様々な場所で研修をしていると度々、質問されることがあります。
「どのくらい勉強すれば、非言語の知見を現場で使えるレベルになりますか。」と。
現場の定義が難しいのですが、だいたい次のように答えます。
「座学、実習、自習含め、最低100時間は必要です。」と。
この場合の非言語の知見とは、表情分析・動作分析、会話術、質問法の諸理論を合わせたものです。座学と実習とを合わせて50時間、自習が50時間程必要となります。
それだけ、非言語から他者の感情を把握し、心を推定することは並大抵なことではないのです(しかし100時間という時間は、一日10時間勉強すれば10日間で済みますから、そんなに長時間ではないと思います。)。
左上を向いたらウソをついている、そんな単純な話では全くないのです。
しかし、言語情報に加え、非言語情報も正確に把握できたなら、人を介した諸調査や取り調べにおいて強力なサポートとなります。
特に抑制された感情や認知プロセスの発現である微表情や微動作を正確に把握するスキルを習得したならば、人がどんな思いを抱いているのかが明確にわかるようになります。
このスキルの極致は日常生活においては必要ないかもしれません。しかし、神経をとがらせなくてはいけないとき、もしくは、万が一のとき、はたまた、「一般の方の万が一」が日常の職務になっている方々にとっては非常に強力な職務支援スキルとなります。
本日こうしたブログを書かせて頂いたのは、最近起きたとある事件がきっかけです。
本日のブログの本題は、次の3行です。
犯罪や不正を犯したと疑われている人が、いったんは調査対象になるものの、その対象から除外されてしまうことがあります。
一番悲しいことは、その対象から除外された人が、同じ罪を犯してしまうことです。
調査官に微表情検知スキルがあったならば、結果は変わっていたのではないかと思わざるを得ません。
清水建二