微表情

フラッシュのように一瞬で表れては消え去る微妙な表情、微表情。このブログでは、微表情、表情、顔を始めとした非言語コミュニケーションの研究や実例から「空気を読む」を科学します、「空気」に色をつけていきます。

第4回『裏切り者は顔に出る-上司、顧客、家族のホンネは「表情」から読み解ける』制作裏話

 

 2022年2月9日『裏切り者は顔に出る-上司、顧客、家族のホンネは「表情」から読み解ける』が中央公論新社より発売されます。清水建二の5年ぶりの単著となります。本日は、本書の制作ストーリー第4回目。第三章について紹介したいと思います。

 

 第三章は、「ジェスチャーを見抜く」です。具体的には次の通りです。

 

・ボディーランゲージにまつわる大きな誤解

船場吉兆の会見で観られた「意外」なボディーランゲージ

・ポスチャー/マニピュレーター/イラストレーター/エンブレムと微動作(マイクロ・ジェスチャー

・話を合わせているだけ?それとも本当に同じ意見?

・いつも誤解されているあなたへーウソをついていると勘違いされるしぐさ

・<コラム>ウソのサインでない動きもウソのサインになることがある!?

 

 ボディーランゲージは、表情に比べると大まかな感情分類にはなりますが、動きが大きいため観察しやすい、という利点があります。ですので、他者の動きを少し意識的に見てみると、多彩なボディーランゲージが、ほぼ常時といってよいほどの頻度で使われていることに気づきます。ウソとの関連で言いますと、世の中にはウソをついていると誤解されるボディーランゲージがあります。ボディーランゲージから、直感的に、あるいは経験則的にウソを見抜こうとするとき、ほとんどの場合において、ウソと関係のないボディーランゲージをウソのサインと捉え、他者を誤解してしまうことが知られています。本章では、この陥穽を乗り越え、科学的裏付けのあるウソのサインの捉え方と様々なボディーランゲージの解釈の方法を説明しています。

 

 本章で最も伝えたいこと。それは、「よくあるハウツー本やYouTuberに解説されているほど、ボディーランゲージからウソを見抜くことは簡単・単純ではなく、ウソや人の心の奥底に迫るには、ボディーランゲージの機能を理解し、深い推論・熟考を経る必要がある」ということです。ボディーランゲージの観察から即座に解釈できる人の心の状態もありますが、ウソ推測となると自身の人間関係や対象人物の人生にも関わってきますので、正しい科学的知識は言うまでもなく、解釈には慎重にも慎重を重ねる必要があると考えます。

 

 第四章については、また次回。

 

 さて、今回は、私の著作過程について書きたいと思います。制作裏話第1回目で書きましたが、私は、2-3週間前後で本書の1章分約24,000字を書きます。その後1週間前後で推敲。そして提出。2-3日後に編集Tさんから軽いコメント。コメント後、次の章の執筆を始めます。最終的には、12万字書き、2万字削り、10万字の原稿となりました。

 

 主な執筆期間は半年前後です。半年間、先のサイクルを繰り返します。2-3週間前後で約24,000字の執筆量は、多いかどうかわかりませんが、私は通常業務でも連載やメルマガ、専門誌への投稿依頼、実験レポートの執筆など他にも原稿があり、実際の執筆量はさらにあります。具体的に、ある各月連載は約2,000字、月2回投稿のメルマガ(2021年10月廃刊)は、1回につき約5,000字、ある専門誌は約6,000字、ある実験レポートは約25,000字でした。不定期で依頼される時事ネタなどの分析記事は、おおよそ3,000字。執筆期間中、本書の原稿含め、毎月の執筆量は、おそらく40,000~50,000字程度ではないかと思います。また、私の業務は、ものを書く以外にもあります。セミナーや研修実施やその準備、コンサルタント業務、各種打ち合わせ等々あります。

 

 本を執筆したいと思われる方への参考として申し上げたいことは、こうしたメインの執筆(ここで言うところの『裏切り者は顔に出る-上司、顧客、家族のホンネは「表情」から読み解ける』)以外にどれだけ時間や労力をかけているか、逆に言えば、メインの執筆にかけられる時間や労力はどれくらいかを、ある程度知り、執筆計画を立てる必要がある、ということです。そうしないと、原稿の締切に間に合わなくなります。特にトピックによっては、知識や経験のストックが乏しいことがあったり、逆に情報が多すぎて取捨選択に悩む場合があると思います。そうしますと、原稿を書くために追加取材や資料調査・整理、多角的な考察をすることになり、時間がかかります。こうした時間も考慮する必要があります。

 

 執筆に関わる様々なことを考慮し、「この期間にこれだけ書こう、書ける」と決め、執筆を始めます。しかし、「書く内容は決まっているのになかなか文章にならない」そんなことが、時々、生じます。書いては消し、また書いては消す。「もっとよい内容になるのではないか」「もっとよい書き方があるのではないか」「もっとわかりやすいネタはないか」「この知見は最新だけど、どれだけ実用性があるか」そんなことを考え続け、中々、筆が進まないことがあります。さて、どうしたらよいか。続きは、次回。

 

 そんな試行錯誤の中、完成しました清水建二著『裏切り者は顔に出る-上司、顧客、家族のホンネは「表情」から読み解ける』中央公論新社(2022年)2月9日発売です。ご予約はこちらから。

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では、また次回。

 

 

清水建二

 

第3回『裏切り者は顔に出る-上司、顧客、家族のホンネは「表情」から読み解ける』制作裏話

 

 清水建二の新刊『裏切り者は顔に出る-上司、顧客、家族のホンネは「表情」から読み解ける』が、2022年2月9日中央公論新社より発売されます。本日は、本書の制作ストーリー第3回目。第二章について紹介したいと思います。

 

 第二章は、人類共通の表情、異なる表情について説明しています。具体的には次の通りです。

 

・なぜ表情に注目するのか?

・万国共通の七つの表情

・準万国共通の九つの表情

・万国共通の表情と準万国共通の表情の機能上の違い

・その他の色々な顔の表情

アメリカンスマイルとジャパニーズスマイル

・ドーピング疑惑のアスリート

・【練習問題1】会議についていけていないのは誰?

・【練習問題2】最終案に渋々同意しているのは誰?

・【練習問題3】複雑な感情の彩を表情観察から見抜く

・<コラム>「モナリザ」は何を考えていたのか?

 

 なぜ表情に注目するのか?それは、非言語の中で最も情報量が多いからです。また、言葉の意味が文字通りなのかそうではないのか、表情が教えてくれます。普段、コミュニケーションをとっていれば自然と身につく表情を読む力。様々な表情と感情の関係。表情が自分の感情や他者の行動に及ぼす影響。表情から心を読んでいるのか。ウソは顔に書いてあるのか。どんな表情が万国共通でどんな表情がそうでないのか。こうした何となく知っているようでちゃんとは知らないことを、現時点でわかっている最新の科学知見からクリアに説明しています。

 

 本章で私が最も伝えたいことは、「表情は感情の表れであり、心そのものではない。なぜその感情が表情として生じたのかを考えることで、心の中を推測することが出来る」ということです。このことについて、「ドーピング疑惑のアスリート」のところで実例を基に説明しています。

 

 有名アスリートにドーピング疑惑がかけられました。「ステロイドを使ったことがありますか?」という質問に対し、「いいえ」とアスリート。「いいえ」と答えながら、軽蔑の微表情が生じます。軽蔑は優越感とも言い換えられます。

 

・ドーピングしたもののその証拠が出てこない自信があるゆえに優越感なのでしょうか?

・ドーピングしていないにも関わらず疑いの目を向けている質問者や世間に対して軽蔑しているのでしょうか?

 

 このとき、このアスリートは心の中で何を思っていたのでしょうか。表情から感情を理解し、感情から心を推測する方法を本章の中で詳述しています。また、豊富な表情画像を用いて、様々な表情を説明していますので、文章だけでは伝わりづらい表情の微妙な違いをビジュアルから理解して頂けるようになっています。

 

 第三章については、また次回。

 

 さて、今回も編集・校正のプロたちの技紹介です。本日とり挙げる箇所は、第二章のトピック「アメリカンスマイルとジャパニーズスマイル」にて、表情が万国共通に見えない原因を説明している箇所です。

 

 「このように感じられる(表情が万国共通に見えない)原因は、主に2つに集約できます。」から続く文です。

 

清水が書いた元原稿

「一つは、どんな状況においてどんな表情を表出させるべきかについて文化的なルールがあるということ、もう一つは、刺激に対してどんな感情が想起されるかは個人・文化によって異なることがあるということです。一つ目の原因として、どんな状況においてどんな表情を表出させるべきかについて、文化毎に決められたルールの存在が挙げられます。これを表示規則と言います。」

 

この文が…

 

編集Tさんの治し反映原稿

「一つは、どんな状況においてどんな表情であるべきかについて文化的なルールがあるということ、もう一つは、刺激に対してどんな感情が想起されるかは個人・文化によって異なることがあるということです。一つ目として、どんな状況においてどんな表情であるべきかが文化によって決められていることを、表示規則と言います。」

 

こうなります。そして、さらに2回の校正が入り…

 

校正が反映された最終原稿

「一つは、どんな状況においてどんな表情であるべきかの文化的なルールは違うということ、もう一つは、刺激に対してどんな感情が想起されるかは個人・文化によって異なることがある、の二点です。一つ目の、どんな状況においてどんな表情であるべきかが文化によって定まることを、表示規則と言います。」

 

 となります。筆者が伝えたいメッセージはそのままに、読みやすい文章へと変化していくプロセスがわかります。個人的には、「一つ目の原因として、」以降の文の変換が好きです。私のワードで作成された原稿が、紙面に印刷され、その印刷された文字を組みかえ、追加、修正されるのですが、文を一から書くのではなく、元の文を組みかえていくのです。これなかなか凄いと思うのです。「伝えたいメッセージは、こういうことですよね?だから、文をこうしました」と言い、一から文を書いた方が簡単に思うのです。それをせず、筆者の文体を残し、修正提案をする。秀逸。

 

 そんな秀逸な編集・校了者が担当してくれた清水建二著『裏切り者は顔に出る-上司、顧客、家族のホンネは「表情」から読み解ける』中央公論新社(2022年)2月9日発売です。ご予約はこちらから。 

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では、また次回。

 

 

清水建二

 

 

第2回『裏切り者は顔に出る-上司、顧客、家族のホンネは「表情」から読み解ける』制作裏話

 

 2022年2月9日中央公論新社より発売されます清水建二の新刊、『裏切り者は顔に出る-上司、顧客、家族のホンネは「表情」から読み解ける』の制作ストーリー第2回目です。本日は、第一章について紹介したいと思います。

 

 第一章は、「微表情」とはどんな現象で、どんな活用がなされ、どんな場面で起きているのかについて説明しています。具体的には次の通りです。

 

・自殺願望を見抜け

・米軍やFBI、CIA等で駆使されている微表情検知スキル

金正恩がトランプに見せた軽蔑のサイン

・アイドルの笑顔が突然消える

・<コラム>微表情は使えない?

 

 微表情とは抑制された感情の漏洩であり、瞬間的あるいは部分的な表情として私たちの顔に生じる現象。抑制された感情、畢竟、ストレートに感情が生じていないということ。ウソをついている場面が典型的だと思います。自殺願望を隠そうとした入院患者、自ら犯した罪を隠す犯罪被疑者、大国を出し抜くことを試みた国家元首。ところで、微表情はダークな場面にだけ生じる現象ではありません。ポジティブなやる気や相手への気遣いにも関わります。ある微表情から内に秘めた負けん気が垣間見れたアイドル。沢山のファンに平等に「笑顔」を向ける人気アイドル。第一章は、こうした彼(女)らが登場し、微表情の世界に誘います。

 

 第一章の中で思い入れが強いトピック。全てというのが正直なところですが、強いて言えば、<コラム>微表情は使えない?です。微表情がウソ検知や心理推測に有効か否か。喧々諤々な議論が繰り広げられています。日本では、有名大学の某心理学者-とは言え、非言語コミュニケーションが専門の方ではありませんが-や某メンタリストらが、微表情(表情分析含む)は使えない、という議論をいくつかの論文を根拠に主張されています。その主張に対し、「微表情を実践で使っていない人たちの意見なので、スルーしても良いか」と思っていたのですが、きちんと科学的知見からも反論しておく必要があるかと思い書きました。

 

 微表情って使えるの?と疑問に思う方は、まずはこのコラムを読んで本書購入を検討して頂くのもよいかと思います。また、コラムの中で展開されるロジックを追って頂ければ、いつ、何時、微表情検知が効果を発し、逆に、どんな場合に使えない技術となるか理解を深めて頂くことが出来ると思います。第一章コラム精読必読です。

 

 第二章については、また次回。

 

 さて、ここで編集・校正のプロたちの技紹介です。本日とり挙げる箇所は、第一章のトピック「アイドルの笑顔が突然消える」のある箇所です。

 

清水が書いた元原稿

「テレビに出ているアイドルや芸能人の方は、作り笑顔、つまり、愛想笑いを本当の笑顔のように見せることに慣れていると考えられます。意図的に動かすことの難しい目の周りの筋肉でも、練習しているうちに次第に動かせるようになるのです。ですので、目尻のしわの有無だけで判断するのは無難ではありません。」

 

この文が…

 

編集Tさんの提案反映原稿

「テレビに出ているアイドルや芸能人の方は、作り笑顔、つまり、愛想笑いを本当の笑顔のように見せることに長けていると考えられます。一般的には意図的に動かすことの難しい目の周りの筋肉でも、練習しているうちに動かせるようになるのです。ですので、目尻のしわの有無だけで本当の笑顔かどうかを判断するのは無難ではありません。」

 

こうなり、さらに2回の校正が入り…

 

校正が反映された最終原稿

「テレビに出ているアイドルや芸能人の方は、作り笑顔、つまり、愛想笑いを本当の笑顔のように見せることに長けていると考えられます。一般的には意図的に動かすことの難しい目の周りの筋肉でも、練習しているうちに動かせるようになるのです。ですので、目尻のしわの有無だけで本当の笑顔かどうかを判断するのは積極的には勧められません。」

 

 プロの手が入ることで、日本語の読みにくさや不適切な言い回しが修正されていく様子がわかります。著者の中には、オリジナルの文章に手を加えられることを極端に嫌う方が時々いらっしゃいますが(色々な理由があるのだと思います)、私の場合、私の伝えたいメッセージの核はそのままに、日本語の言い回しだけを変えるという曲芸のような修正を提案して頂いたため、嫌うどころか、むしろ、とてもありがたいことだと思っています。また、なぜ修正を提案しているのかの理由も伝えて下さり、筆者を立てて下さっていることが伝わって来るのです。

 

 ちなみに本書の場合、9月に大部分を書き終え、編集のTさんからのフィードバックを基に全体を修正し、トピックの組み換え、追加原稿を加え、書籍として内容がほぼ形になったのが、10月後半。ここから校正によるチェックが2回入り、さらなる修正提案がなされます。そして、年を越し、2月に発売。修正の期間が凄いですよね。徹底的なプロの仕事。よい書籍にしようという想いが伝わって来ます。

 

 そんな色々な方々の工夫が詰まった書籍。清水建二著『裏切り者は顔に出る-上司、顧客、家族のホンネは「表情」から読み解ける』中央公論新社(2022年)2月9日発売です。ご予約はこちらから。 

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では、また次回。

 

 

清水建二

 

第1回『裏切り者は顔に出る-上司、顧客、家族のホンネは「表情」から読み解ける』制作裏話

 2022年2月9日に中央公論新社より清水建二の新刊が発売されます。タイトルは、『裏切り者は顔に出る-上司、顧客、家族のホンネは「表情」から読み解ける』です。

 

 本書の制作ストーリーを何回かに渡り書いていきたいと思います。本書にかけた想い、執筆中に考えていたこと、本書を購入しようか迷われている方への後押しになる何か!あるいは、本書を購入された方がさらに楽しくなる情報、また、私の周りには「書籍を出版したい」という方が何名かいらっしゃるので、本を書くということに興味があるそんな方へのヒント等を書きたいと思います。

 

 本書の企画を提案して下さったのは、中央公論新社書籍編集局のTさん。2021年3月初旬のことでした。Tさんとは、2016年に雑誌の取材でご一緒させて頂いたのが縁でした。その取材で微表情や微動作についてお話させて頂いたのですが、それを覚えていて下さり、その魅力、面白さなどを一冊の本にまとめませんか、という提案でした。前作の単著を発表してから5年。「そろそろ新作を書きたいな」と思っていたタイミングであり、また、数多ある取材経験の中でも私への取材を覚えていて下さっていたことに感動し、二つ返事でOK。是非是非と。

 

 パートナーの熱意って凄く重要です。私だけが熱くても続きませんもの。

 

 対面やメールで何度か打ち合わせをし、Tさんが用意してくれた企画のたたき台に私のアイディアを追加し、適宜、修正を入れたりしました。とはいえ、Tさんは、私の過去の書籍や連載記事等から私の専門分野をよくご存じでしたので、数回のやり取りでスムーズに企画書が出来ました。

 

 4月、無事に企画通過のお知らせ。いよいよ、執筆開始です。私自身、ネタは沢山あり、執筆自体は好きな作業ではあるのですが、それでも、1冊の本を書くという営みは、精神・肉体を疲弊させます。ですので、私は、1ヶ月中に1章分の内容を、気合を入れて一気に書き上げます。書き上げた後で、推敲し、Tさんに送ります。

 

 もう少し詳しく書きますと、2-3週間前後で1章分を書き上げます。ここが最も緊張度の高い期間。その後1週間前後で推敲。ここはやや緊張。そして提出。2-3日後にTさんから軽いコメント(ガチなフィードバックは、一旦全体を書きあげてから、という私のスタイルに合わせて頂きました)。この2-3日が弛緩できる期間。この緊張と弛緩の繰り返しを執筆期間中続けます。特に弛緩期間が重要。本のことを忘れて、違うことを考えられる期間。リフレッシュし、英気を養える期間となります。

 

 今回は、新書なので文字数としては、8万~12万字執筆する必要があります。私は、必要文字数よりも沢山書いて、削っていくスタイルをとっています。というか、これが普通なのかも知れません。本書では、12万字くらい書いて、いくらか内容を削除し、最終的には10万字の分量となっています。

 

 本書は5章ありますので、単純計算で12万字を5で割り、24,000字を執筆する度にTさんに原稿を送ります。5月から順々に1章書き上げては送り、5ヶ月後の9月には大方の内容を執筆し終えました。

 

 時々、書くネタに困らない?と聞かれることがありますが、4冊単著を書いた現在時点としては、あまりそう感じたことはないです。ただそれは、知識や体験を意識的に捉え、試行錯誤し、それらのプロセスを文字化する習慣があるからだと思います。常に論文や書籍は読んでいますし、実験も時事ネタ分析も日々行っております。また、そこから得られた知見を日常・ビジネスで活かしたり、逆に日常・ビジネス経験を実験に投影したりしています。ですので、沢山書きたいこと、書籍に残したいことがあります。むしろ何を盛り込まないか、書いた内容のどこを削るかの方が難しく感じます。

 

 さてさて、ここから編集Tさんの提案を受け、内容の修正、削除、追記、組み換えのはじまりです。これがまた凄いのです。自分ではなかなか良い文章だと思っていても、プロの編集さんの手にかかると、見違えるほど読みやすい文章に変わるのです。この続きはまた今度。

 

 そういえば、書籍の内容について全く触れていませんでした。私の書籍と言いますか、仕事への哲学は、いつも同じです。科学知見と経験則のハイブリッドです。説明知にとどまる科学じゃ意味がない、生活知にとどまる経験側じゃ意味がない。生活知になる科学と説明知になる経験則、そして、その越境。使える科学と使い時がわかる経験側。

 

 本書は、科学実験から得られたウソと心理の推測法を、現実の観察・分析・インタビューで使い、現場の声をとり入れ、使い勝手がよい手法は何か、そうでない手法は何か、科学知見を経験でろ過させ、洗練させています。

 

 本書には、英米の研究者による論文か専門書以外では目にしないめずらしいウソと心理の推測法が、使える様式で掲載されています。一見よくある手法も掲載しています。しかし、どう使うと最も効果的なのか、効果的ではなくなってしまうのか、という観点から詳しく説明しています。本書は、よくあるウソの見抜き方本ではありません。そう自負しております。人の心の蘊奥に真摯に触れたい方にオススメします。

 

 清水建二著『裏切り者は顔に出る-上司、顧客、家族のホンネは「表情」から読み解ける』中央公論新社(2022年)2月9日発売です。ご予約はこちらから。

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では、また次回。

 


清水建二

微表情からポーカープレイヤーのハッタリを見抜け!

こんにちは。空気を読むを科学する研究所の清水建二です。本日は、ポーカーにおけるウソについて2つの話題を紹介したいと思います。

 

1. ポーカープレイヤーのウソを微表情から見抜く方法

 

ポータルサイト「m」にて、ポーカーとウソをテーマに取材して頂きました。動画を通じて、ポーカー中にプレイヤーの微表情が生じる様子を解説しています。「相手のハッタリを見破るには○○を見よ」という記事です。こちらをご覧ください。

mpj-portal.jp

 

内容を理解されましたら、実践編です。「わかる」を「できる」にしましょう。

 

2. ポーカープレイヤーのウソを微表情から見抜く実践編

 

微表情や非言語コミュニケーションに関わるサービスを提供する米国企業Humintell。最近配信されたHumitellのブログが、先の取材内容とタイミングよくリンクし、実践編として試して頂けると思い、ここに紹介させて頂きます。ブログの内容は英語ですので簡単に概要を書きます。

 

プロのポーカープレイヤーのウソが微表情からわかるか?というテーマのもとトライアルがなされます。チャンピオン歴のあるプロのポーカープレイヤー4人がそれぞれジュースを飲みます。2つは甘いリンゴジュースで、2つは酸っぱいリンゴ酢です。一気に飲み干し、「美味しいです」と言います。番組司会者の2人が、誰がリンゴ酢を飲んでいたか当てることが出来れば、司会者の勝ち。当てることが出来なければ、彼(女)らの勝ちというルールです。

 

ブログでは動画を観ながら、皆さんも番組司会者の目線で挑戦できます。ブログ内の動画を観て、ウソをついているプレイヤーを当ててみて下さい。ブログは、こちらです。

https://www.humintell.com/2021/08/reading-microexpressions-put-yourself-to-the-test/

 

気になる答えは、次のブログに書いてあります。

https://www.humintell.com/2021/09/results-reading-microexpressions-put-yourself-to-the-test/

 

清水の視点も含めた日本語での解説、そして、上記ブログでは紹介されていない、トライアル2(わさびかサルサか)について私のメルマガ、「清水建二のウソと心理の見抜き方 号外-微表情からプロのポーカープレイヤーのウソを見抜け!(2021年9月9日配信)」にて解説させて頂いております。

 

記事はこちらです(有料メルマガですが、登録初月は無料です)。

mypage.mag2.com

 

微表情の用途は、幅広いですね。弊社のお客さまの中に、ポーカープレイヤーや投資家の方がいらっしゃいます。「微表情は大いに役に立つので、自分が読めることは周りには黙っている」とおっしゃっていました。私自身は賭け事をやったことがないので、読み取った微表情をどう具体的に利用できるのかよくわかっていません。しかし、彼(女)らの前で、賭け事状況で微表情が生じた場面を指摘したとき、微表情が生じた状況を頼りに、「こんな解釈ができます」「可能性が2つに絞れます」「この場面で〇〇な感情があるならば、本心は▲▲な可能性が高い」など次々指摘されました。なるほど~と感心させられることがありました。

 

微表情を学ばれたい方は、是非。オンライン含め、色々なサービスをご提供させて頂いております。

microexpressions.jp

 


清水建二

お客様の声と2021年10月期開催コースの紹介

 

みなさん、こんにちは。

空気を読むを科学する研究所の清水建二です。

 

最近、弊社開催コースで学ばれているお客様からとても嬉しい感想を頂きました。是非、紹介させて下さい。Tさん(30代・男性)から頂いたご感想です。

 

受講生Tさんの声

 

先生から表情分析を学ぶ前は本を読んで学んだことや聞き齧ったこと、経験則からの所謂…カタチのない目に見えないその時々の"感覚(感)"を頼りに自分の狭い世界を通しての解釈で成り立っていました。

 

感覚はその時々で変化し、固定されないが故に何を指標にするべきか分からなくなることがほとんどです。

 

しかし、表情分析はブレることない科学技術です。

 

表情分析を学び、トレーニングからなる分析は、心理的な解釈の違いはあれどブレることのない科学的な指標(エビデンス)となり、相手の気持ちと繋がることのできる"道しるべ"となります。

 

人の気持ちや感情を観る上で表情分析は最高の武器になると考えています。

 

先生の仰られる通り…微表情を検知したら、予断は持たずに、質問を重ねる、あるいは、他の情報源から調査し、微表情の原因を探ることが真実への近道であると考えます。

 

その過程を繰り返していくことでしか埋れた真実を発掘することはできないと思っています。

 

表情分析を学ぶ過程で微表情を見つけ出し、拾い上げるのもそうですが…そこに現れた表情、感情をみつめ、解釈していくことは分析過程の中でも最も難しい作業であると思います。

 

清水先生のように、深い洞察と思考の元でたった一つの真実を拾い上げることができるようになるのが僕の目標です。

 

これからも試行錯誤をしながらではありますが…表情分析技術と一緒に心理的解釈を磨いていきたいと思います。

 

先生の考察と解説はいつも僕の中に新しい視点と気付きを与え、尚且つ新しい問い掛けも与えてくれます。

 

先生の考察と解説から得た気付きと共に新たな問い掛けに対して探求し、今後も先生の元で学びを深めていきたいと思います。

 

空気研のコンテンツに込めている想い

 

Tさんからは、こうした感想以外にも職務内における具体的な表情分析の知見及び使い方に関するフィードバックを頂いております。どこかの機会でご紹介できたらと思います。

 

さて、人の心とそれを取り巻く環境が複雑なゆえ、心理学の知見はストレートに実務に活かせるとは限りません。純粋な因果関係を把握するため、現実にある様々な事柄を捨象し、実験が行われるため、これは、ある意味当然のことと言えるでしょう。

 

また、学術論文から得られる知見、すなわち、説明知と、実際に日常で使うための生活知の距離が、近いことはそうそうありません。「知っていると使えるは違う」という言葉がこのことをよく表していると思います。

 

私が目指していることは、実務の中で誰もが使える効果的な知見と方法を、表情観察・分析の分野で確立し、必要な方に習得して頂き、それぞれの幸福に役立てて頂くことです。

 

そのために、関連する書籍や学術論文の知見を読みます。必要に応じて、学術論文で行われた実験を自身で再現し、知見の安定性・不安定性を自身の目で確認します。そして、知見を現実世界で適用し、「使える度合い」を肌で感じます。知見をお客様や研修生の方々に使って頂き、フィードバックを頂きます。

 

こうしたプロセスを通じて、複雑な現実世界で科学知見を最大に活かせる方法を日々考えています。説明知を生活知に転用するための工夫を日々考えています。

 

現実世界のフィードバックが新たな科学実験の着想となることもあります。

 

この繰り返しの中で弊社のコンテンツは形になっていきます。弊社開催のコースの種類が増えたり、同名コースでもメニューが微妙に変化するのは、こうした事情があるゆえなのです。

 

2021年10月期開講コースのお知らせ

 

2021年10月期に開講する説明知を生活知に変える表情観察・分析コースをお知らせします。

 

①「表情分析テーマ別スタディーコース」

感情と表情、美味しさと表情、学習と表情、病気と表情、虚偽と表情等々、日常・ビジネスに関わる様々なテーマを表情の世界から観、実務で活かす方法を養成します。表情観察・分析について詳しくない方・詳しい方問わず、どなたでも受講頂けます。詳細&お申込みは、次のURLよりお願いします。

https://peatix.com/event/1902540/view

 

②「清水ゼミ」

表情分析のプロになるために、あるいは、表情分析のプロとしてあり続けるための学びの場です。弊社コースを24時間以上受講し、認定FACSコーダーの資格を持つ方対象の上級コースです。詳細&お申込みは、次のURLよりお願いします。

https://peatix.com/event/2633940/view

 

③「清水建二の表情心理分析オンラインコース

コースの開催日程が合わない、繰り返し内容を聞きたい、という方は、「清水建二の表情心理分析オンラインコース」がオススメです。学びたいと思ったときにご自分のペース(視聴期限半年)で学ぶことが出来ます。①とは異なるメニューですので、①を受講された方が③を受講する、③を受講された方が①を受講しても問題ありません。どなたでも受講頂けます。詳細&お申込みは、次のURLよりお願いします。

microexpressions.jp

 

受講生お一人お一人と周囲の方の人生が良き方向に変わる知を提供できれば、と願っております。

 

清水建二

まぐまぐ!サマーアワード2021ノミネート記事「第9回-【心理分析実践編】心霊体験の心理分析」のお知らせ


清水が発行するメールマガジン
「清水建二のウソと心理の見抜き方」(月額990円)の記事が、

まぐまぐ!サマーアワード2021にノミネートされました。

 

ノミネートされた記事の題名は、
「第9回-【心理分析実践編】心霊体験の心理分析」です。

 

非科学的と考えられている心霊現象を、
心理学の知見と表情分析のスキルを駆使して、読み解いております。
ある幽霊のコミュニケーションの様相、心霊体験の真実性、
霊が教えてくれる「生きる」ということ等々、考えてみました。
真剣に考えさせられた、というのが正確かも知れません。

 

通常、有料にて読んで頂ける記事ですが、
この度のノミネートを受け、本記事を無料公開しております。
私の記事以外にも様々なジャンルの42記事がノミネートされております。
本イベントでは、「この夏、読みたい最高の1記事」を
読者投票とまぐまぐ審査で選出されます。
ノミネートされた記事の中から面白いと感じた
「最高の1記事」にご投票ください。

 

私の記事は、次のURLの知識・雑学ジャンルにあります
(真ん中よりちょっと下までスクロールするとあります)。

 

まぐまぐ!サマーアワード2021 ノミネート記事・投票ページはこちら
https://www.mag2.com/events/summer-awards/2021/nominees/

 

まぐまぐ!サマーアワード 開催スケジュール】
・ノミネート記事 読者投票受付期間:7/21(水)~8/2(月)15時
・結果発表:8月初旬予定


追伸:【改訂版】マスク着用時の微表情も読みとれる!!Matsumotoメソッド™(Masked MiX™)を用いた微表情検知トレーニングオンラインセミナーですが、8月7日分はまだお席ございます。詳細及びお申込みは次のURLよりお願いします。
https://blog.microexpressions.jp/entry/2021/07/15/120831


清水建二