前回のブログで、西田あいさんの「涙割り」ジャケ写の表情分析をさせて頂きました。その内容を今一度振り返りますと、
悲しみや不安を感じつつも笑って見せる強さとか弱さを併せ持った女性、
ということでした。
さてさて、この写真が撮影されたときの状況をご紹介させて下さい。
結論から申しますと、
「涙割り」の主人公の魂が入りこんだ西田さんとその瞬間を撮影したカメラマンとベストタイミングなジェケ写を選択した編集の方との秀逸なコラボレーションの結果だと感じます。
なぜそう思うのか?
この撮影がなされているとき、ずっと「涙割り」の曲がスタジオに流れていたそうです。西田さんはもちろんこの曲を歌われている方なので、曲中の主人公の気持ち、気分を入れて撮影に望まれたと思います。
もしかしたら、例えそうしたことを意識していなくても、何度も歌われている曲ですから、スタジオで流れている曲に共鳴して、曲中の主人公の魂が「フッ」、と西田さんの無意識に入り込んだのかも知れません。
西田さんの共感力のなせる技だと思います。
そして、それに加え、
その瞬間の表情を押さえるカメラマンの瞬断力、その瞬間の写真を選択する編集の方の視点力のなせる技だと思います。
このブログを書いていて、映画作家の大林宣彦さんが映画を撮影するときのこだわりについて、思い出しました。
大林さんは、手だけをアップに撮影するシーンでも、画面に映らないその周りの情景も人も一緒に動いてもらう、エキストラも含めて動いてもらう、そうしないとそのシーンはウソになってしまう、というようなことをおっしゃっていました。
本物の気分にする、感情を入れる、
CDジャケットの写真撮影も映画の撮影にも、真の感情を奏でるためのTipsがあるのですね。
清水建二