微表情

フラッシュのように一瞬で表れては消え去る微妙な表情、微表情。このブログでは、微表情、表情、顔を始めとした非言語コミュニケーションの研究や実例から「空気を読む」を科学します、「空気」に色をつけていきます。

【コース告知】感情・表情認識AIの時代だからこそ、認定FACSコーダになろう

 感情・表情認識AIは、動画を読み込ませるだけで「怒り〇〇%」のように出してくれるためとても便利です。ですが、その数字をそのまま真実だと信じ切るのは危険です。AIは基本的に「顔の動き」から「感情ラベル」を推定しますが、現実の表情は顔面筋のコンビネーション、タイミング、文脈等で意味が変わり得るのです。

 

たとえば「熟考している顔」。考え込むと眉間にしわが寄る、口まわりが力むなどの動きが同時に起きやすく、AIがそれを「怒りの手がかり」として拾い、怒りと誤判定してしまうことがあります。

 

また、AIは条件次第で精度が揺れます。商用ソフトの検証では、基本感情の表情分類が平均80%正しく当たった一方、個別の顔面筋(眉が上がる、下がる、口角が水平に引かれる、上瞼が上がる等)の一致度は60%程度と報告されています(Skiendzielら, 2019)さらに、スタジオで撮ったような「顔が正面・明るい・表情がはっきりした画像」では比較的うまくいく一方で、現実の現場は条件がバラバラです。たとえば、照明が暗い、顔が斜め、髪やマスクで一部が隠れる、笑いながらも緊張しているなど、いろいろな要素が混ざります。そうした「日常に近い画像(in the wild)」を使ったテストでは、7種類の表情分類で正解率が約63%だったという報告もあります(Gómez-Sirventら, 2023)つまり、顔面筋を正確に測る資格を持つ人間の専門家(「認定FACS:Facial Action Coding Systemコーダ」のこと)を100点とするなら、AIは条件次第で「80点台にも60点台にもなる」というイメージです。

 

ゆえに、AIの数字は「便利な推定」ではあるものの、状況によって外れることがあるため、結果をそのまま信じるのではなく、点検できる目が必要になります。

 

 そこで重要になるのが、人間の認定FACSコーダです。FACSは、感情を推定する前に「どの筋肉がどう動いたか」をAU(Action Unit:視認可能かつ最小の顔面筋における動作単位のこと、FACSにおける専門用語)として客観記述し、解釈を後段に分ける枠組みです。だからこそ、AIの結果を監査するだけでなく、人の表情をより正確に観察・分析し、心理分析や慎重さが問われるコミュニケーション(カウンセリング、人事面接、嘘検知など)に活かしたい方にも強力なツールとなります。

 

 FACSを学びましょう。この度、2月8日(日)より 「Facial Action Coding System 12時間速習コース」を開講します。本コースでは、①顔面筋の動きを客観的に測定・分析するFACS分析法、②その動きの意味(怒り・悲しみ・幸福・熟考等)を推測するFACS解釈法を学んで頂きます。特にLesson3では「AU4は怒りか熟考か?」「AU23/24を怒り・熟考・味覚にどう分類するか?」のように、まさに「誤判定が起きる分岐点」を扱います。AI時代だからこそ、出力に振り回されない「読む力」を身につけましょう。

 

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参考文献

Skiendziel, T., Rösch, A. G., & Schultheiss, O. C. (2019). Assessing the convergent validity  between the automated emotion recognition software Noldus FaceReader 7 and Facial Action Coding System Scoring. PloS one14(10), e0223905. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0223905

Gómez-Sirvent, J. L., López de la Rosa, F., López, M. T., & Fernández-Caballero, A. (2023). Facial Expression Recognition in the Wild for Low-Resolution Images Using Voting Residual Network. Electronics12(18), 3837. https://doi.org/10.3390/electronics12183837

Ekman Paul, Friesen Wallace, Hager Joseph (2002) Facial action coding system: a technique for the measurement of facial movement.
Consulting Psychologists Press, Palo Alto, CA