微表情

フラッシュのように一瞬で表れては消え去る微妙な表情、微表情。このブログでは、微表情、表情、顔を始めとした非言語コミュニケーションの研究や実例から「空気を読む」を科学します、「空気」に色をつけていきます。

よくある質問その2

 

 2月22日投稿の「よくある質問1」に引き続き、私がこれまで行ってきたセミナーの中でよく聞いて頂く質問をご紹介したいと思います。

 

Q:表情の読みとり能力に個人差はありますか?

A:あります。これまで蓄積された様々な研究によれば、表情・微表情の読みとり能力に優れている人は、「女性」に多いようです。「女性」は、育児のために子どもの表情を読み、他者と協力するために表情を適確に読むことが進化上有利に働いたために表情の読みとり能力が高くなったと考えられています。

 

Q:笑うとき、いつも片方の口角がアンバランスに上がっている人がいるのですが、それは本当の笑顔ですか?もしくは軽蔑ですか?

A:その人のクセによります。人の顔は微妙に左右非対称に出来ていますので、何の表情もない普段の顔の状態=「中立」表情でも最初から口角が片方に上がっている人が笑えば、「軽蔑」に見える可能性があります。しかし、その人にとってみれば、それが本当の笑いで、「軽蔑」の場合はもっと片方の口角が引き上げられるでしょう。このように、人の「微表情」を読み取るためには、その人の普段のクセや中立顔をまず知ることが大切なのです。

 

Q:微表情を使ってウソを見抜ぬくことは出来ますか?

A:ウソを見破る可能性を高めることが出来ます。実際アメリカではFBI、CIA、警察などが取り調べに微表情の技術を利用しています。しかし、微表情が直接的にウソを示しているわけではありません。微表情から読み取れるのはその人の「感情の漏れ」です。何らかの言葉、質問に対して相手の顔に微表情が浮かんだら、相手は何らかの理由でその言葉に感情的になっており、何らかの理由でその感情を隠したいと思っているだけです。ですので、微表情を利用すれば、対話の上でカギとなる質問や言葉を効率的に探り当てることが可能になるのです。

 

Q:微表情を読めるようになったら、常に人の心がわかってしまって怖くないですか?

A:個人的な経験から言うと、それほどでもありません。なぜなら微表情で相手の感情は一瞬で把握できますが、「感情」と「心」は必ずしもイコールではありません。心を把握するには、読み取った微表情をさらに解釈しなくてはいけないので、そうしたプロセスをあえて踏もうとしない限り、心がわかってしまって怖いということはないですね。

またもう一つの解答として、人の自尊心に関わることがあります。微表情の読みとり力に長けてきた最初の頃、私は、人の軽蔑や嫌悪の微表情に敏感に反応し嫌な思いを感じていました。「こんなに人って人を見下すものなのか?」と思っていました。しかし人には自尊心があって当然ですよね。「自分は優れている!」というような自信は生きていくためには必要な感情です。だからそうした感情が軽蔑の微表情として表されても、それはその人が自尊心を保っている証拠であり、特段に気にする必要はないのだと思うようになりました(本当にただ見下されているだけの場合もありますが笑)。

 

ではまた次回に。

 

 

清水建二