前回の続きです。
今回のテーマは、
愛想笑いに効果はあるのか?
です。
実験の結果、効果なし、ということのようです。
女性の「笑顔」を科学する①で示した面接場面を記録した映像を、音なしバージョンで、50人の男女に視聴してもらいます。そこで愛想笑いを浮かべた女性に対してどのような評価が下されるかを計測します。
計測の結果、応募者の女性が愛想笑いを見せれば見せるほど、無能で知性が低いと判定される傾向が見出されました※。
この実験結果が暗に示していることは、
応募者の女性は、嫌な質問に対して、職を得るために、本心はネガティブなのに愛想笑いを浮かべ我慢する、しかし、面接に対する評価は、低い可能性がある、
ということです。
そんなのあんまりですが、悲しいことにこれが科学的に示されている結果のようなのです。
しかし、愛想笑いを解釈する側についてはどうなのでしょうか?本当に正しくその意味を解釈しているのでしょうか?愛想笑いを無能や知性の低さと評価するのは評価者側の判断です。それが事実かどうかは関係ないのです。女性の「笑顔」を科学する①で示したように、愛想笑いを浮かべる女性の本心は、ネガティブな感情状態にいる可能性があることに注意しなくてはいけません。
愛想笑いの裏にある本心にどれだけ私たちは気付けているのでしょうか?
またまた次回に持ち越しです。
※しかしこれはあくまでも個人主義的な文化圏に生きる人々によって下された評価ですので、この結果をそのまま日本に当てはめてよいかは疑問が残ります。表示規則によって結果に違いが生まれるかも知れません。日本では苦しい状況でも「笑顔」を浮かべられる強さが必要とされる場面があるからです。セクハラ場面で愛想笑いをする必要があれば、もちろんそれは大きな問題ですが…。
清水建二
参考文献
Woodzicka, J. & LaFrance, M. (2005). Working on a smile: Sex, power, and reactions to sexual harassment. In R. Riggio & R. Feldman (Eds.), Applications of nonverbal communication. Mahwah, NJ: Erlbaum & Associates.