微表情

フラッシュのように一瞬で表れては消え去る微妙な表情、微表情。このブログでは、微表情、表情、顔を始めとした非言語コミュニケーションの研究や実例から「空気を読む」を科学します、「空気」に色をつけていきます。

2017年10月10日(火)TOKYOFMクロノス出演:政治家の表情の読み方ポイントーブログ編

 

本日は昨日、出演させて頂いたTOKYOFMクロノスさんにて説明させて頂いた政治家の表情の読み方ポイントについて解説させて頂きたいと思います。

 

選挙前の政治家・立候補者のホンネを察する上で重要な表情観察のポイントは、言動一致か不一致か、すなわち言葉と表情とが一致しているか否かという視点です。

 

「この政策が実現出来れば、日本の未来は明るくなります!」

 

という発言に、例えば、笑顔、あるいは眉が引き上げられ、目が見開く「興味・関心」表情、眉間にしわが寄り、目が見開く「決意」表情などが伴えば、言動一致です。

 

この発言に、例えば、眉が引き上がりながら、眉間にしわの寄る「恐怖」表情や、眉がハノ字になる「悲しみ」表情、眉間にしわがより、伏し目になる「熟考」表情などが伴えば、言動不一致です。

 

言動一致であれば、その言葉と表情がホンネを示している可能性が高く、

言動不一致であれば、その表情がホンネを示している可能性が高いと考えられます。

 

後者の理由は、言葉に比べ表情をコントロールすることは難しいからです。

 

ここで但し書きです。私たち日本人の場合、表情を言葉に乗せて、つまり一致させて表現することが不得手なため、言動一致よりも言動不一致の方を観察し、違和感のなさを基準にしたホンネ推測の方が人物を評価する上で誤解する可能性が低く、便宜的です。

 

ということで、言動不一致のときのホンネの推測法を具体的にいくつか解説します。「恐怖」表情ならば、その政策の実現可能性に懸念を抱いている、あるいはそもそもその政策実現を想定していない、そんな可能性が考えられます。「悲しみ」表情ならば、その政策実現に向けて自分の政党だけでは実行が難しく、他の政党の力を借りたい、そんな可能性が考えられます。「熟考」表情ならば、政策は実行したいという理想はあるが、現実的な実行プロセスは不明確という、理想と現実とにズレが生じている可能性が考えられます。

 

特に、公約そのものについて発言しているときより、公約・政策の実行プロセスについて説明しているときの方が、政治家・候補者の意思の強さが推測できます。というのも、ウソ(=過去の行動の真偽)とは異なり、意図(=未来の行動の真偽)の本気度を推測するには、行動のプロセスについて精査することが効果的であることが諸研究から実証されているからです。

 

「〇〇な政策を実行します!」といくら自信満々に公約を掲げていても、その実行プロセスに話が及ぶと熟考表情が多くなってしまう、これは理想と現実とがかけ離れている状態です。

 

政策実現に向けた具体的なビジョンがあれば、そのプロセスを話すとき熟考表情はそれほど生じません(ずーっとあたためてきた旅行計画が実現し、一緒に旅行に行く人に旅の行程を説明しているシーンを想像して下さい。眉間にしわが寄り、伏し目がちにはならないハズです)。

 

確かにその場、その時、例えば、聞き手や話が出来る時間の尺に応じて、適切な言葉を選ぶ必要があり、ある程度の熟考表情が生じるのは普通です(まさに私もテレビやラジオなどで想定していた時間よりも尺がないことがわかり、どうやって言葉を短くストレートにすべきか瞬時に考えなくてはいけないときなど、熟考表情になってしまいます)。しかし、この熟考表情が過剰に生じていたら注意が必要です。実行力が伴っていない、実行プロセスが具体化されていない政策の可能性が高いでしょう。

 

誰でも「東大合格目指します!」とは宣言できても、本気で東大合格に向けて勉強できるかどうか、実行可能な勉強計画を立てられるかどうかは別です。

 

さて、今回の衆院選での様々な場面で、言動一致・不一致が多く観られました。皆さんはどの政党、政治家を支持しますか?言葉と表情とのズレ、から本気度を。

 

 

清水建二