女性がニコッとあなたに笑いかけます。
それは本当の笑顔でしょうか?
本心からの笑顔?それとも愛想笑い?
どうやって区別しますか?
どんなときの笑いが愛想笑いになりやすいのか?
愛想笑いにポジティブな効果はあるのか?
私たちは正しく愛想笑いを認識出来ているのでしょうか?
そんな疑問を抱きながら、今回は、女性の「笑顔」を科学します。
ある職種の候補者を決める面接が行われました。応募者は全員女性です。応募者にされる質問の中で、応募者によって一部異なった質問がなされました。ある応募者らは、性的な質問を面接者から受けました。一方で他の応募者らは、性的ではないものの普通の面接ではされないような少し驚くような質問がなされました。性的な質問とは、「あなたに彼氏はいますか?」といった類の質問群で、驚き質問とは、「あなたに親友はいますか?」といった類の質問群でした。
面接の様子はビデオで記録され、それぞれの質問を受けた瞬間の応募者らの表情が計測されました。
一見すると、性的質問を受けた女性も驚き質問を受けた女性も、笑顔でした。しかしその表情を詳細に分析すると、性的質問を受けた女性は、驚き質問を受けた女性に比べ、愛想笑いが多いことがわかりました。
本心からの笑顔と、愛想笑いとは、目の筋肉の周りの収縮の有無から(ある程度)判断出来ます。口角(唇の両端)が引き上がり、目の周りの筋肉が内に引き込まれ、目尻にしわが出来れば、その表情は本心からの笑顔の可能性が高いです。口角のみが引き上がるだけの場合は、愛想笑いです。つまり「目が笑っているか否か」が両者を区別するポイントです。
愛想笑いの裏にはどんな本心があったのでしょうか?この面接の後に応募者らにアンケートをとったところ愛想笑いを浮かべた応募者らは、愛想笑いを浮かべている間、イライラし、嫌悪を感じていたと答えました。つまり彼女たちの浮かべた愛想笑いは否定的な感情が込められていたということです。
私の個人的な経験においても愛想笑いの裏に込められた否定的な感情を微表情から多々察知することがあります。昨年にも以下の動画に示すようなことがありました。
4:19秒の彼女の「笑顔」にどんな意味を読みとりますでしょうか?
ところで、嫌な質問に対し、愛想笑いを浮かべ、その場を繕わなくてはいけいない状況は、面接場面では多々あるかと思います。この愛想笑いの効果はいかほどなのでしょうか?愛想笑いを浮かべると面接に有利に働くのでしょうか?
丁度よい長さになってきましたので、この問題は次週に持ち越しです。
清水建二
参考文献
Woodzicka, J. & LaFrance, M. (2005). Working on a smile: Sex, power, and reactions to sexual harassment. In R. Riggio & R. Feldman (Eds.), Applications of nonverbal communication. Mahwah, NJ: Erlbaum & Associates.