本日はIIEテクニックの構造DEFについて紹介したいと思います。
Discrepancies―不整合
不整合とは、言語内及び、言語と非言語との間に生じる食い違いのことです。言語内の不整合は、被面接者の発言内容と物的証拠・記録、発言内容内での食い違いが一般的です。言語と非言語との間における不整合は、被面接者が口では「悲しい」と述べていても、表情が「悲しみ」になっていないときなどを意味します。こうした不整合も「ホットスポット」となります(「ホットスポット」については前回の記事を参照して下さい)。
Engagement―関わり
関わりとは、面接者が面接中に被面接者に関わるプロセスのことを意味します。被面接者が誠実に正確な情報を発言できるように面接官は面接の環境を適切に作り出す必要があります。優秀な面接官とは、自身が話すより被面接者の話をよく聞き、被面接者とラポールを形成することで心地良い環境を作り上げる能力があることが知られています。
「被面接者の話をよく聞く」というのは、質問の仕方が適切である、ということに通じます。状況に応じて、クローズド・クエッションとオープン・クエッションを使い分け、誘導尋問にならないように注意しつつ、戦略的な質問を用い記憶をたどる手助けをしたり、詳細な情報を提示できるように質問を投げかけるべきです。
面接の場を心地良い場にするには、被面接者とのラポールが大切です。ラポールの形成の仕方は様々ですが、被面接者との類似性を見つけたり、被面接者に共感を示したり、被面接者に好まれる話題を面接中に織り交ぜるのが有効です。また非言語的な側面で言うと、被面接者の姿勢やしぐさを模倣するミラーリングや被面接者の腕や手に軽く触れる行為もラポールを形成する有効な手段です。
また対話の仕方も威圧的にするべきではなく、丁寧な言葉使いを意識して、被面接者に関わるべきです。
Follow-up―フォローアップ
被面接者から得られた情報を物理的な証拠や記録、その他の情報と照合することがフォローアップです。面接者が被面接者に与える影響に意識を配り、被面接者のベースラインを構築し、そのベースラインからの変化をとらえ、言語・非言語の不整合を精査し、被面接者と適切に関わっていく。こうしたプロセスを経て得られた情報の精度を確かめるために、その情報に基づき物的証拠・記録を探す必要があります。情報と物的証拠・記録との整合性がとれてはじめて、面接の役割が終了します。
実施する面接が重要であればあるほど、A~Fの構造を意識・徹底するべきですが、面接の重要度や時間・物理的制約に応じて面接の構造を適切に変えられることが肝要です。
本日をもって面接テクニック・シーズン1終了です。面接構造という大枠に微表情・動作観察や質問法がどのように関わるかイメージして頂ければ幸いです。ただ、イメージ出来ることと実際に面接を行うこと、訓練することとは、結構、異なります。科学知見を土台にした実践的な訓練・研修をご希望の方は、空気研にぜひご依頼を。
それでは、面接テクニック・シーズン2でまたお会い致しましょう。
清水建二
参考文献
Frank, M. G., Yarbrough, J. D., & Ekman, P. (2006). Investigative interviewing and the detection of deception. In T. Williamson (Eds.), Investigative interviewing: Rights, research and regulation (pp. 229-255). Cullompton, Devon: Willan.