面接官シリーズは、水曜日配信にしました。
ですので、前回の続きは来週水曜に配信させて頂きたいと思います。
土曜日は、単発ネタをしばらく続けようと思います。
本日のテーマは、下唇の動きです。
皆さんは以下の顔の動きを見て、何を考えますか?
※本画像の権利は、株式会社空気を読むを科学する研究所に帰属します。無断転載を禁じます。
下唇が引き上げられ、その影響でアゴにしわが形成されています。
「下唇が引き上げられる動き」には、4つの意味があります。
①「悲しみ」感情のシグナル
②感情抑制のシグナル
③「わからない」のシグナル
④個人的なクセ
です。
それぞれ簡潔に解説させて頂きます。
①について
「悲しみ」を感じると、下唇が引き上げられます。両口角が下がる動きを伴うこともあります。
②について
感情を抑制するとき、私たちは口の周りに力を入れます。「下唇の引き上げ」は、感情抑制の動きのパターンの一つと考えられています。(Wen-Jingら,2013)。
③について
これは主にアメリカ人によってなされるジェスチャーです。自分の発言に自信がなかったり、他人の発言に疑問を感じるときになされるジェスチャーです(Ekman, 1979)。アメリカ人の方が、肩をすくませ、両手の手のひらを空に向け、首を横に振りながら、「I don’t know」と言っているのを見たことがありませんでしょうか?あのしぐさのとき、顔にも注目してみて下さい。下唇が引き上げられています。同時に両眉も引き上げられることもあります。通常日本人がこの動きをアメリカ人と同じ意味で使うことはありません。しかし、アメリカに住んでいたり、アメリカ人と付き合いが長い、もしくはアメリカ人好きな方の顔には、同じ動きがアメリカ人と同じ意味で使われているのを観ることがあります。
④について
個人的なクセなので、相手のクセを知っておかないと、このシグナルの意味を誤解してしまいます。私の周りで観察されるこの動きで、クセと判断されるものとしては、「思案中」を意味したり、「心の乱れを押さえる」ためになされているのを垣間見ることがあります。
同じ顔の動きでも、様々な意味合いがあるのです。表情筋の動きから、可能性のある意味合いにカテゴリー分けし、文脈に応じて、意味を限定することが肝要です。
表情筋及び感情の意味・解釈について詳細を知りたい方は、弊社のコース(特にマスターコース)をご受講下さいませ。
清水建二
参考文献
Ekman, P. (1979). About brows: Emotional and conversational signals. In M. von Cranach, K. Foppa, W. Lepenies, & D. Ploog (Eds.), Human Ethology. Cambridge: Cambridge University Press, pp. 169-248.
Wen-Jing Yan, Qi Wu, Yong-Jin Liu, Sujing Wang, and Xiaolan Fu. CASME database: A dataset of spontaneous micro-‐‑‒expressions collected from neutralized faces. FG, page 1-7. IEEE, (2013)