前回は、好感を持つ人の身体の動きを無意識に真似てしまうミラーリングという現象についていくつか紹介させて頂きました。本日はその続きです。
・ 赤ちゃんのミラーリング
発達心理学の研究より、赤ちゃんもミラーリングをすることがわかっています。赤ちゃんを囲む大人の人たちを観察してみましょう。その赤ちゃんは誰の真似をするでしょうか。その真似をされている人が赤ちゃんのお気に入りの人です。
・ 異なる民族間におけるミラーリング
ミラーリングは常に良い結果をもたらすわけではありません。異なる民族間同士でのミラーリング実験の結果、異民族に対し偏見を持っている場合、偏見を持つ異民族の人から動きを真似されると真似された人は、好感が上がるどころか下がってしまう、ということがわかりました。異民族に偏見がない場合は、通常のミラーリングのもたらす効果が観察されました。
・ 異なる地位間におけるミラーリング
上司と部下など異なる地位間のノンバーバル・コミュニケーションにおいて、行動が地位・権力・ヒエラルキーに関わる場合、ミラーリングは行われずに、ミラーリングとは逆の現象が見られることがわかっております。地位の高い者が、空間を多く占めるような姿勢をとると、地位の低い者は、空間を多く占めないような小さくなるような姿勢をとる、ということです。相互補完的なミラーリングですね。
・ ミラーリングの波及効果
ミラーリングをされる人は、向社会的な気持ちになり、他者とのつながりを感じるようになります。ミラーリングをされた人は、その人の動きを真似た人だけでなく、他の人、モノに対しても好感を抱き、同族的な意識を抱く、ということがわかっています。
最後のミラーリングの波及効果に関しましては、なかなか面白い実験がありますのでまた次回ご紹介させて頂きたいと思います。
清水建二
参考文献
Where is the love? The social aspects of mimicry Phil Trans R Soc B August 27, 2009 364: 2381-2389