本日は第三回です。課題学術論文は、第一回・第二回からの続き、
Matsumoto, D., Hwang, H. S., Harrington, N., Olsen, R., & King, M. (2011). Facial behaviors and emotional reactions in consumer research. Acta de Investigacion Psicologica (Psychological Research Records), 1(3), 441-453
です。
本日は本論文の考察について要約及び私のコメント(➡で書きます)を書かせて頂こうと思います。
考察
第①パラグラフ
表情を計測することは消費者の感情世界の洞察を得る価値のある方法を提供してくれた。感情を細かく分類することによって重要な情報を得ることが出来た。
第②パラグラフ
消費者は単なる好き・嫌いを超えた様々な感情を見せた。
第③パラグラフ
計測された表情はとても微妙で、強度が弱いもしくは中程度で、顔の一部分にほんの1、2秒程度しか生じなかった。同じ感情でも様々な様態を通じて表出され得るため、素人は気付くことが出来ないかも知れない。
第④パラグラフ
真の幸福感情はあまり発現されなかった一方で、怒り、軽蔑、嫌悪感情が比較的多く発現された。これは幸福感情や楽しさを最大化させる目的を持つ消費者研究の常識に警鐘をならすことになるだろう。本研究の結果が示すことは、消費経験というものは、心地よさを最大化し幸福を得ようとすることよりも、不快感を最小化することから満足を得ようとしているということである。
第⑤パラグラフ
本研究では、幸福表情が比較的多く計測されたが、そのほとんどは作られた幸福表情であった。素人目では、両者の表情を正確に区別することは難しい。適切な調査結果を得るためには真の幸福と作られた幸福とを区別することが重要である。
第⑥パラグラフ
本研究から得られた知見はある疑問の回答を求めている。それはその感情はどこから来るのか、ということである。感情が生じていることは確かなのだが、何に対する感情なのかが明らかになっていない。将来の研究において、非言語行動と特定の言語とのつながりを研究することによって消費者の気持ちを特定することが出来るようになるだろう。
清水建二