微表情

フラッシュのように一瞬で表れては消え去る微妙な表情、微表情。このブログでは、微表情、表情、顔を始めとした非言語コミュニケーションの研究や実例から「空気を読む」を科学します、「空気」に色をつけていきます。

Lie to meから学べる表情学5

 

今回はLie to meから学べる表情学の第5回目です。

本日取り上げる話題は、Lie to meエピソードⅠ第1話のあるシーンです。

 

始まりから23分くらいのシーンでジリアンがある政治家に特定の日の出来事について

質問しています。その後、

 

「その日の出来事を逆から順に描写して下さい。」

 

という質問をしています。

つまり夜から朝にかけて時系列を逆にして描写するように指示しております。

 

これにはどんな意図があるのでしょうか。

 

実はこの質問方法は特定の日の出来事に関してウソをついているかいないかを推定するためのもので、ウソ検知に有効な質問方法として科学的な裏付けのあるものなのです(Vrijiら、2012)。

 

近年のウソ検知の科学は、単にウソをついたときに漏洩するー微動作や微表情、言い間違えや論理不整合性などー感情的もしくは認知的手掛かりが容疑者から表出するのをただ待つのではなく、質問の仕方を工夫することでさらにそれらウソの手掛かりを検知しやすいようにできないだろうか、と言う観点から研究が進められています。

 

ウソをつくことは、感情的にも認知的にも負担のかかる行為です。

質問方法を工夫することでさらにその負担を高めようとする試みがなされているのですね。

 

その中の一つが、時系列を逆に描写させるという方法なのです。

 

普通、ウソつきは時系列を順番に描写するリハーサルはしているものですが、逆に描写するリハーサルはしていないものです。したがって、真実を述べている人よりもウソつきは時系列を逆に説明するとなると認知的負担が重くなり、その間、様々なウソの徴候を漏洩させるのです。

 

Lie to me、何度見てもこの作り込み様に惚れてしまいます。

こんな科学に忠実なドラマを日本でも是非制作して欲しいです。

 

そう言えば、フジテレビでやっていたガリレオが科学に忠実でしたね。

 

それでは最後に私の好きなLie to meのテーマ曲とともにお別れしましょう。

See you next week!

 

 

 

清水建二

参考文献

Vrij, Aldert, Leal, Sharon, Mann, Samantha and Fisher, R. (2012) Imposing cognitive load to elicit cues to deceit : inducing the reverse order technique naturally. Psychology, Crime & Law, 18 (6). pp. 579-594.