本ブログを始めるまえに一言。
弊社は採用面接の合格率を上げるために学生さんに面接対策を、
真に熱意のある学生さんを採用するために採用面接官に採用官トレーニングを
させて頂いております。
一見、武器商人のように両方の戦いを激化させるような役割のように見えますが、学生さんには、面接官の言語・非言語行動をしっかり見定め、自己アピールを適切にする方法を、採用官には学生さんの言語・非言語行動からホンネを引き出す方法を、トレーニングさせて頂いております。
したがって、双方が誠心誠意向き合えば、双方にとって良き結果が招かれるような整合性のあるトレーニングを実施させて頂いております。
根底にある想いは、ウソをつかずウソをつかせず、です。
そんな前フリを置かせて頂き、本日の話題に移らせて頂きます。
本日のテーマ:内定辞退を予防する
様々な会社の人事の方とやり取りをさせて頂くなかで、最も多くなされる質問が、
「内定辞退する学生を見抜く方法はありますか?」
というものです。
結論としては、
あります。
内定を出した後に、内定者ケアとして様々な魅力的なプログラムを用意するのも手ですが、そもそも、内定辞退をする可能性の高い学生に内定を出さなければよいのです。
それをどう見積もればよいのかと言うと、
第一志望ではない学生さん、そこの会社で働くことに意志が定まっていない学生さん、取りあえず内定を取っておきたいと思っているだけの学生さん、その会社での業務に対してそこそこ明確なビジョンがない学生さん、と言った、「絶対に御社で働きたい!」とまでは、思っていない学生さんの採用に消極的になればよいのです。
え?もうやってるよ、って?
以下の方法も参考になると思いますので、続きを是非どうぞ。
「絶対に御社で働きたい!」とは思っていない学生さんを見抜く確率を上げる質問法と観察ポイントがあります。
この質問法と観察ポイントには科学的な根拠がありますので、適切に使えば、学生さんのホンネを推定するための誰もが使える強力なツールとなります。
それは、どんな質問法でしょうか?
面接官:「第一志望、第二志望(場合によっては第三志望も)の企業の志望動機とそれぞれの企業でやりたいことを教えて下さい。」
という質問です。
もちろん、学生さんは、第一志望を御社に設定し、それぞれの質問に答えます。第二志望は通常、御社のライバル会社の名前が挙げられる傾向があります。
第一志望、第二志望の企業に対する学生さんの回答を比較しながら、学生さんの言動を観察します。
本当の回答をしている場合(第一志望が本当に御社である場合)、第一志望の企業に対する回答を答えている間、第二志望の内容に比べ、発言内容が豊富で具体的であり、付随質問に答えるまでに躊躇がなく、さらに、真の感情表現が言語・非言語に込められる可能性が高いでしょう。
ウソの回答をしている場合(第二志望が本当は真の第一志望である場合)、第一志望の企業に対する回答を答えている間、第二志望の内容に比べ、発言内容が簡潔で具体性に乏しく、付随質問に躊躇が多く、感情表現も乏しく、ウソのサインが生じる可能性があります。
通常、訪れている企業を第一志望と設定するハズなので、第二志望の企業に対する回答内容に力点がおかれ、かつより多彩な感情が込められていたならば、内定を出したとしても後に辞退される可能性を高く見積もり、内定を出すことに消極的になるべきです(もちろんどうしても採用したい学生さんならば、口説き落として下さい)。もし両者の回答内容に差がない場合は、どちらの企業でも志望度に大差がないということです。
この質問の理論的背景には、好きなことや信念について話しているときの方が、そうでないときに比べ、人は饒舌になり、身体にリズムがつき、感情豊かになるという性質があります。
しかし、この質問法を使うには2つの前提が必要です。この前提が崩れると、今回の質問法は全く意味のないものとなります。
その2つの重要な前提とは…
長くなってきたので本日はここでおしまい!です。
次回続きをご紹介いたします。
清水建二
参考文献
Leal S1, Vrij A, Mann S, Fisher RP. Detecting true and false opinions: The Devil's Advocate approach as a lie detection aid. Acta Psychol (Amst). 2010 Jul;134(3):323-9. doi: 10.1016/j.actpsy.2010.03.005. Epub 2010 Apr 15.