微表情

フラッシュのように一瞬で表れては消え去る微妙な表情、微表情。このブログでは、微表情、表情、顔を始めとした非言語コミュニケーションの研究や実例から「空気を読む」を科学します、「空気」に色をつけていきます。

夫婦の顔をめぐる謎②

 

前回のブログでは、夫婦の顔が似ているのは、最初から似ている場合もあれば、時を経るごとに似てくるという場合もあることを紹介しました。

 

夫婦の顔に関して、何が似ていると感じさせるのかに関して、様々な研究がなされてきました。そんな中、性格の類似性が顔にも表れているからではないか、と考えている研究があります。顔の作りや表情というものは、個々人の性格の表れが要因の一つとなることがわかっているため、夫婦の顔から性格の類似性も推定できるのではないかという仮説が考え出されました。

 

Anthonyら(2006年)の研究を紹介します。85組の夫婦の男女それぞれの顔写真を用意します。夫婦の結婚歴は様々で2年から51年です。実験参加者にそれら顔写真を様々な観点から評価してもらいます。評価ポイントは、

 

魅力度、ジェンダー度、平均度、好奇心の高さ、神経質度、外向性、感じの良さ、自己統制力、です。

 

実験の結果、夫婦間の顔において、魅力度、好奇心の強さ、外向性、自己統制力に連関があることがわかりました。他人の目から見て、ある男性の魅力度が3ならその男性の妻の魅力度も3、またある男性の好奇心の強さ度が5ならその男性の妻も5とか6程度の高さ、と判定される傾向にあるようです。

 

顔から醸し出される性格、心の度合い、というものが、その夫婦を知らない人々に何となく推察される現象は不思議ですね。他人からは、夫婦は顔だけでなく、性格も似て見えるようです。

 

そう言えば、犬は飼い主に似る、とかいうこともよく聞きますよね。自分に似た犬をペットショップで見つけて購入した場合と知人からもらった犬を飼った場合とで比較したら、飼い主と犬の表情の類似性が時を経てどんなふうに変化するのか調査出来そうですね。

 

犬が飼い主に似る、飼い主が犬に似る、両方向の可能性があるかも知れません。

 

 

清水建二

参考文献

Little AC, Burt DM, Perrett DI (2006) Assortative mating for perceived facial personality traits. Pers Individ Dif 40: 973–984.