先週の記事で「どれくらい正確に表情を読みとることは出来るのか。」ということについてご紹介しました。わかったことは、私たちは普通の表情(写真)は大体読みとれるが、微表情はあまり読みとれない、ということでした。
それでは!予告していた疑問について質問形式でお答えしたいと思います。
①「微表情」読みとり力のトレーニングを受けたら、その能力はどれだけ向上するのだろうか?
結構、向上します。特に、「軽蔑」「嫌悪」「恐れ」の判定率において顕著な効果が見られます。詳細は、参考の表1を参照して下さい。
②どれくらいの期間のトレーニングでその能力は身につくのだろうか?
1時間の微表情読みとりトレーニングで参考の表1に見られるような結果となりました
③一度身につけた能力はどのくらい維持できるのだろうか?
トレーニング2-3週間後に実施された微表情判定テストにおいて、読みとり能力は維持されていることがわかっています。
この調査から、微表情の読みとり能力の向上を意図したトレーニングは可能であるということ、1時間のトレーニングで顕著な効果が表れるということ、一度身に着けた能力は2-3週間は維持されるということ、が言えますね。
ちなみにトレーニングを受けていないグループは、もう一方のグループがトレーニングを受けている間、顔の表情に関するレクチャーを受けていました。表1より、表情に関する知識だけでは、微表情読みとり力に変化がないことがわかりますね。微表情学は実践の学問!書を捨て…いや、書を持って、町に出よう!
清水建二
参考
表1 微表情判定率
|
トレーニングを受けたグループ |
トレーニングを受けていないグループ |
||
|
事前テストの成績 |
事後テストの成績 |
事前テストの成績 |
事後テストの成績 |
怒り |
40 |
60 |
43 |
49 |
軽蔑 |
40 |
70 |
47 |
51 |
嫌悪 |
37 |
55 |
33 |
33 |
恐れ |
19 |
53 |
28 |
33 |
幸福 |
82 |
86 |
83 |
85 |
悲しみ |
41 |
58 |
48 |
38 |
驚き |
77 |
83 |
78 |
79 |
出典:Matsumoto, D. & Hwang, H. S. (2011)を参考に筆者作成。
※数値は百分率(%)で、正解率を示しています。
参考文献
Matsumoto, D. & Hwang, H. S. (2011). Evidence for training the ability to read microexpressions of emotion. Motivation and Emotion, 35(2), 181-191.