微表情

フラッシュのように一瞬で表れては消え去る微妙な表情、微表情。このブログでは、微表情、表情、顔を始めとした非言語コミュニケーションの研究や実例から「空気を読む」を科学します、「空気」に色をつけていきます。

『「行動観察」の基本』

 本日は、松波晴人著(2013)『「行動観察」の基本』ダイヤモンド社の書評をさせて頂きたいと思います。本書から溢れだすメッセージを私なりの理解で語らせて頂くと、以下のようになりました。

 

「数値化されたデータではなく、生の現場に足を踏み入れて得られた生きた事実を、科学のまなざしで見つめてみる。そうすると、その小さな事実が思いがけない世界の扉をノックする。その扉を通るには、痛い目にもあう。でも、そう、その先にはほんのさっきまでは見えなかった世界が広がっているのだ。」

 

 本書は、行動観察に関する科学的知見はもちろんのこと、行動観察がビジネスの現場でどのように活用されたかに関して豊富な実例とともに紹介してくれます。そして、その実例が本当に面白い!高齢者が求めているもの、中国人観光客の旅行の仕方、頑固職人の人間臭さ…等々、いわゆるビックデータからは決して知ることの出来ないような、生の声、日常・非日常な世界観、感情と感情の交流が描かれています。

 

 そして著者らによる人間の目を通しての観察からは、効率重視・目的遂行のために作られた直線的な質問形式のアンケートからは決して垣間見ることが出来ない、臨機応変さの大切さを感じました。人の溢れだす好奇心、観察力が思いがけない副産物を生み出すのだなと思いました。

 

 科学の理と現場の情の間をやじろべいのように平衡を保つ著者のバランス感覚に脱帽します。

 

 本書の著者は、科学とビジネス、科学と日常のかけ橋となり、科学の膨大かつ難解な知見を私たちの身近な生活に有機的に結び付け、変換してくれる、言わば、翻訳家のような存在なのだと感じました。

 

私もそんな存在であれたらな~と思い、日々活動させて頂いております。

 

 

                                                                                                                         清水建二 

 

「行動観察」の基本

「行動観察」の基本