前回は、様々な味覚に対する赤ちゃんの表情についてご紹介しました。
今回は、味覚変化や味覚の個人差についてご紹介しようと思います。
前回ご紹介したように苦味のある味に対して赤ちゃんは、口を開けて「嫌悪」を示すということでした。赤ちゃんは、本能的に苦味=危険と認識し、摂取することを避けるようです。しかし、苦味があっても身体に良い食物があります。例えば、緑色のした野菜です。
乳幼児から幼児期にかけて、子どもたちは苦い野菜を避ける傾向にあります。それでも8~12回与え続けると食べることを覚えるということがわかっています。
乳幼児から幼児期にかけての食習慣が将来の食べ物の好き嫌いに影響を及ぼすことを考えると、子どもが最初何度か(7回くらい)体に良いが苦いものを避けていても、諦めず、与え続けるということが大切なのかも知れません。早い時期に、単に子どもが嫌うからという理由で、親が子どもに特定の食物を与えないと、その子どもは生涯を通して、その食物を嫌い続ける可能性があります。
この話に関連して味覚の個人差の問題に関しても以下のようなことが知られています。
生後4~9ヶ月の赤ちゃんに緑の野菜を与える実験がなされました。その赤ちゃんの表情を計測します。その結果、
①これまで緑の野菜を食べさせられてきた赤ちゃんは、食べさせられてきていない赤ちゃんに比べて、あまり「嫌な」顔を浮かべませんでした(※)。
②性格が積極的な赤ちゃんは、消極的な赤ちゃんに比べ、緑色の野菜を長い時間食べ続け、あまり「嫌な」顔を浮かべませんでした。
味覚に対する習慣と個人差がこんな早い時期から生じてくるのですね。
実に興味深いです。
自分の子どもがいたらぜひ、色々実験してみたいです。
双子とか三つ子なら条件を色々変えて…
※ちなみに「嫌な」顔というのは、これまでの研究蓄積によってFACSで定義されている、「マズイ」味を感じたときの顔です。参考に、「マズイ」味の顔のFACSコードは、AU1、AU4、AU6+7、AU9、AU10、AU26/27とされています。
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清水建二
参考文献
More than just a pretty face. The relationship between infant's temperament, food acceptance, and mothers' perceptions of their enjoyment of food.
Forestell CA, Mennella JA.
Appetite. 2012 Jun;58(3):1136-42. doi: 10.1016/j.appet.2012.03.005. Epub 2012 Mar 9.