微表情

フラッシュのように一瞬で表れては消え去る微妙な表情、微表情。このブログでは、微表情、表情、顔を始めとした非言語コミュニケーションの研究や実例から「空気を読む」を科学します、「空気」に色をつけていきます。

感情を述べる就活生、感情を観る面接官になろう

 

私は、就活生によく自分の体験した出来事に対する感情と行動、そこから学べたことを面接でアピールしよう、と言います。

 

面接官には、就活生の体験した出来事に対する捉え方と自身の捉え方との違いを明確に言語化しましょう、と言います。

 

それは、同じ出来事に対する感情の抱き方は人それぞれだからです。

 

つまり、それは就活生にとっては、よくある「勉強・サークル・アルバイト」の話でも自分の感情を入れた話をすることでオリジナリティーのある話に変えることが出来ることを意味します。

 

面接官にとっては、どんな行動パターンを持つ学生か、それに通じて一緒に働きたい(働くことが可能な)学生かを明確に出来ることを意味します。

 

例えば、面接官がアルバイトでの苦労体験の有無を質問するとします。学生さんは、居酒屋のアルバイトでミスを連発する後輩を指導した体験が大変だったことを語ってくれるとします。

 

その話をしている間、学生さんの顔に悲しみ表情が浮かべば、後輩を助けるという行動をとったストーリーを語ってくれるだろうと予想できます。社会で同じような状況に直面した時、苦しんでいる人に悲しみ・共感を抱き、手を差し伸べるという行動をその学生さんはとる可能性が高いと予想できます。

 

一方、その話をしている間、学生さんの顔に怒り表情が浮かべば、後輩を助けない行動をとったストーリーを語ってくれるだろうと予想できます。社会で同じような状況に直面した時、苦しんでいる人に怒りを抱き、手を差し伸べないという行動をその学生さんはとる可能性が高いと予想できます。

 

一見、悲しみがよくて怒りが悪いような印象を受けますが、ものは考えようです。手を差し伸べることが本当に人の成長につながるとは限りません。ですので、すぐには助けない、あるいはミスをした本人が自覚するまで何もしない、というのも指導の一つの形態です。

 

学生さんへ。同じアルバイトの指導経験でも感情と行動は人によって変わり得るため、感情と行動にフォーカスした話をすることでオリジナルな話となるのです。だから出来事に対する自分の感情の掘り下げが重要なのです。

 

次に面接官へ、就活セミナーで学生さんには話さないネタを(ここで書いてしまっているケド)。

 

助ける・助けない指導のような理由付けを明確に学生さんが語ってくれれば、学生さんの表情を読む必要なくない?と思われる面接官もいるかも知れません。しかし、学生さんの表情を読む必要はあります。

 

一つに、感情と行動との関連性から、悲しみ表情をしているのに助けない指導をしたという語りが続けば、感情と行動との一貫性が崩れていることになります。その理由を追加質問で探る必要があります。例えば、ウソをついているから悲しみ表情をしてしまった、という場合があります。

 

もう一つに、自分のバイアスを意識できるからです。客観的に面接しようとしてもどうしても自分の好き・嫌いに引きずられてしまいます。単純に言えば、自分と同じ感情反応を示す人を私たちは好みます。感情と行動との一貫性があろうとなかろうと、ある出来事に対する学生さんの感情と面接官の感情とがシンクロしていれば、知らない間にその学生さんを高く評価してしまいます。それでも良いなら構いませんが、客観的な評価をしたいのならば、自分の感情と学生さんとの感情が同じか違うか、同じという理由で、あるいは違うという理由で評価に差を持たせていないか意識するべきでしょう。

 

面接官は、「何となく」この学生さんを採用したい、と思うことがあるようです。言葉で明確には表現できないけれど、「何となく」。学生さんと波長が「何となく」合う・合わない。

 

感情と行動の論理を駆使すれば、オリジナリティーのある回答がつくれます。

感情と行動の論理を駆使すれば、「何となく」を見える化させることが出来るのです。

感情を述べる就活生、感情を観る面接官になろう。

 

 

清水建二