企業や公官庁向けの研修コンテンツを作っていていつも思うことは、伝えることは読むことなんだな、ということです。そのコンテンツのメニューをいくつかご覧下さい。
・部下を不安にさせない仕事の伝え方
・部下を「感情」的に「叱る」方法
・会議で部下の自尊心を「ちょっと」上げる方法
・相手にささるアドバイスの伝え方
・感情別クレーム対処法
・集団の和を乱さない自分の感情の伝え方
・話さな過ぎない・話過ぎない意見の伝え方
一見すると上記のメニューは、自分の声色や態度、表情、姿勢、言葉の選び方を意識して、積極的に自分の想いを発信する方法に焦点を当てたような伝え方講座にありそうです。
一方で、空気研の伝え方は、相手の感情の流れを読めば自ずから伝え方の6割は到達している、というスタンスです。いわば、受動的伝え方と形容しましょうか。もちろん自分から積極的に意見や想いを発信する効果的な方法を学ぶことは大切と考えますが、相手の感情を把握しない伝え方はややもすると暴力的なコミュニケーションになることがあります。
様々な伝え方講座に参加させて頂くと、多くの講師の方々は相手のことを意識しつつ、自分から積極的に意見を発信する方法を教えてらっしゃいます。しかし、どう相手を意識するか、どんなタイミングで、相手のどんな感情の変化に応じて、もっと言えば、動的なコミュニケーションの流れの中で、どの伝え方を選択するべきか、ということに関しては曖昧な部分がまだ多いような印象を受けます(伝え方のプロは、そのあたりのスキルも暗黙知として持っておられ、読む能力もピカイチな方が多いです。ただ、ご自分のスキルを体系化して伝えられるほどの幅広い感情読解に関する専門知がないのだと思います)。
例えば、相手の性格別伝え方というものがあります。しかし、優しい性格の持ち主でも怒るときはあるわけであります。消極的な性格の持ち主でも、ときにその消極性の行動パターンに反した感情の起伏・行動の変化が生じるわけです。したがって一瞬一瞬変化する相手の感情を考慮した伝え方、受け止め方というのが大切だと私は思うのです。
そうした伝え方講座の間隙に空気研の伝え方アプローチが必須になってくるものと感じるのです。読まなければ伝えられない、読むから伝えられる、そんなふうに思うわけです。
清水建二