微表情

フラッシュのように一瞬で表れては消え去る微妙な表情、微表情。このブログでは、微表情、表情、顔を始めとした非言語コミュニケーションの研究や実例から「空気を読む」を科学します、「空気」に色をつけていきます。

その表情、こんな印象与えます

 

私たちは、他人の表情からその人の感情だけでなく、性格までも読みとろうとする傾向があります。眉間にしわを寄せている人がいれば、「怒っている」ということだけでなく、「気難しそうな人だな」というような印象を抱きます。ハノ字眉毛の人を見たら、「悲しんでいる」ということだけでなく、「従順そう…」なんて印象を意識・無意識を問わず、抱きます。

 

私たちが、人の表情からどんな印象を持つかについて「支配的―友好的」という次元から検証を試みた実験をご紹介いたします。

 

実験は次のように行われました。実験参加者がモニターの前に座ります。そのモニターに、ある表情が一瞬だけ映し出されます。その映像を見た実験参加者は動画の人物の印象を評価します。

 

たったこれだけの単純な実験なのですが、私たちの驚くべき印象形成の傾向が見出されました。

 

様々な表情に対して次のような印象を持つ傾向があることがわかりました。

 

「幸福」表情の人物➡高程度に支配的かつ友好的

「怒り」・「嫌悪」表情の人物➡高程度に支配的かつ低程度に友好的

「恐怖」・「悲しみ」表情の人物➡低程度に支配的

 

「幸福」表情を、支配的だと印象付けることは、あまりなさそうですが、支配的かつ友好的だという組み合わせは、「幸福」表情から印象付けられている理由が類推できます。「幸福」表情は、「幸福」感情の現れです。「幸福」感情は、「私はあなたの仲間です」というシグナルです。笑顔はこのシグナルを発します。例えば、人に近づくとき、私たちは、その人に警戒されないように、笑顔をつくります。ニコニコ顔で近づきます。人に近づくということは、その人のテリトリーに入るため、近づく側は支配的です。また同時に友好的でなければ、近づくことが出来ません。ゆえに「幸福」表情の人物を、支配的かつ友好的だと印象付けるのではないでしょうか。

 

他の表情と印象形成については直感に合っているのではないでしょうか。

 

表情と性格が合っていようといまいと、こうした印象形成をするようです。そうとわかれば、面接や、営業、交渉、などなど、人と対したとき、どのような表情を出すべきか、どのような表情を出さないべきか、大きなヒントとなります。なにせ、この実験によれば、私たちは一瞬の表情から印象を形成してしまうのですから。

 

清水建二

参考文献

Knutson, B. (1996). Facial expressions of emotion influence interpersonal trait inferences. Journal of Nonverbal Behavior, 20, 165-182.