2025年8月下旬から、警視庁や大阪府警などで警察官の帽子や上着にウェアラブルカメラを装着する試みが始まるとの報道がありました。職務質問や交通違反の取り締まりの記録だけでなく、花火大会など雑踏警備の現場でも活用されるようです。
この取り組みは、表情分析・観察技術の進展に大きく貢献する可能性を秘めています。
職務質問の現場では、「もう一歩踏み込んで質問すべきか、それとも引くべきか」という判断を迫られる場面が多くあります。その判断基準は、長年の経験から生まれる“勘”です。「なんとなく怪しい」という直感が当たることもあれば、外れることもある。
ところが人間は、自分に都合の良い記憶を残す生き物です。「怪しい」と感じた相手から違法品が見つかればその経験は強く記憶されますが、勘が外れたケースは忘れてしまいがちです。その結果、技術向上の根拠が曖昧なまま積み重なってしまいます。
もちろん、現場では先輩や同僚のフィードバックを受けたり、自分なりに勘を磨く努力を重ねたりする警察官も多いでしょう。それでも、もしデータを残し、後から検証できるようになれば、より効率的かつ科学的に技術を高める道が開けます。
表情・言動分析がもたらす新たな可能性
「どんな質問をしたとき、相手はどんな表情や仕草を見せたのか」「そのサインが危険を示していたのか、それとも無害だったのか」──。こうした情報を体系的に蓄積できれば、職務質問の手法は飛躍的に進歩するでしょう。
実際に、車載カメラ映像の分析からもその可能性を垣間見ることができます。次に示す動画は、パトカー内で中国人女性が職務質問を受けている様子です。警察官が「武器」「偽造カード」「多額の米ドル」「薬物」など、所持品を具体的に尋ねると、女性の表情が変化していくのがわかります。5:40からスタートします。6:45くらいまで観てみて下さい。
6:17と6:29に注目して下さい。
6:17では、多額の米ドルに関する質問が出る前、女性に「恐怖」の表情が見られます。
6:29では、薬物の質問を受けた瞬間、「嫌悪」の表情が浮かびます。
恐怖は「そろそろマズい質問が来るかもしれない」という予期から、嫌悪は「痛いところを突かれた」という心理反応から現れたと推測できます※。この分析は、「表情が、警察官が次に採るべき行動のヒントになり得る」ことを示しています。
※念のため補足ですが、この推測は結末を知ったうえで行ったものではありません。表情分析・観察が出来るようになれば、このレベルの観察&推測はリアルタイムで出来るようになります(答えを知りたい方は、動画を最後まで観て下さい)。
リアルコミュニケーション力を磨くために
オンラインでのやり取りが当たり前となった今だからこそ、リアルな場で相手の微細な変化を感じ取り、適切に対応する「リアルコミュニケーション力」がますます重要になっています。ウェアラブルカメラと表情分析の融合は、その力を科学的に伸ばすための大きな一歩になるはずです。
ということで、私と一緒に表情分析を研究しましょう、学びましょう、豊かなコミュニケーションが出来るようになりましょう。私のセミナーでは、科学的根拠と現場の声に基づきつつも、単なる知識・体験紹介に終わることなく、上記のような動画や弊社実験動画、ワークを通じて知識を実践力に高めることを重視しています。
清水建二