微表情

フラッシュのように一瞬で表れては消え去る微妙な表情、微表情。このブログでは、微表情、表情、顔を始めとした非言語コミュニケーションの研究や実例から「空気を読む」を科学します、「空気」に色をつけていきます。

面接テクニック・シーズン1-①IIE面接テクニックとは?

 

本日は面接テクニックについてご紹介したいと思います。面接などの人を介した情報収集を適切に行うには、微表情を含むボディーランゲージの観察や戦略的な質問法、話の聞き方である傾聴法といった個別スキルの向上を目指すことは言うまでもありません。しかし、情報収集の構造(全体像・流れ)を知ることで、それぞれの個別スキルが有機的に結び付けられている様子を理解することが出来、より効果的に情報収集が可能になります。

 

面接テクニックは、尋問、取り調べ、目撃証言の取得、被害者に対する面接、諜報活動のための対人コミュニケーション、スパイ活動防止に関する面接、採用面接など、様々な用途に応じて様々な種類が存在しています。今シーズンのブログでは、上記の様々な面接シーンに適応可能なIIEテクニックと呼ばれる面接テクニックを紹介したいと思います。

 

IIEテクニックとは、法の執行及び国家安全のための対人評価テクニック(The Improving Interpersonal Evaluations for Law Enforcement and National Security technique)の略語です。IIEは、実際の取り調べの観察と科学的な行動分析とが統合されて生み出されたテクニックです。G. Frankら(2006)の記述に沿って紹介・説明したいと思います。

 

IIE面接の構造の説明に入る前に、IIEテクニックが置いている3つの前提を紹介します。

 

前提①:面接の目的とは真実を見つけること

 

「面接の目的とは真実を見つけること」これが第一の前提です。ここでいう「真実」とは、「面接を受けている人が信じていること」のことを言います。面接を受けている人が、例え、事実と違うことを話していても、その人が本当にそう信じているならば、それを真実と考えます。

 

この前提を置く(遵守する)ことで面接の目的が「自白を得ること」から「真実を得ること」にシフトします(尋問などの面接の目的は往々にして「自白を得ること」になりがちです)このことによって、面接を受けている人へ自白を迫ることがなくなり、ウソの自白が起こる可能性が減ります。また面接者を「証言内容について価値判断を下す」立場から「情報を得る」立場に変えます。このことによって、面接から得られた情報と物的証拠や他の証言とを慎重に比較する態度が生まれ、新たな調査項目が見つけ出されたり、真実に到達出来る可能性が高まるのです。

 

気になる続き、前提②以降はまた次回。

 

 

清水建二

参考文献

Frank, M. G., Yarbrough, J. D., & Ekman, P. (2006). Investigative interviewing and the detection of deception. In T. Williamson (Eds.), Investigative interviewing: Rights, research and regulation (pp. 229-255). Cullompton, Devon: Willan.