「なんだあの人は、ブスッとした顔して。」
「あの人はいつもニコニコしていて、見ているだけで癒されるな~。」
「あの担当者は、人によって表情が全然ちがうな…。」
そんな体験をしたことがあると思います。
相手が見せる表情によってこちらの気分も様々に影響を受けますが、
もしかすると、私たちの目の前にいる人のその表情、私たち自身が生み出しているのかも知れません。
スウェーデンのウパサラ大学の研究チームは、自分が見ている人の表情に同調して自分もその人と同じ表情になるという現象を確認しました。
人の「怒り顔」を見ていると自然に見ているこちらも「怒り顔」になり、人の「笑顔」を見ていると自然にこちらも「笑顔」になる、ということです。
さらに、この研究には続きがあります。
人の「怒り顔」を見ているときに「笑顔」で返そうとしても、作り「笑顔」を表す前に、一瞬だけ「怒り顔」になってしまい、逆に人の「笑顔」を見ているときに「怒り顔」で返そうと思っても、その「怒り顔」を表す前に、一瞬だけ「笑顔」になってしまう、ということがわかりました。
私たちは相手の表情に知らず知らずのうちにシンクロする、逆に言えば、私たちの表情に相手もシンクロする、ということですね。
興味深いところは、意図的に繕った表情をしようとしても、その前に一瞬だけ、目の前の相手の表情と同じ表情になってしまう、ということです。
相手が無愛想なのは、私が無愛想だから?
相手が笑顔なのは、私がニコニコしているから?
相手は鏡、相手の表情を見れば、自分の感情状態がわかるかも知れませんよ。
清水建二
参考文献
Ulf Dimberg, Monika Thunberg & Sara Grunedal. (2002). Facial reactions to emotional stimuli: Automatically controlled emotional responses. Cognition and Emotion. Volume 16, Issue 4, pp. 449-471.