Lie to meの話題も本日で3回目となりました。
この作品は、とても面白く、ためになるのですが、劇中の話題を現実世界に利用しようとするときには注意が必要です。
全シリーズを通じて、表情学及び嘘検知の世界的権威であるポール・エクマン博士の研究がベースとなり、博士自身も作品の監修を務めているのですが、やはりTVですから、研究仮説を誇張しているところもあるわけです。
そこで表情学の知見を正しく習得し、日常生活に活かして頂こうと、「Lie to me から学べる表情学」をシリーズ化し、私、清水がLie to meの中に出てくる表情学のウソ・ホントをご紹介していこうと思います。
今回は、エピソードの個別的事象を取り上げるのではなく、大枠的なお話をしようと思います。題して、
「Lie to meを観るとウソ検知力が高まるのか?」
です。
はい、サクッと結論を申し上げます。
Lie to meを観てもウソ検知力は高まらない。
ミシガン大学の研究チームは、実験参加者らを「Lie to meを視聴する」、「Numb3rs(※1)を視聴する」、もしくは「何も視聴しない」 という3つのグループに分けました。
その後、それぞれの実験参加者らに、ある事柄についてウソか真実の証言を述べている12人のインタビュー映像を観てもらい、誰がウソを述べているか判断してもらいました。
その結果、Lie to meを視聴したグループはその他のグループに比べ、真実を証言している人をウソだと判定する傾向にあることがわかりました。
一般的に私たちは、人を正直者であると判断する傾向にありますが、Lie to me視聴者グループは、ウソつきだと判断する傾向に傾いてしまったのですね(※2)。
私がこの研究結果を考察するに、
①Lie to meを視聴したグループは誇張された科学的仮説に過剰に反応した。
②微表情検知力はTVを視聴したくらいでは身につかないため。
ではなかろうかと思っております。
教訓
ドラマはあくまでもドラマ
ドラマの内容を正しく判定したいのなら、表情学を学びましょう、
そしてドラマを批判的に観ることで、さらなる学びを得ましょう。
どこで表情学を学べば良いかって?
そりゃ、空気を読むを科学する研究所です。
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清水建二
※1 Numb3rsとは、数学を利用して犯罪を解決していく数学者とFBI捜査官の活躍を描いたドラマです。このドラマの影響を受けて、数学の勉強に力を入れていた時期がありました←すぐに影響される人笑
※2 警察官などの犯罪捜査をする人々も、真実の証言をウソだと判断しやすい傾向にあることが様々な研究からわかっております。
参考文献
Levine, T. R., Serota, K. B., & Shulman, H. (2010). The impact of Lie to Me on viewers’ actual ability to detect deception. Communication Research, 37, 847-856.