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微表情

フラッシュのように一瞬で表れては消え去る微妙な表情、微表情。このブログでは、微表情、表情、顔を始めとした非言語コミュニケーションの研究や実例から「空気を読む」を科学します、「空気」に色をつけていきます。

フランス日本人留学生行方不明事件容疑者「声明」映像についての初見

 

眉が中央に引き寄せられ、上まぶたが強く引き上げられつつも下まぶたに緊張がし、唇は上下からプレスされ、下唇は上に引き上げられている…

 

そんな表情で注意深く練られた文章を読み上げている…

 

犯行声明文の分析依頼と聞いていたので、当初はこうした情景を予想していました。

 

しかし、件の映像を分析してみると予想が裏返されました。

 

先日の日曜日、フジテレビさんの「ミスター・サンデー」にて、フランス日本人留学生の黒崎愛海(クロサキ・ナルミ)さんが行方不明になっている事件で、元交際相手のニコラス・セペダ容疑者の「声明」映像での心理についてコメントさせて頂きました。本日は、テレビで放映しきれなかった部分も含め、私の分析をご紹介したいと思います。

 

分析に利用させて頂いたのは以下の動画です。

 

 

冒頭で描写した表情は、危険表情と呼ばれる表情です。危険表情とは、これから暗殺・テロや殺人などの暴力行為を行おうと決意しているときの表情のことを言います。怒りや憎しみを押し殺している表情と形容した方がわかりやすいかも知れません。

 

セペダ容疑者の「声明」映像を分析しても、危険表情は確認されませんでした。何かを行おうとする不退転の決意を意味する表情も動作も検出されませんでした。その代わり彼の表情・動作から見出すことの出来た心理は、「不明確な意図」と「衝動性」です。

 

表情・動作分析から導き出したセペダ容疑者の心理は、

 

「愛海さんとの関係について今後どうしたいのか明確な意図がないままに、セペダ容疑者は本動画を衝動的にアップしたと思われる。本動画を観た愛海さんからの反応を待って、今後の我がふりを決めようとしていた可能性が考えられる。急展開が起きたとするならば、本動画をアップした後である可能性が高い。」

 

ということです。

 

その主な理由は以下の7つです。

 

①散見される認知的な負担のサイン

約2分の映像の中で、リッププレスと中央に引き寄せられる眉が散見されました。これらの動きは認知的に負担を抱えているサインです。つまり、動画を撮影しながら、同時に何を話すべきかを考えていると思われます。文章や何を伝えるかを予め用意してあった可能性は低いでしょう。

 

②0:22辺りで「いくつかの条件に従っている、関係性を維持するために」という発言と同時になされた自信のなさを意味する微動作

具体的には、肩をすくめる、という微動作です。極東地域にはあまりみられない動作ですが、世界の多くの人々は、自分の発言に自信がないときに、肩をすくめる動作をします。この動きと発言との関連性から、

セペダ容疑者が映像撮影時に愛海さんとの関係性を本当に維持したいのか、どうしたいのか自分でも明確になっていなかったと考えられます。

 

③0:31辺りで「信じているんだ、他の方法を。条件なしの方法を」という発言と同時になされた自信のなさを意味する微動作

これも②と同じ、肩をすくめる微動作です。今後の見通しを明確には考えているわけではないと考えられます。

 

④0:57辺り「いくつかの条件は永遠に適用される。」という発言と同時になされた自信のなさを意味する微動作

同上の解釈です。

 

⑤1:23辺りの「2週間条件を守れたら、何の影響もなく条件をなしにする。」という発言と④での発言の矛盾

先の発言と矛盾しています。結局、どの条件をどこまで、いつまで守らせたいと思っているのか曖昧です。

 

⑥1:36辺りの「チ、チ、チ、9月21日まで~」という熟考のパラ言語

9月21日という数字が出るまでしばらく間が空き、考えているところから、声明文の内容を前もって考えていたわけではないと思われます。

 

⑦2:08辺りの「同じような間違えをしないように。」という発言と同時になされた自信のなさを意味する微動作

具体的には、これも肩をすくめる動作です。愛海さんが悪いことをしたのか確信がもてない、すなわち思い込みを抱いている、もしくは、許す意図がないゆえでしょうか。いづれにせよ、自身の発言に対して自信がないと考えられます。

 

以上分析を終わります。

 

 

清水建二