.1 患者様の「わかる」「わからない」を見える化しよう
2.2 患者様にリズムをつけて伝えよう
3. 感情を知的にマネジメントする【応用編】
3.1 患者様の感情の流れに沿った接遇を考えよう
3.2 患者様に共感と受容と意図を伝えよう
4. 薬剤師のこれからを考えよう
5. 内容確認クイズ
患者さまの表情に合わせて、応対法を変えるロールプレイング方を説明している様子
今回のプログラム内容は昨年、今年の4月の内容を軸にしつつも、たんぽぽ薬局さんの現場の声、すなわち、薬局や病院で患者さまと応対している薬剤師の方々や実習生の方々のコミュニケーション上の悩みをもとにしたリアルなケーススタディーを用いてセミナーをさせて頂きました。
例えば…
患者さまから薬の説明を丁寧とお褒めの言葉を頂く一方で、長すぎるとお叱りを受けることもある中で、どのように両者の違いを区別することが出来るか?
もちろん絶対に外してはいけない説明事項はありますが、そこからどれだけ細かく説明するかは、患者さまの個々人のニーズや理解度によります。そう、その答えのヒントは表情にあるのです。セミナーでは様々な表情動画を用いて様々な表情の読みとり方や患者さま役と薬剤師役に分かれてロールプレーイングをして、患者さまのニーズを察するトレーニングを行いました。
セミナーの一コマ
今回のセミナーで取り入れた新たなプログラムは、気持ちの伝え方トレーニングです。たんぽぽ薬局さんは職員さんの態度の患者さま満足度が高いことがアンケートからわかっています。先輩職員さんたちはどんなふうに患者さま対応を心がけているのだろうか?という疑問のもと、感情心理学の観点から気持ちの伝え方の理論を紹介し、実際に表情を動かすトレーニングやロールプレイングをしました。
ご紹介した伝え方のポイントは次の通りです。
共感…患者さまの鏡になろう!
受容…ニコニコがつねに正解とは限らない!患者さまの感情を受け止める器をつくろう
意図…自分が発したその言葉、感情乗っている?
セミナーに参加された学生さんはお話しさせて頂いた内容やトレーニング法を思い出し、鏡やアプリを利用して日々表情筋を豊かに動かして頂ければと思います。
セミナーの最後に「これからの薬剤コミュニケーション」と題し、AIと将来の薬剤コミュニケーションとの関係、行くへについて思うところを語らせて頂きました。
調剤をAIが行ってくれる時代、調剤薬局の仕事は変わるでしょう。一つに調剤薬局内のコミュニケーションのあり方が変わるでしょう。感情を介した温かみのあるコミュニケーションがますますAIに比して人間のプレゼンスを高めるでしょう(コミュニケーションが下手だとプレゼンスは低くなるでしょう)。また、調剤にかかる人員が減ることで時間が出来ます。そこで薬局を飛び出し、高齢者施設や患者さまのお宅に訪問して、お薬の効き具合や健康相談にのらせて頂いたり、薬を処方した医師と患者さまの様態から薬の提案や相談をしたりと、その薬局と患者さまが暮らす地域、病院とが有機的に融合した医療がどんどん加速化されるでしょう。この有機体を効果的に維持していくには、立場や考え方の違う様々な方々と適切なコミュニケーションを図れるか否かに大きく左右されると思います。
そんなことを語りつつ、実はたんぽぽ薬局さんはすでにこうした地域医療の取り組みを実践されているので、様々な人と接しながら成長したい学生さん、ぜひたんぽぽ薬局に入られたらいかがでしょうか、と想いを込め、セミナーの幕締めとさせて頂きました。
今回のセミナーのお膳立てをして頂いたたんぽぽ薬局株式会社の人事部のみなさま、セミナー当日、現場のリアルな声を聞かせて下さった現役の薬剤師のみさま、そしてセミナーに参加してくださった将来の薬剤師の学生のみなさま、本当にどうもありがとうございました。
またどこかでお会い出来ますことを楽しみにしております。
清水建二
おまけ