相手に良い印象を与えるために素敵な笑顔を作ったり、相手のココロに寄り添えるように共感表情を作ったり、と私たちは状況に応じて積極的に表情を作ります。一方で、ウソをついたり、バツが悪かったり、相手に気を使うときなど、状況に応じて表情を抑制することもあります。
これまで本ブログでは、積極的に作られる表情のウソ・ホントについてご紹介してきました。本日は、表情抑制、すなわち微表情のウソ・ホントについてご紹介したいと思います。
微表情を抑制することはできるのか(Carolyn & Mark, 2011)?
結論、YES and NO!
実験参加者たちに強い感情が生じるような状況が設定されました。そして、参加者らにその感情が表情には現れないように努めてもらいます。
またその際、実験参加者らはウソをつくときに表れやすい特定の表情の動きを抑制するように指示が与えられました。具体的には、笑顔に関連する口の筋肉の動きと、恐怖に関連する眉の筋肉の動きを抑制するように指示が与えられました。
観察の結果…
実験参加者らの意図に反して、口の動きや眉の動きを完全に抑制することはできない、ということがわかりました。口の動きと眉の動きを比べると、口の動きはかなり上手くコントロールできるものの、眉の動きをコントロールして止めることは困難だということがわかりました。
私たちは、普段、話したり、食事をしたりしているため、口のまわりの筋肉を巧みに動かすことには慣れています。しかし、眉の動きにはあまり意識が向かわず、巧みに眉を動かすことも少ないため、眉の動きをコントロールすることは難しいと考えられています。
とすると、普段から表情筋を巧みに動かすことができる人なら(ジム・キャリーとか)、感情を抑制しなくてはいけない場面に遭遇したとき、その感情が表に出ないように表情を抑制できるのか、と言うことなのですがその答えはYESなのです。
話をまとめますと、表情筋を巧みに動かすスキルがある場合を除いて、微表情、特に眉の動きに関連する微表情をコントロールすることは難しい、ということです。
真実は、眉に宿る!
(正確には、鼻から上の筋肉の動きは意識されないので、鼻から上、つまり、まぶた、目、眉、額の動きはコントロールすることが困難であり、そこに抑制しきれない本当の表情が表れるのです。)
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清水建二
参考文献
C.M. Hurley and M.G. Frank, “Executing Facial Control During Deception Situations,” Journal of Nonverbal Behavior 35, no. 2 (June 2011): 119-131