微表情

フラッシュのように一瞬で表れては消え去る微妙な表情、微表情。このブログでは、微表情、表情、顔を始めとした非言語コミュニケーションの研究や実例から「空気を読む」を科学します、「空気」に色をつけていきます。

人は見た目が9割?―寝不足の顔編

 

人は見た目が9割シリーズ、今回は寝不足の人の顔編です。

 

寝不足の人って何となくわかりますよね。本当にその感覚は当たっているでしょうか?寝不足の人から受ける印象は何ですか?どこを見て寝不足の人だと判断していますか?

 

本日はそんな謎に迫ったいくつかの研究をご紹介します。

 

まずはこちらの画像をご覧ください。どちらが寝不足の人だと思いますか?

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 出典:Axelssonら, 2010

 

顔や表情について専門知識のない人々が、寝不足の人を見分けることが出来るのか、またどのような印象を持つか、ということについて、Axelssonら(2010)が報告しています。

 

8時間睡眠の後7時間起き続けている状態の人の顔と5時間睡眠の後31時間起き続けている状態の人の顔を見て、寝不足の人の顔を実験参加者に判断してもらいます。

 

調査の結果は、顔についての専門知識が何もない人でも直感的に寝不足の人を正しく判定できているということを示しました。

 

また寝不足の人の顔から受ける印象は、不健康、魅力的ではない、疲れている、というものでした。実際にこの印象付けは妥当で、寝不足の人は、不健康で、魅力度が下がり、疲労感がある、ということは他の研究からも裏付けられています。

 

私たちの直感力は、なかなか凄いですね。

 

ただ、この研究は顔の全体的な印象をもとに寝不足か否かを判断する実験です。寝不足の人の表情分析をしていたわけではないので、具体的にどこの顔のパーツが寝不足に関係しているのかは明らかになっていません。それでも何となくわかってしまう、ということが示されているのです。

 

他の寝不足の顔の研究によれば(例えば、Wierwille, 1999など)、寝不足の人の瞬きの頻度が多かったり、1分間のうち80%の間まぶたが閉じられてることがある傾向にあるようです。

 

仕事仲間が寝不足なら、重要な仕事を頼む前にいつもより慎重に仕事を任せるように注意出来るかも知れません。いつもよりプラスαに彼/彼女の仕事に助け舟を出してあげた方が良いと思えるかも知れません。

 

メンタルヘルスと寝不足も関係が指摘されているため、ずっと寝不足の状態が続いている人を見た目だけからわかれば、何らかの予防措置が取れるかも知れません。

 

やはり、顔や表情というのは情報の宝庫ですね。

寝不足の顔情報引き続き集めていきたいと思います。

 

ちなみに写真の人、どちらが寝不足かわかりますか?

知りたい方は、表情分析マスターコースへどうぞ!

最後に営業もさせて下さい笑

ただいま7月、8月コース受講生募集中です。

 

 

清水建二

参考文献

Axelsson J, Sundelin T, Ingre M, Van Someren EJ, Olsson A, Lekander M. Beauty sleep: Experimental study on the perceived health and attractiveness of sleep deprived people. BMJ. 2010;341:c6614. doi: 10.1136/bmj.c6614.

Wierwille, W.W., 1999. Historical perspective on slow eyelid closure: Whence PERCLOS? In: R.J. Carroll, ed. Ocular measures of driver alertness: Technical conference proceedings. Washington, DC: Federal Highway Administration, 31–53.