微表情

フラッシュのように一瞬で表れては消え去る微妙な表情、微表情。このブログでは、微表情、表情、顔を始めとした非言語コミュニケーションの研究や実例から「空気を読む」を科学します、「空気」に色をつけていきます。

感情と心理:「感情は一瞬で把握できても、心理の決めつけは慎重に」

 

 何の仕事をしているのですか?と聞かれ、心理学関係のコンサルタントですと答えると、「人の心が読めるのですか?」とか「じゃあ、何か見せて下さい。」と多々言われます。

 

私はマジシャンではありません…。

 

 私は表情分析の専門家ですが、マジシャンではないので、いわゆる「相手の心を一瞬で読む」といったことや人が「あっ!」と驚くような芸当は出来ません。

 

では、何が出来るか?

 

「人の感情を読む」ということです。一瞬の表情から相手の抑制された感情を把握するということならば、出来ます。それは心を読むこととはどう違うのでしょうか?

 

 例えば、話し相手が一瞬だけ鼻にしわを寄せるとします。これは「嫌悪」の表情です。ですので、その相手が「嫌悪」感を感じていることは確かです。しかし、その「嫌悪」感が何をきっかけに生じているのかは厳密にはわかりません。

 

 お昼に食べた脂っこいものが気持ち悪くて、たまたまこの会話のタイミングで「嫌悪」が顔に出てしまったのかも知れませんし、自分の発言に対する「嫌悪」、つまり、自分の発言にある何らかの後ろめたさが「自己嫌悪」として顔に表れたのかも知れません。さらにこちらの発言に相手が同意をしていない、不同意を示す「嫌悪」なのかも知れません。

 

 ですので、どんなに微表情の読みとりスキルに優れていたとしても、人の心―「なぜその感情が生じたのか?」―までは読みとることは出来ないのです。

 

「感情の底にある心、本心を読めなければ意味ないじゃないか!」とおっしゃるかも知れません。その通りです。結局、表情から感情を読みとり、感情から心を読みとるという手順が確立していないと会話から相手の本心を見抜くことは出来ません。

 

では、どうするか?

 

それはまた次の機会にご紹介いたしましょう。

 

 

清水建二