学生さんの内定辞退を防ぐ質問法と言語・非言語観察ポイントの続きです。簡単に前回のお話を振り返りますと、学生さんの入社本気度を観るには、
第一志望と第二志望の企業の志望動機と将来やりたいことを学生さんに答えてもらい、その回答している様子を比較し、観察する、
というものでした。
そして、本当の第一志望の回答をしているときの方が、ウソの第一志望の回答をしているときに比べ、発言内容が豊富かつ具体的で感情表現が豊かになる、
というものでした。
しかし、この質問法を上手く機能させるには2つの前提が必要である、というところで前回終わりました。
それでは、その2つの前提をご紹介します。
前提①:学生さんに第二志望の企業についても積極的に回答してもらうインセンティブを与えること
➡そうしないと、第二志望の内容を薄く回答する戦術を学生さんにとられてしまうからです。どうインセンティブを与えれば良いのかについて、秘策がありますが、それは秘策ですから、秘密です。研修に伺った企業様だけにお伝えしております(ライバル会社の存在が、業界全体を盛り上げる役目も果たしてくれているわけですよね…これがヒントです)。
前提②:面接官にウソのサインを読みとるスキルがあること
➡リアルな面接官からは直接聞いたことはないのですが、様々な面接官向けの本に、面接官のウソの見抜くスキルは高い、と書かれています。しかし、それらの本の中に紹介されているウソのサインは玉石混合で、科学的に正しいサインもあれば、全く正しくないサインも書いてあります。またウソを見抜く自信とウソを見抜く精度には相関はなく、その自信は思い違いであることが、様々な研究から証明されています。さらにウソのサインについて活字から正確な知識を知り得たとしても、リアルな場面でそのサインに気付けるようになるには相当のトレーニングをする必要があります。
さて、前回、今回と面接に役立つ質問法と言語・非言語観察をウソ検知に絡めてご紹介してきましたが、面接官が常に学生さんに疑いの目を向けていたら、嫌ですよね。誠心誠意面接に望まれる学生さんがかわいそうです。
面接では、確かに学生さんのウソを判断しなくてはいけない場面もあるかも知れませんが、基本スタンスは、書面では計り知れない、学生さんのリアルな情報を集め、会社との相性を検討する場ですよね。
書面では計り知れない…そうです、まさにここに表情を始めとした学生さんの非言語情報を収集し、面接に役立てるTipsが埋め込まれているのです。
どんなものでしょうか?
次回以降、ご紹介していきたいと思います。
清水建二
参考文献
Leal S1, Vrij A, Mann S, Fisher RP. Detecting true and false opinions: The Devil's Advocate approach as a lie detection aid. Acta Psychol (Amst). 2010 Jul;134(3):323-9. doi: 10.1016/j.actpsy.2010.03.005. Epub 2010 Apr 15.