微表情

フラッシュのように一瞬で表れては消え去る微妙な表情、微表情。このブログでは、微表情、表情、顔を始めとした非言語コミュニケーションの研究や実例から「空気を読む」を科学します、「空気」に色をつけていきます。

似て非なる感情:羞恥(embarrassment)と恥(shame)

 

 羞恥(embarrassment)と恥(shame)の違いは何でしょうか?

どちらも「恥ずかしい」という感情を含んでおり、区別するのが難しいですね。

しかし私たちは、それを知らず知らずのうちに見分けています。

ちょっと簡単な実験をしてみましょう。

 

問題:

①人前でスベって転んでしまったときの顔は?

②仕事でミスをしてしまったときの顔は?

下の図においてどちらがどちらだと思いますか?

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※本画像の権利は、株式会社空気を読むを科学する研究所に帰属します。無断転載を禁じます。

 

「羞恥」感情とは、社会的交流、行動、対人関係、食事、服装などのルール、慣習、マナーから逸脱した行為をするときに生じる感情です。その典型的な特徴は、「視線はずし」+「笑顔のコントロール」+「頭を下げる」+「顔を手で触る」、というものです。

 

一方の「恥」感情とは、「羞恥」感情同様社会的なルールから逸脱した行為をするときに生じる感情ですが、個々人の性格が原因となるようなより深刻な逸脱をするときに生じる感情です。その典型的な特徴は、「視線と頭を下げる」というものです。

 

ということで、

写真(a)が「羞恥」で、写真(b)が「恥」を表しています。

 

さて、いかがでしたでしょうか?

正解は、①が(a)で、②が(b)です。

多くの方が正解できたのではないでしょうか?

 

ある調査でこの問題と同じような実験がなされ、多くの人が①のような場面において人は(a)の「羞恥」表情をし、②のような場面で人は(b)の「恥」表情をする、と選択しています。

 

では、こうした「場面の違いに応じて浮かべられる異なる表情」にはどんな意味があるのでしょうか?状況に合わない表情反応に人はどんな印象を受けるのでしょうか?次回、「羞恥」表情と「恥」表情が他者に与える影響を紹介いたします。

 

 

清水建二

参考文献

Dacher Keltner, Randall C. Young and Brenda N. Buswell. (1997). Appeasement in human emotion, social practice, and personality. Aggressive Behavior. Special Issue: Appeasement and Reconciliation Volume 23, Issue 5, pages 359–374.