選挙で誰に投票するか?
このまま同じ政党を支持し続けて良いのだろうか?
今回はどんなマニフェストを掲げているのだろうか?
それは実行可能なのだろうか?
この候補者は信頼できるだろうか?
この候補者はどのような性格なのだろうか?
…などなど、様々で複雑な思考を重ね合わせなくてはいけません。
一方でサルなどの集団生活を営む動物がボスを決める方法は至ってシンプルです。
そう、力の強い者、です。
サルと進化上つながりがある私たちですから、私たちは無意識的にサルと同じ行動パターンを取っているのではないか、と考えるのが科学者たちです。
さて、そんな前フリをしつつ、実験です。
問題:平和な状態が続く国で、選挙が実施されています。
あなたはE候補者とF候補者どちらを選びますか?
出典:Little, A.C., Burriss, R.P., Jones, B.C., & Roberts, S.C. (2007) p.23より
男性的な顔と女性的な顔というものがあります。男性ホルモンと女性ホルモンのバランスによってそうした顔は形成され、男性的な顔というのは、全体的にがっしりしていて、眉が太く、顎が角ばっています。この顔は人に支配的で好戦的な印象を与えます。女性的な顔というのは、上唇が薄く、眉の面積が小さく、口が小さいのが特徴です。この顔は人に慈悲深く、魅力的で人懐っこい印象を与えます。
実は先の画像ですが、どちらが男性顔でどちらが女性顔かわかりましたか?
Eが男性顔でFが女性顔です。
皆さんは先の問題にどう答えたでしょうか?
イギリスのリバプール大学の研究者らの実験結果によれば、
戦時状況においては、人はEの顔を選び、平和時の状況においては、人はFの顔を選ぶという傾向にあることがわかっております。
戦争の時には、支配的で好戦的な顔を持つ人にリーダーになってもらいたいと人は無意識に選択しているようなのです。
実はこの実験、男性顔女性顔の検証をする前にブッシュさんとケリーさんの顔で同様の実験がなされており、男性顔の特徴を持つブッシュさんが戦時には有利で、女性顔の特徴を持つケリーさんが平和時には有利になるということが結論付けられていました。
あの大統領選挙のとき、時代背景が異なっていれば、ケリーさんが勝っていたのかも知れません。
清水建二
参考文献
Little, A.C., Burriss, R.P., Jones, B.C., & Roberts, S.C. (2007). Facial appearance affects voting decisions. Evolution and Human Behavior, 28, 18-27.