本日は第二回です。課題学術論文は、第一回からの続き、
Matsumoto, D., Hwang, H. S., Harrington, N., Olsen, R., & King, M. (2011). Facial behaviors and emotional reactions in consumer research. Acta de Investigacion Psicologica (Psychological Research Records), 1(3), 441-453
です。
本日は本論文の方法論と結果について要約及び私のコメント(➡で書きます)を書かせて頂こうと思います。
方法論
実験参加消費者
第①パラグラフ
アメリカ中西部に住む119人の女性を対象に美容品・衛生商品・家事用品・健康用品への態度を調査した。
表情筋の計測と分類
第①パラグラフ
それぞれの商品に関わっている瞬間の実験参加消費者の反応を分析した。消費者が商品を扱い終わった後に、消費者に商品に対する好感度を質問した。消費者の表情は二人の認定FACSコーダーによってFACSに則って測定された。
第②パラグラフ
AUのAレベルの強度を除き、BからE及びその中間レベルの強度を計測した。AUのコンビネーションが生じた場合、それらAUの中で一番強い強度をその感情の強度とした。また左右差も計測した。
第③パラグラフ
これまでの理論的・実証的研究に基づいてAUのコンビネーションを、怒り・軽蔑・嫌悪・恐怖・幸福・悲しみ・驚き・作られた幸福の8つに分類した。
第④パラグラフ
表情が顔全体に表れるのか、一部分だけに表れるかも計測した。
第⑤パラグラフ
ビデオは30fpsで記録した。AUの始まりと終わりを記録した。
データ処理の仕方
第①パラグラフ
分析のデータセットは、2,986の表情及び8,102のAU、それぞれの強度、全面表情・部分表情、表出時間を含んだ。
結果
感情分類
第①パラグラフ
様々な感情の頻度と出現割合を計測した。混合感情は各個別の感情に分類した。嫌悪、作られた幸福、怒り、軽蔑が最も多い頻度で起きた。嫌悪、軽蔑、怒りが全体の52.50%を占めた。
第②パラグラフ
作られた幸福は幸福(26.55% vs 3.6%)に比べより多い頻度で発生した。
第③パラグラフ
幸福表情が最も少ない頻度で発生した。
表情の強度
第①パラグラフ
ほとんどの表情はCレベルかそれ以下であった(92.47%)。表情を独立変数にし、強度を従属変数にした一要因分散分析による統計分析の結果、表情の強度には差がないとは言えないことがわかった。幸福表情の強度が最も強く、作られた幸福、恐怖、怒り、驚き、軽蔑、嫌悪、悲しみの順で強度が強いことがわかった。
全面表情・部分表情
第①パラグラフ
ほとんど全ての(96.77%)表情が部分的な表情であった。
表出時間
第①パラグラフ
平均表出時間は1.48秒であった。表出時間の幅は0.03秒から27.1秒であった。表情を独立変数にし、表出時間を従属変数にした一要因分散分析による統計分析の結果、表情の表出時間には差がないとは言えないことがわかった。作られた笑いが一番長く表出され、幸福、その他の感情と順に続いた。
作られた幸福表情を含む混合表情
第①パラグラフ
作られた幸福が表出したうちの22.54%は混合表情であった。混合表情の各ペアは、悲しみ、怒り、恐怖であった。
商品分類と評価タイプとの違い
第①パラグラフ
表情×商品、表情×評価タイプにおいてカイ二乗検定を行ったところ、有意差は見られなかった。
次回は本論文の最終回です。考察編となります。
清水建二