笑いを抑える状況ってどんな場合でしょうか?
公の場で思い出し笑いをしそうになったとき、
いたずらやゲーム、その他ウソなどで相手を上手く出し抜いているとき、
勝負事に勝った側が、敗者を気遣っているとき、
見ず知らずの人が転んでいるのを目撃してしまったとき、
真面目な雰囲気で笑っちゃいけないと強く自覚しているとき、
怒られているとき、
などなど色々な場面が思いつくと思います。
笑いを抑えることが良いことなのか、悪いことなのかは、もちろん状況によります。敗者と勝者がいる場面では、勝者は、自分の幸福を前面に出し、満面の笑みを敗者に向けない方が、敗者の面目を保つためには良いかも知れません。逆に映画館など面白い映画を観ているとき、自分のツボにははまるケド、周りが全然笑っていないとき、本当は、笑った方が良いかも知れません。なぜなら、本当は楽しいのに笑いを抑えるてしまうと、本当は面白いと思っていたことでも、「それほど面白くないのかも?」と自己評価を変えてしまう恐れがあるからです。
ところで、この笑いをこらえる能力はどんな能力と関係があるのでしょうか?
ズバリ、セルフモニタリング度の高い人ほど、笑いを抑制するのが上手だということが知られています(Friedman, & Miller-Herringer, 1991)。セルフモニタリング度の低い人は、笑いが抑えきれず、漏れ出してきてしまうのです。
セルフモニタリング度とは、自分自身を見つめ、理解出来る能力のことです。
ただし、強い喜び感情があるとき、セルフモニタリング度の高い人でも、唇を噛む、唇をねじ曲げる、唇を引っ張る、という表情コントロールを通じて笑いを抑制する傾向があり、完全にその幸福感から溢れ出る笑みを抑制しきれるわけではないようです。
他者が笑いをこらえているのを認識できたなら、人は幸せになるのでしょうか?
そういえば、昨年、某運動選手がある会見で笑いをこらえていましたね。
でも微表情として、その笑みはしっかり漏れ出ていましたが…。
科学は事実を提供します。
科学知見を利用する私たちが価値を見出します。
笑いの抑制サイン、何に使いますか?
清水建二
参考文献
Friedman, H. S., & Miller-Herringer, T. (1991). Nonverbal display of emotion in public and in private: Self-monitoring, personality, and expressive cues. Journal of Personality and Social Psychology, 61, 766-775.