犯罪者の顔に特徴はあるのだろうか?
有名な研究として古くは、1864年、犯罪学の父とされるチェーザレ・ロンブローゾによって犯罪者の顔の特徴が見出されました。ロンブローゾは、遺伝的な影響により将来犯罪者になるものは宿命付けられている、という結論をしましたが、多くの批判が巻き起こることになります。そして後にこの研究の妥当性は低かったことが証明されます。
それでは、犯罪者に特徴的な顔とは、やはり存在しないのでしょうか?
2016年11月、最先端のコンピューターによる画像認識と機械学習を通じて、犯罪者と非犯罪者との顔の分別に成功したという研究が発表されました。
以下の顔の中から、犯罪者を推測してみて下さい。
研究の結果、犯罪者の顔の特徴とは、「口が小さく、上唇が曲がり、両目の間隔が狭い顔」ということがわかりました。上の画像からわかりますでしょうか?上段のa群が犯罪者です。下段b群が非犯罪者です。もう少し詳しく書いてみましょう。
顔の特徴として、犯罪者は非犯罪者と比べて鼻の先と唇の両端を結ぶ角度(θ)が平均19.6%小さく、上唇の曲率(ρ)が平均23.4%大きい。また、左右の目頭の間隔(d)は犯罪者が5.6%狭かったということがわかりました。
さらに興味深い点があります。この平均○○%小さい・大きいという数字のバラツキが非犯罪者に比べ犯罪者の方が大きいことが見出されています。つまり、犯罪者の方が非犯罪者に比べて顔の特徴にバラエティーがある、ということです。
次の画像はいかがでしょうか?犯罪者の顔はどれでしょうか?
正解は、abcdが犯罪者の顔のサブタイプで、efgが非犯罪者の顔のサブタイプです。非犯罪者の方がバリュエーションが少ないようです。
私の周りに「明瞭に説明できないが見ただけで犯罪者がわかる」という方がおりましたが、もしかすると、普通の顔(=非犯罪者)ではない顔の特徴を無意識にキャッチしているのかも知れません。
なおこの研究は中国人の方のみを対象に実験を行ったため、本研究で見出された、いわゆる犯罪者顔は万国共通の特徴なのかどうかはわかりません。
そう言えば、我が国、日本にもこんなカメラが導入され始めています。
今回ご紹介した研究と同じようなロジックで危険人物を検知しているのでしょうか?
注目のテクノロジーです。
清水建二
参考文献
Automated Inference on Criminality Using Face Images (Xiaolin Wu, McMaster Univ. and Xi Zhang, Shanghai Jiao Tong Univ. Nov. 21, 2016).