微表情

フラッシュのように一瞬で表れては消え去る微妙な表情、微表情。このブログでは、微表情、表情、顔を始めとした非言語コミュニケーションの研究や実例から「空気を読む」を科学します、「空気」に色をつけていきます。

第4回『裏切り者は顔に出る-上司、顧客、家族のホンネは「表情」から読み解ける』制作裏話

 

 2022年2月9日『裏切り者は顔に出る-上司、顧客、家族のホンネは「表情」から読み解ける』が中央公論新社より発売されます。清水建二の5年ぶりの単著となります。本日は、本書の制作ストーリー第4回目。第三章について紹介したいと思います。

 

 第三章は、「ジェスチャーを見抜く」です。具体的には次の通りです。

 

・ボディーランゲージにまつわる大きな誤解

船場吉兆の会見で観られた「意外」なボディーランゲージ

・ポスチャー/マニピュレーター/イラストレーター/エンブレムと微動作(マイクロ・ジェスチャー

・話を合わせているだけ?それとも本当に同じ意見?

・いつも誤解されているあなたへーウソをついていると勘違いされるしぐさ

・<コラム>ウソのサインでない動きもウソのサインになることがある!?

 

 ボディーランゲージは、表情に比べると大まかな感情分類にはなりますが、動きが大きいため観察しやすい、という利点があります。ですので、他者の動きを少し意識的に見てみると、多彩なボディーランゲージが、ほぼ常時といってよいほどの頻度で使われていることに気づきます。ウソとの関連で言いますと、世の中にはウソをついていると誤解されるボディーランゲージがあります。ボディーランゲージから、直感的に、あるいは経験則的にウソを見抜こうとするとき、ほとんどの場合において、ウソと関係のないボディーランゲージをウソのサインと捉え、他者を誤解してしまうことが知られています。本章では、この陥穽を乗り越え、科学的裏付けのあるウソのサインの捉え方と様々なボディーランゲージの解釈の方法を説明しています。

 

 本章で最も伝えたいこと。それは、「よくあるハウツー本やYouTuberに解説されているほど、ボディーランゲージからウソを見抜くことは簡単・単純ではなく、ウソや人の心の奥底に迫るには、ボディーランゲージの機能を理解し、深い推論・熟考を経る必要がある」ということです。ボディーランゲージの観察から即座に解釈できる人の心の状態もありますが、ウソ推測となると自身の人間関係や対象人物の人生にも関わってきますので、正しい科学的知識は言うまでもなく、解釈には慎重にも慎重を重ねる必要があると考えます。

 

 第四章については、また次回。

 

 さて、今回は、私の著作過程について書きたいと思います。制作裏話第1回目で書きましたが、私は、2-3週間前後で本書の1章分約24,000字を書きます。その後1週間前後で推敲。そして提出。2-3日後に編集Tさんから軽いコメント。コメント後、次の章の執筆を始めます。最終的には、12万字書き、2万字削り、10万字の原稿となりました。

 

 主な執筆期間は半年前後です。半年間、先のサイクルを繰り返します。2-3週間前後で約24,000字の執筆量は、多いかどうかわかりませんが、私は通常業務でも連載やメルマガ、専門誌への投稿依頼、実験レポートの執筆など他にも原稿があり、実際の執筆量はさらにあります。具体的に、ある各月連載は約2,000字、月2回投稿のメルマガ(2021年10月廃刊)は、1回につき約5,000字、ある専門誌は約6,000字、ある実験レポートは約25,000字でした。不定期で依頼される時事ネタなどの分析記事は、おおよそ3,000字。執筆期間中、本書の原稿含め、毎月の執筆量は、おそらく40,000~50,000字程度ではないかと思います。また、私の業務は、ものを書く以外にもあります。セミナーや研修実施やその準備、コンサルタント業務、各種打ち合わせ等々あります。

 

 本を執筆したいと思われる方への参考として申し上げたいことは、こうしたメインの執筆(ここで言うところの『裏切り者は顔に出る-上司、顧客、家族のホンネは「表情」から読み解ける』)以外にどれだけ時間や労力をかけているか、逆に言えば、メインの執筆にかけられる時間や労力はどれくらいかを、ある程度知り、執筆計画を立てる必要がある、ということです。そうしないと、原稿の締切に間に合わなくなります。特にトピックによっては、知識や経験のストックが乏しいことがあったり、逆に情報が多すぎて取捨選択に悩む場合があると思います。そうしますと、原稿を書くために追加取材や資料調査・整理、多角的な考察をすることになり、時間がかかります。こうした時間も考慮する必要があります。

 

 執筆に関わる様々なことを考慮し、「この期間にこれだけ書こう、書ける」と決め、執筆を始めます。しかし、「書く内容は決まっているのになかなか文章にならない」そんなことが、時々、生じます。書いては消し、また書いては消す。「もっとよい内容になるのではないか」「もっとよい書き方があるのではないか」「もっとわかりやすいネタはないか」「この知見は最新だけど、どれだけ実用性があるか」そんなことを考え続け、中々、筆が進まないことがあります。さて、どうしたらよいか。続きは、次回。

 

 そんな試行錯誤の中、完成しました清水建二著『裏切り者は顔に出る-上司、顧客、家族のホンネは「表情」から読み解ける』中央公論新社(2022年)2月9日発売です。ご予約はこちらから。

www.amazon.co.jp

 

では、また次回。

 

 

清水建二